このEPは、その解釈をEP7のお茶会がやってくれているのでほとんどそのままなのですが、大きく違う所といえば、魔女幻想の演技を始めた後で、霧江たちが碑文を解いたことでしょう。その違いのせいで、霧江たちは金蔵が殺しまくってどうのという演技に乗りつつ、譲治たちを呼び出さなければならなかったということです。
またこのストーリーこそが、EP7のお茶会で留弗夫が戦人を騙そうと考えたストーリーでした。なので、事件当時にそれを聞かされた戦人の記憶をプロットにEP4が執筆されたため、このようなストーリーになったとも考えられます。
まず紗音は金蔵が生きている演技を親たちと使用人に強要します。
郷田と熊沢はゲストハウスの子供たちに伝えに行きます。
その後霧江と留弗夫は碑文を解いて黄金を発見。そこで、紗音から全ての説明を受けて皆殺しを決意。
霧江と留弗夫は、紗音の幻想物語がゲストハウスの子供たちにどういう反応を与えているのか確認するため、電話をかけます。蔵臼が電話をかけていると描写されるのは、EP1の楼座の「えぇまったく。蔵臼兄さんも留弗夫兄さんも、信じられないくらいお父様にそっくり」というセリフから変装可能の伏線が成り立つゆえの幻想描写です。
そして郷田に、紗音の幻想物語に少し変更があったなどと説明し、自分たちのこれからの行動に不審を持たれないようにしたのでしょう。そして紗音やついてきた南條にも電話に出させ、終わったところで二人を射殺します。
そして二人は、譲治と朱志香を電話で呼び出し殺害。朱志香は銃をかわしボコボコに殴られるわけですが、なんとか意識を取り戻し戦人に電話。霧江がやったことを言うと戦人を傷つけるため、魔女幻想を伝えました。その後霧江に気づかれ射殺されます。
さらに倉庫に行くように言った郷田と熊沢を、窓枠の外から射殺。
留弗夫は屋敷の食堂にいる大人たちを射殺しようとして誰かに返り討ちにあってしまいます(おそらく絵羽)。そこで源次、夏妃、秀吉、楼座、留弗夫は死亡します。
霧江は逃げ出した蔵臼を屋敷の裏口あたりで射殺します。
霧江は食堂に戻り、留弗夫の死を知り、生きる意味を失い、自殺を決意。戦人に電話して、この惨劇は自分がやったとは言えず、全部魔女幻想だと伝えて自殺。
順番は違うかもしれませんが、だいたいこんな内容で惨劇が進んでいきました。そして生き残っているのは戦人と真里亜だけになりました。
少し時間を戻して、昼間紗音に会った真里亜は、薔薇庭園で楼座に受けた仕打ちを報告。その時紗音は楼座に対する真里亜の憎しみを「今この六軒島には魔力が満ちてきている。今まで妾が教えた魔法の数々を駆使して、楼座に復讐するがよい。その魔法が使えた時、そなたは魔女として覚醒するであろう」などと言って慰めたのでしょう。さらにその時に自分のマスターキーと煉獄の七杭を渡します。
ゲストハウスで楼座を何回も殺す夢想していた真里亜は、やってきた郷田たちに楼座が死んだことを聞かされます。自分の魔法が通じた結果だと思った真里亜は、魔女として覚醒した自分を自覚。
さらにここが肝心の部分なのですが、儀式を達成したベアトは魔女として復活することができると真里亜は信じています。さらに紗音の死を知った真里亜は、自分の体で復活してもいいよと唱えます。そして魔女となった自分の体にベアトが憑依したと信じました。
そしてここから真里亜は、ベアトになったつもり(本人はつもりではなく本気)で行動します。電話を隣部屋からかけてすぐいとこ部屋に戻ります。戦人に電話を取らせた後、隣部屋に移動しベアトとして会話。英語が得意だとの伏線もあります。でもまだまだ低レベルの英語を話していて、ベアト本人と若干違和感があるのが、真里亜が電話しているという描写を表すものです。
それが終わった後真里亜は、朱志香の部屋などを施錠して周ります。
霧江の客室に移動。銃を処分したのち、杭を頭に埋めます。
この作業を蔵臼、南條、紗音にもした後、屋敷の食堂で死んだふりをします。これは「誰も生き残れはしない」と「安らかに眠れ」のくだりの通りにしたということです。黄金郷で願った真里亜の願いの一つは、やさしい母でした。母の隣で眠るようにする真里亜は、あの瞬間まさに黄金郷に辿りついていたのでしょう。あるいは本当に死んだのかもしれません。赤字で真里亜の死を宣言していませんので、そこは猫箱です。
また、赤字の死亡宣言という話になりますと、EP4では嘉音以外の全員が死亡の赤字がありません。これは、これこそが幾子が訴えたかった最大の幻想描写であると考えられます。
このEP内で、頭部半壊死体は誰が見ても死亡を確認できるとしながらも、それでも赤字で死亡が宣言されない限り死んでいるふりを否定できないと縁寿に言わせています。これにより戦人に、EP4の真実は(つまり戦人が思い出したほぼ真実に近い現実は)実は誰も死んでいなくてその演技をしているだけの魔女幻想だったんだよと伝えたかったのです。
魔女幻想を受け入れれば、魔法を認めれば、あの日に起きたことは誰も死なないというささやかな物語として戦人に受け止めてもらえる(EP8の縁寿の立場と一緒です)と信じたのです。
最後に、戦人はバルコニーでベアトと会うのですが、これは、この時点で爆発が起きたと設定したためと考えられます。
EP4には時間的記述がタイトルを含めてありません。厳密には、タイトルの「右代宮金蔵」の冒頭が、10月4日の10時前くらいである、という記述のみです。なのでその後のタイトルの「甘美なる魔女の世界」と「地下牢」の間が1日経過していると推理すると、ベアトが現れた時間が4日の24時ではなく、5日の24時となるのです。地下牢での霧江の推理の中に、薬で時間の感覚を狂わされていることもあり得る、という発言が伏線となりますので、こう推理することも可能です。
(ちなみに偽書にはこの時点で「戦人の視界は、この時暗転した。以降の記憶はない」などと書かれていたものと思われます。霧江に背中をザックリやられたからでしょう。背中からだったため、実際何が起きたのか分からなかったのでしょう。その事実をこのEPでは、その時魔女に会っていたんだよと主張したに過ぎません)
このEPの霧江が碑文を解いたとする伏線は、霧江たちが閉じ込められていた場所こそが、黄金を隠している場所であると推理することができます。いくつもの頑丈な鉄格子の最深奥に閉じ込められていて、魔法錠まで掛っています。さらにその場所は、黄金の隠し場所と同じく地下道のどこかとなっています。それは暗に、難解な碑文を解いた先にある黄金の隠し場所を示すのではないでしょうか。
となれば、霧江や蔵臼(に変装可能な留弗夫)は碑文を解いているからそこにいるのだ、とする推理も可能なのではないでしょうか。
地下牢からの最初の脱出は、嘉音が鉄格子を横一文字に二回切り裂いて、鉄格子の何本かを取り除くことから始まりました。これは碑文の第1の晩の、鍵の選びし文字を抜く作業の暗示でしょう。
次の鉄格子は、寄り添いし二人を引き裂けの作業を暗示するシーンがいくつもあります(紗音と嘉音、霧江と留弗夫、山羊同士、鉄格子の二本を左右に開く、etc)。
最後の鉄格子は、霧江と蔵臼が第4から8の晩の、えぐりて殺せの作業の暗示を示すような戦闘シーンが展開されます。
これらの行動を以って脱出したのですから、それまでいた場所が黄金の隠し場所だという推理は成り立ちます。
まあ脱出なのですから、普通逆だとは思うのですが…。
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