事象式

これは造語です。

行動式もそうなのですが、行動式の方は理解できますよね。傾向や行動パターンとほぼ同義語です。対して事象式というのは、「ある一定の状況下において、ある特定の駒が起こした行動の先には、常に一定の結果が訪れる」というものです。

 

例えば、「絵羽は揉みあいになると、相手をケガさせてしまう(あるいは殺してしまう)」です。ルーツはEP7のお茶会の誤射の事例と、EP1で語られる、組み手をしていて相手を泡吹かせた経緯です。そのルーツからEP3にその事象を当てはめたのが、朱志香に対する誤射の事案や、第二の晩の楼座殺害の事案であると考えられます。

 

この事象式と呼べるような現象が、うみねこの物語には採り入れられているのではないでしょうか。もしこの仮定が正しいのなら、これに当てはまる事象は、その結果を確定的な事実に変えることができます。

この事象式でいえば、「絵羽が揉み合っているシーンの後には、必ず相手がダメージを受ける結果が待っている」と言い換えれば分かりやすいでしょうか。つまりEP5、金蔵の書斎の前で絵羽と蔵臼が揉み合ったシーン、蔵臼はその後無事では済まなかったと推理できるというわけです。

 

 

 

 

他に、「夏妃は追い詰められて殺人を実行してしまう時、その相手は死亡しない」という事象式が考えられます。ルーツはEP5で語られる19年前の事案です。紗音は一命を取り留めました(ということは、一緒に落ちた壮年の使用人も死んでいなかったとする推理が可能になります)。これをEP1に導入してみます。

まず蔵臼殺害に関してですが、やはり死なずに、とどめを朱志香に刺されたという推理の新たな視点での伏線として捉えることができます。次の絵羽殺害の事案も、絵羽は死なずにすんだと推理することが可能になります。

EP5の右代宮夏妃は犯人ではないという赤字も、この事象式を後押ししていると思っています。犯人とは殺人者のことであるという定義が、EP8のベルンのゲーム盤だけの話ではなく、うみねこ全体の定義であるならば(そういう定義でなければ、EP5の戦人の偽証が説明できません。EP5の戦人は、明らかに犯人側に与していますので、戦人君は犯人ではありませんよという赤字が説明できないと思います)、19年前に殺人を犯したと自供する夏妃が犯人ではない=19年前にも殺人を犯してはいなかった、と解釈できるような気がします。夏妃の事象式として、彼女は殺人を犯せない(犯したくても)というのが私の解釈です。

 

 

 

 

また、「絵羽は銃で撃たれても死なない(その銃弾ははずれる)」という事象式もあるのではないでしょうか。ルーツはEP7のお茶会で、絵羽は三度も九死に一生を得ています。これは全EPに適応されていると考えられ、故にどのEPが本当の猫箱の中身であるのかにかかわらず、絵羽は結局は生き残る筋書きになるのです。

 

 

 

 

些細なシーンでも、ある事象式が見受けられます。「その物語の中の重要な事実を隠そうとした人物は、頭痛になる」です。

夏妃が頭痛持ちなのは、19年前の件を隠し続けているが故であると推理できます。EP1では、その頭痛が酷くなったときがありました。蔵臼に書斎に案内され、会話してその部屋を出た後です。それはこのシーン時に蔵臼が殺害されたためで、それを隠さなければという考えが頭痛を引き起こしたのだと考えられます。第2の晩直前でも、絵羽を呼びに行けと言ったときに、夏妃の頭痛は疼き出しました。絵羽を殺してしまったことを隠す演技をしなければならなかったからです。

EP2では、昼間ベアトリーチェに会った霧江が、その直後夏妃と会話するときに頭痛になりました。ベアトリーチェを見たと嘘をつかなければならないため、頭痛になってしまったのでしょう。さらに楼座は、その後の真里亜との会話の中で、かつて六軒島に住んでいた頃にベアトリーチェに会ったことなんてないはず、と思考した直後に頭痛に襲われました。九羽鳥庵での一件を思い出したからでしょう。その隠しごとの重要さが、頭痛の度合いの目安です。楼座が、九羽鳥庵での過去を持ちながら頭痛持ちでないのは、それを自分のせいではないと言い聞かせ、忘れようとして忘れたからです。逆に夏妃は、19年間一時も忘れず、過去を悔いていたからこそ頭痛持ちなのです。

それ以外でのシーンでも頭痛のシーンがありますが、隠しごとのサインだと推理して間違いなさそうです。

 

 

 

 

「碑文を解く可能性のある人物は、謎解きに挑戦する姿勢がある時、解くのに要する時間が常に一定である」というのはどうでしょう。碑文を解けるのは、絵羽、楼座、霧江、戦人、親たち7人、です。

 

EP3で、絵羽は5日の10:00頃、楼座は5日の10:30頃(妹の頭の回転速度は、常に姉マイナス1よ←EP2より)、解きました。謎解きを始めたのが9時頃ですから、絵羽は約1時間、楼座は約1時間半で解けるのではないでしょうか。

 

戦人は、EP1~4の無能バージョンですと解けませんが、EP5以降の本物バージョンだと解けるのでしょう。

 

霧江は、EP3で6:30頃に解いたようです。これは親族会議解散後のほぼ直後です。霧江の事象式として、「霧江が碑文を解ける時間帯は、夜の親族会議が終わった(あるいは抜け出す機会があり、その)直後である」が正解だと思われます。これで、EP4,6でも霧江が碑文を解いたことの説明が可能になります。

それが意味するところは、霧江はこの日より以前に碑文を大方解いていた、です。ではなぜ、今まで放置していたのか。碑文を解くことで得られるメリットが、不鮮明でかつ留弗夫に不必要なものだからです。家督然り、金然り。しかしこの日、親族会議中にはじめて留弗夫がカネに困っていることを知り、碑文を解くことでそれが解決できる可能性が高まった段階で、本腰を入れたのです。

つまり言い換えると、「霧江が黄金を発見するのは、親族会議で留弗夫が金銭問題を抱えていることを知り、その後自由時間を手にした直後である」ということです。

 

楼座は、EP2では通常の夜以降からの挑戦ではなく、4日の昼間から碑文に挑戦するキッカケを得ましたので、そこから約1時間半後に解いたのでしょう。

 

親たち7人は、EP7のお茶会にて4日の23:30頃に解きました。これは親族会議中に、みんなで解いてみましょうかというような話の流れになった時に、この時間になります。EP3でもその展開になりかけましたが、楼座の告白によって話が違う展開にそれていってしまったため、EP7のお茶会のような展開にはならなかったのでしょう。

 

最後に、絵羽はEP1にて、深夜紗音から演技の要請を受けた際、碑文を解き始めたのではないでしょうか。紗音の正体、源次も認めるその力の源は、碑文を解くことで得られる黄金だと知ったからです。碑文の謎は全員に平等だと紗音は言っていますので、絵羽は紗音のゲームに協力しつつも、碑文を解いて他の親族たちを出し抜こうと考えたのでしょう。

楼座や霧江は、死体の役なので行動不能になりますし、翌朝死体発見後は、倉庫を別のカギで封印してしまったため、以降も倉庫から脱出不可能になります。なので、彼女らには碑文は解けません。

 

 

 

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