EP8については、まだ回収していない伏線について検証してみましょう。
「黄金郷の扉は、外より2人で押さねば閉じられない」という、一なる三人の魔女たちの取り決めとは何なのでしょう。黄金郷の扉を閉める=真実を猫箱に閉ざす、です。その行為は、猫箱の外側の人間でなければならない。それはかつて絵羽と紗音によって行われました。それを今度は、幾子(八城十八)と縁寿がやらなければならない。縁寿が押さないのなら、真実は明るみになる、という暗示でしょう。
また、挽肉になって黄金郷で目覚めた縁寿が、2つの鈴を持っていたというシーンは、一なる真実の書を読む前に2人に分かれた縁寿が、黄金郷では再び1人に戻ったことを示しているのでしょう。
読まなかった縁寿は、EP4のように旅をする縁寿です。その旅の途中で、縁寿は魔法を理解しました。読んでしまった縁寿は真実を手にすることができました。その2人が奇跡的に重なることで、本来はあり得ない邂逅を果たすことで、魔法の理解と真実の両方を手にした縁寿が誕生したのです。
その二つを手にできて初めて、残酷な現実におかれている縁寿(つまりベルンのこと)と戦うことができる、救うことができるのです。この二つが縁寿をハッピーエンドに導くための条件なのですが、これは皮肉ですね。紗音が戦人と結ばれるための条件とまったく一緒です(ゲームの始まり参照)。この部分がおそらくEP8で最も主張したいところなのでしょう。
次に、エリカと戦人との対戦での「右代宮戦人は刺殺である。凶器はナイフ。背中にザックリ」という赤字をどう捉えるか。これは、あの日あの場で、ナイフを所持していたのは霧江だけです。霧江が殺したとする伏線となっています。
EP7でもベルンが口を滑らせたようです。「戦人はいつかきっと、女に後ろから刺されるわね。これは、そういう物語なのかしら」
エリカの「ちゃあんと私はあなたに殺されますよ、戦人さん。古戸エリカは刺殺である。凶器はナイフ。背中にザックリ」という赤字も、エリカ=戦人なので当然といえば当然です。殺したのは霧江なので、一見矛盾しているように思えますけど、EP7にてウィルがこう言っています。幻想である役は演じた本人にしか殺せない、と。霧江に刺殺されたときに、戦人の中にあったエリカの部分が消滅した、ということなのでしょう。
また、ベルンの挑戦のゲーム盤で、留弗夫一家が犯人とする真実が提示されます。これも戦人が悪人という示唆ではありません。ベルンの挑戦で、戦人が殺したのは誰だったでしょう。紗音だけです。戦人は紗音しか殺していないという事実を浮き彫りにさせ、戦人が紗音を殺したという真実を示唆したものになっている、つまり、戦人が紗音を殺したとする伏線になっているということです。
最終決戦でエリカ(戦人)がベアト(紗音)を討ち取るという描写も、この真実を示唆しています。どんだけ殺させたいんだか。
ハロウィンパーティーの時の霧江が、留弗夫から戦人の出生の秘密を暴露された時のリアクションも興味深いですね。私は私の息子を殺してしまったことになるのか、という後悔がにじみ出ているシーンです。
最後に縁寿がベルンに勝つ描写は、真実を知ってなお、黄金の真実を胸に刻む限り、心の闇には負けないという決意の示唆で締めくくります。
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