その後、幾子は亡くなりました。元々、永く生きられる体ではなかったのでしょう。そんな幾子のために、戦人は偽書を作成しました。彼女の棺に添えるために…。
それがEP6なのですが、ここでうみねこの物語の綴られ方について、こんな伏線があります。物語を生みだす最少人数は2人(真里亜は特別)というものです。これまでのEPは、2人の人物の対立によって生み出されてきましたが、EP6には、戦人に対立するキャラクターがいません。そこで縁寿に、過去のお前だったら俺の主張する物語についてどう反論する?という趣旨で、描かれています。キャラクターの立ち位置から確認していきましょう。
フェザリーヌ→ 高次元の存在。メタ世界を俯瞰し、綴ることが(文章化することが)できる。ただし行く末を決めることができるわけではない
巫女の縁寿→ 魔女の巫女としてメタ世界の物語を旅するという設定の縁寿。要はベルンの過去
八城十八→ 未来にEP6を作成したと設定した戦人を、縁寿の旅の途中に存在する八城十八に重ね合わせた駒。
縁寿→ 未来の縁寿を、旅の一日目の時間に存在する縁寿に重ね合わせた駒。
そしてEP6との関係はこうなります。
原文→ 霧江の随想録
ゲームマスター→ 八城十八 (戦人)
対戦相手→ 縁寿
ゲーム盤→ 八城十八が主張する物語。
メタ世界→ 応接室での八城十八と縁寿の論争を、八城十八=バトラ、縁寿=ベルン、として描いたもの
朗読者→ 巫女の縁寿。応接室での討論に、どう結論をつけるかを決められる立場。巫女の縁寿の解釈によって、EP6の結末が決められたようです
観測者→ フェザリーヌ
縁寿は学が身に着いたころ、霧江の随想録を読み返したのでしょう。霧江の戦人に対する恨み辛みなどを解消するための、希望願望妄想幻想が描かれているその呪い帳は、六軒島事件の当時に叶えられたのではないかと縁寿に思わせるには十分な内容でした。その頃の世間の留弗夫一家犯人説と合わせて、縁寿はその随想録を前に、そんなはずあるかという想いと葛藤しました。その葛藤に決着をつけようと試みたのがEP6なのです。
そして戦人は、この偽書をもって幾子の墓に添え、結婚しようとでもつぶやいたのでしょうか…。
お墓の前で様々な感情を交錯させるバトラ(戦人)とワルギリア(縁寿)が、余韻を残して去るシーンをもって、うみねこの物語は幕を閉じました。また読み返してみようかしら。
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