つづき

EP6における、いろんな赤字ついてどう捉えればいいのか、どう抜ければいいのかなどを探っていこうと思います。

まず、前項でもちょろっと記しましたが、エリカと戦人がバトってたことは茶番である、とする具体的な赤字から消化していきましょう。

 

 

 

 

 

 

確信的な赤字は、

謹啓、謹んで申し上げる。どちらも破られていないものと知り給え。

これですね。

 

これは、いとこ部屋と隣部屋の封印について、そこから誰かが退室して客室に来たんだとする考えに、待ったをかけた赤字です。

摩訶不思議です。この赤字は、一体何がどうなって提示するに至ったのでしょう?といいますのも、赤字の宣言には一定の制約があったことを思い起こしていただきたいのです。

 

・赤字は、魔女あるいはゲームマスターしか宣言できない。

・人間側のプレイヤーは、人間で99%まで詰めることができた事柄を、補

 助的に魔女が赤字に昇華できる。

・探偵権限を持つ者の観測は真実として赤字を提示できるが、そうでない

 者の観測はこの限りではない。

 

こんなカンジでしたね。そしてこれをエリカは徹底して守っていたはずです。EP6のエリカは探偵権限を持っていないため、いくらエリカの目が写真並であっても自分の目で確認したことを事実として宣言せず、マスターである戦人にすべて宣言させていました。客室の封印が維持されているか否かもしかり、エリカは観測しているにもかかわらず、封印がどうなっているのかはマスターの編集権の内だとして、戦人に封印は維持されていると言わせていました。

人間側であるエリカができるのは、自身で行った封印の完成度が高く、99%の密閉を構築できたとき、補助的にガートルードとコーネリアに赤字に昇華してもらっていたのですね。

 

ところがドッコイ。いとこ部屋と隣部屋の封印の赤字は、施した当初こそ赤字で密閉を保証できたとしても、その封印は破られないことを保証するものではなく”破られない間は密閉を保証する”ものです。つまりそれまでとまったく同じで、”破られているか破られていないか”はマスターの編集権の範囲であって、エリカ側、人間側が提示できる赤字ではないはずです。にもかかわらずガートルードは宣言しましたね。破られていないと。

超絶、不可思議です。

 

百歩譲って、エリカが目測しているならわかります。エリカが扉を観測し、破られてないことを99%の事実として確認した後に、ガートルードが補助的に赤字に昇華するのなら、まだ許容できます。それまでのエリカの行為と整合性は取れなくなりますが。

ですが実際はどうでしょう。エリカは戦人の客室から退室していませんから、扉の封印がどうなっているのかは人間の真実として確認、提示することはできないはずです。それでも提示できましたね。破られていないと。

 

 

 

 

もっとカンタンにいえばこういうことです。

戦人はエリカに追いつめられて、このままではロジックエラーになっちまうからと、じゃあ隣部屋の封印は破られてたことにしちゃおう、それで隣部屋の誰かが助けに来てくれたことに物語を変更だぜ、がゲームマスターには許されているはずなのに、それを阻害したのは人間側の真実構築の権利を大幅に逸脱した赤字であることが、変すぎやしませんかということです。

 

これはもう、ガートルードの宣言した赤字はマスターである戦人が言わせたものだ、と捉えるしかありません。EP5でも、マスターであるラムダが敵側の魔女コーネリアに赤字宣言の制約を設けさせることができました。金蔵の書斎のときです。敵側の魔女であっても、赤字の提示権限はマスターがコントロールできることの証ですから、EP6ではその逆を戦人は行使したということで、おかしなことではありません。

 

では、自らにトドメを刺す赤字をなぜわざわざ宣言させたのか。わざとロジックエラーに陥ったからだ、と考える他ないんですね。

これが茶番であるということの、まあ決定的証拠というやつです。

 

 

 

 

 

 

 

 

茶番ついでにもうひとつ。そもそも、ガムテープの封印による人間の隔離ということを、人間の真実によって構築することは不可能です。ガムテープの封印の完成度に懐疑の念を持っているわけではありません。それ以前の問題です。

 

ガムテープの封印は、人間の手で行ってはじめて人間側の真実として構築したことになります。考えてもみてください。いとこ部屋と隣部屋の扉に封印を施している間、窓側から脱出されない保証がどこにあるのでしょう?ありはしません。止まった時の中で作業しない限りは。

 

止まった時の中で動ける者は、もはや人間の行動を逸脱していますから、EP6における両部屋の封印の赤字は、もはや人間側の構築した真実ではありません。それを赤字で宣言できていること自体、すでに戦人がマスター権限で言わせているにすぎないのです。つまりエリカをサポートしているということです。

封印と所在確認が時間的に逆だったら、何もおかしなことはありません。しかし実際は所在確認のあとに封印しているわけですから、所在確認が終えたあと、封印しているわずかな時間に窓から脱出できてしまいます。封印自体を赤字で言えたとしても、メンバーがそのまま中に居座ったままであることを人間の理屈で証明することは不可能なのです。それでも紗音を除いた全メンバーが居座ったままであることを宣言できているのですから、おかしさ満載です。

 

EP5とはちがうのです。EP5では、エリカがガムテープの封印を行ったことについて、時間的余裕も、実現可能性も、行う動機も、しっかりと人間の理屈を、真実を積み上げています。これがEP6ではまったく積み上げられていない、むしろ人間には実現不可能な行為になってしまっているということなのです。

 

 

 

 

 

 

これについての考え方として、私はそもそもEP6においてエリカはガムテープの封印なんか行っていないという捉え方をしています。示したように、両部屋の封印の赤字は人間側が構築した赤字ではなく、魔女側が宣言しているにすぎませんから、別にガムテープを使う必要性はまったくないのです。

さらに、「ガムテープの封印がなされた」などという赤字はEP6には存在しません。封印、密閉、などと表現されているだけで、ガムテープによる封印という赤字は一つもないのです。

 

そもそも、ガムテープの封印には、行う動機も人間の理屈で構築することは不可能です。これもEP5とはちがう部分ですね。EP5では苦しいながらも、殺人事件が起こる予感がしたから事前準備として施した、という理屈を提示しています。ですがEP6では何もありません。というか、メタ世界のバトルに勝つため、というメタ世界の動機しかありえませんから、人間の理屈ではありません。

 

 

 

ガムテープの封印なんてされていない証として、この一文を引用します。

「扉、窓の封印により、いとこ部屋、隣部屋の両部屋の密封は保証されマシタ。

ドラノールのセリフですが、「扉、窓の封印により」が赤字になっていません。これはつまり、扉と窓の封印なんて行ってないから赤字で言えない、にもかかわらず、密封の保証は魔女側により何の根拠もなく赤字で宣言できるがゆえに、それを宣言させてもらった、と解釈できるのです。

 

 

 

これにより、

ロジックエラー時に隣部屋の窓の封印が暴かれていたことを理由とする青き真実の使用を禁じるものと知り給え。

を抜ける解釈もカンタンになります。

”窓の封印”なんて最初からされていないから、暴く必要もなくただ窓から退室したという行為を以って青き真実に組み込めばいい、という捉え方をすればいいわけです。

 

 

 

 

 

 

この考えに否定的な赤字はたったひとつ。

隣部屋は確かに封印されましたが、ロジックエラー時には、扉のみしかその維持が証明されませんでした。

これだけです。これだけ抜ければいいのです。

 

隣部屋は確かに封印されましたが、と言っている以上、封印がされたことは紛うことなき真実です。しかし、やはりガムテープだとは言っていませんから、ガムテープではない封印を施したと解釈してもいいんです。

 

つまり、カギ、で十分じゃないでしょうか。カギを掛けた、という事実を以って封印と言い換えても差し支えないと、個人的には思います。ただ、封印という単語のニュアンスとして”外側から施すもの”という印象もありますから、「外側からカギを掛けた」ことを以って封印と宣言したという解釈をしてもいいと思います。別に内側からでもいいと思いますけど。

外側から掛けるカギについては、南京錠あるいは帽子掛けのカンヌキなど六軒島には伏線としてしっかりあります。あとは、エリカが(霧江が)それを施したとする人間の理屈をしっかり構築すればいいだけですが、これは一応本文にて提示させていただきました。参照してみてください。

 

そして、この”外からの施錠”という概念を、窓にも適用させる必要はありません。他は内側からの施錠で済ませ、何処か一箇所だけ外からの施錠を施せば、それは封印と言って差し支えないはずです。

こうしておけば、窓からの脱出も”封印を暴く”ことにならずに済みます。”封印を暴く”のニュアンスは「Aくんが施した封印をBくんが無効化する」のはずで、「Aくんが施した封印をAくん自らが無効化する」という状況は”封印を暴く”ではなく”封印を解く”ですね。隣部屋の窓の施錠を(あるいは鎧戸?)紗音が施していて、そこから出る際にまた自らがそれを解除したとなれば、”封印を解いて”脱出したという状況になるのですから、すべての赤字に矛盾することなく解釈変更を終えられます。

 

 

 

 

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