羽入の誕生

 

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羽入のすべてはここでは語れません。医学的に語れる、概要、大枠について綴っていくことにします。

 

 

 

羽入は、梨花以外には視認できません(祭囃し編を除く)。これは精神医学でいうところの「イマジナリーフレンド」です。

 

 

イマジナリーフレンド ー Wikipedia

(抜粋)

多くは本人の空想の中だけに存在する人物であり、空想の中で本人と会話したり、時には視界に擬似的に映し出して遊戯などを行ったりもする。一人っ子や子供に見られる症状だが、大人になってもイマジナリーフレンドが存在する場合もある。大半が自分自身で生み出したケースが多く、本人の都合のいいように振る舞ったり、自問自答の具現化として、本人に何らかの助言を行うことがある。反面、自己嫌悪の具現化として本人を傷つけることもある。その他、イマジナリーフレンドが自分自身の体内に入って人格交代を起こし、自分自身の意識は眠ってイマジナリーフレンドの人格になるなど、解離性同一性障害のような症状になることもある。

 

 

 

上記すべてが梨花と羽入を示しています。 この中に、人格交代による解離性同一性障害のようなことが起こることもあるとされています。いわゆる多重人格です。多重人格は、幼い頃のトラウマなどが原因で発症することがあるそうですが、梨花はどうなのでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

梨花は両親からDVを受けていた可能性が示されています。

 

まずは梨花ママから。

 

 

 

ーーーTIPS 母の日記ーーー

私はあの子(梨花)がどこか好かない。

こうして文字に書き出してみて、初めて自覚する。

 

私の機嫌が良かったある日。

あの子を喜ばそうと、あの子の喜びそうなメニューに腕を振るった。

…なのにあの子は、曖昧な表情で、退屈そうに笑うだけだった。

私はその様子に直感的に頭に来て、あの子の頭を叩いた。

 

お天気の良かったある日。

干したばかりの洗濯物が強い風にあおられて、物干し台ごとひっくりかえって大変なことになった。

…なのにあの子は、慌てて洗濯物を拾う私を見て、けたけたと大笑いをしていた。 

私はその様子に直感的に頭に来て、あの子の頭を叩いた。

 

そんなことが、何度かあったと思う。

いつしか、あの子は私に退屈そうな表情しか向けなくなっていった。

……私は悪い母だったことを反省した。

 

縁側で、何かの工作をしているあの子に会い、私は声をかける。

あの子は、…私の大嫌いな、あの退屈そうな表情で私を見上げ、何も応えずに目線を再び手元に戻し、工作に没頭した。

……今までの私なら、この仕草だけで頭を叩いている。…ぐっと堪える。

(会話略)

私は、我が子の考えが久しぶりに理解できて、嬉しさを隠せなかった。

(会話略) 

…私はこみ上げてくる感情を必死に抑える。あの子を理解しようと必死に努力する。

(会話略)

あの子は、……私の一番嫌いな、あの表情を向けた。

梨花「晴れにね、…飽きたの」

……わからない、わからない。…私にはあの子が、わからない……。

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日記は一旦ここで終わっていますが、当然このあと梨花は頭を叩かれたのでしょうね。梨花が幼稚園の頃から、日常的に母親からDV被害に遭っていたことが伺えます。

 

次は梨花パパ。

 

 

 

 

ーーー祟殺し編ーーー 

沙都子「……祭具殿の屋根に、……よじ登ったことがありますの。…何年も前のことですわ」

(沙都子が祭具殿から出る際に、いろんなものを壊してしまった様子略)

その凄まじい音は境内にも聞こえたようだった。

……何人かの子供たちが聞きつけて集まってきた。その中には…もちろん梨花の姿も。そして、梨花の父親の…神主さんも形相を変えて走って来た。

……そして、…………どういうことになったのかは、……思い出すのも苦しい…。

梨花の父親は、……祭具殿に入れるカギの所在を知っているのは梨花だけ。…だから、……梨花がかくれんぼで、この中に隠れていたずらしたかたこうなったのだろう、と………梨花を叱った。

……すごい剣幕で怒っていた。

……見ていて…怖くなるくらいに。

……梨花の背中を剥き出しにして、変な形をしたお祭り用の杖みたいなもので何度も打ち据えていた。

その時の……梨花の、……ボクじゃないのです……ボクじゃないのです…ごめんなさい……ごめんなさい……、…という…哀れな声が…今でも耳から離れない。

私は、……名乗り出るべきだった。

……梨花の父親の恐ろしい形相に怯えず、…濡れ衣の親友を救うために…名乗り出るべきだった。

梨花は…身に覚えのない罪に……涙を流しながら歯を食いしばっていた……。

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これもやばいですね。

何年も前ってことは、やっぱり幼稚園あたりの頃です。その時期の女の子にする折檻としては、間違いなく強めの類に属するでしょう。これが日常的だったかどうかは示されていませんが、歯を食いしばって耐えている様子は、こういった仕置のやり方が初めてのことではないことを暗示していそうです。初めてのどぎつい仕置に直面した子供(しかも幼稚園児)の反応として、「歯を食いしばって耐える」となるのは自然とは言い難いですから。

 

幼稚園児ではない詩音の、初めての爪剥ぎ取り仕置に対する反応を思い返してみてください。ギャーギャー喚いていたあのカンジが、やっぱり自然ですよね。それが何度も続いてようやく人は、抵抗が無駄だと学習し、「歯を食いしばって耐える」という反応になるのです。となれば梨花は、何度も同じような折檻を経験していることが伺えるということです。

 

変な形をしたお祭り用の杖みたいなものってなんだろう。おおコワ。

 

 

 

 

そして、この両親の行いが梨花にとって、どちらも身に覚えがないというところがミソですね。悪いことをしたと自覚がある程度あるならともかく、無いのにもかかわらず叩かれるということが、幼い子に悪影響があったとしても不思議はない、そんな家庭環境だったのです。

だから彼女は未来に生きるようになったのですね。今日とはちがう明日を夢見る、それは、昨日も今日もあった虐待が明日も当たり前のようになされるだろう予想を、裏切る日になるといいなと夢見ていたことを示しているのでしょう。

 

 

 

 

ーーーTIPS 二重人格???ーーー

リポーター「でもでも~、二重人格なんて何だかカッコイイですよね~!どういう人が二重人格になれるんですかぁ?」

教授「なれるといいますか…、なりやすいといいますか…。最近の研究では、遺伝と心因が複雑に絡み合い…。中でも幼少期の育児体験が大きく作用するのではないかと言われています」

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幼少期の育児体験が大きく作用し、二重人格の形成へと導かれる。これは梨花の幼少期を説明するのに不足はありません。

 

 

 

 

梨花はこう思ったことでしょう。自分はなぜ叩かれるのかと。上記の体験は、梨花が叩かれるに足るほどの悪い行いは何一つやっていません。それでも叩かれた。それはなぜだろう。

 

それは、自分がオヤシロさまの生まれ変わりだからだ。

 

オヤシロさまの生まれ変わりだからこそ、祭具殿が荒らされている状況を、管理監督責任を咎められた。オヤシロさまの生まれ変わりだからこそ、「退屈そうな笑顔」も「けたけたと笑うこと」も「退屈そうな顔」も咎められた。オヤシロさまはきっと、どの顔もしてはいけない。きっと「いつも退屈そうでない笑顔で、けたけたとは笑わない」ような顔をしているのだろう。

 

だから、叩かれているのは自分ではない。

オヤシロさまが叩かれているのだ。

 

 

梨花はこのような思考をすることで、この辛い環境からの逃避を試みた。そして叩かれる役目として召喚に成功したのが、オヤシロさまの生まれ変わり、羽入です。梨花は叩かれる際、羽入を召喚することで自らの精神を守っていたのです。

 

昭和58年時の梨花は、当時の両親のことをよく思い出せないというようなことを言っています。この、当時をよく思い出せないというのは、DV被害者によくある現象です。その頃のツライ思い出を思い出さないように脳がセーブをかけているのです。そのセーブをかける役割を担ってくれたのが、羽入という人格だった。

 

 

 

解離性同一性障害 ー Wikipedia

(抜粋)

解離性障害は本人にとって堪えられない状況を、離人症のようにそれは自分のことではないと感じたり、あるいは解離性健忘などのようにその時期の感情や記憶を切り離して、それを思い出せなくすることで心のダメージを回避しようとすることから引き起こされる障害であるが、解離性同一性障害は、その中でもっとも重く、切り離した感情や記憶が成長して、別の人格となって表に現れるものである。

 

 

 

「離人症」というのだそうです。解離性障害の一つです。心のダメージを、羽入に転嫁することで回避することができた。羽入は、梨花のツライ部分を負担させられる役割として、生まれてきたのです。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この現象を説明する、病理学的なアプローチが可能な知見もあります。「レビー小体型認知症」というのだそうです。

 

 

レビー小体型認知症とは

(抜粋)

レビー小体型認知症は、アルツハイマー型認知症に次いで多い認知症です。1976年に、日本の小阪憲司(現横浜市立大学名誉教授)らによって報告され、1995年にレビー小体型認知症という名称が付けられました。

レビー小体型では幻視や妄想などの症状が見られますが、これは視覚を司っている、後頭葉と呼ばれる部分に病変が起こる為に、視覚に異常が起こるものです。

初期の段階で物忘れよりも、本格的な幻視が見られる場合が多くなります。

幻視は、「虫や蛇などが部屋にいる」「知らない人がいる」「遠くにいるはずの子供が帰ってきている」などと訴え、いるという場所に向かって話しかけていることもあります。

誤認妄想というものも、レビー小体型では見られやすくなります。まだ働いていると思っていたり、まだ自分は若くて子供も小さいと思っていたりします(つまり時間の見当識障害)。

レビー小体型では、頭がはっきりした調子の良い時と、ぼーっとしている時を繰り返しながら進行します。

初期の段階からうつのような症状が見られる場合が多く、うつ病と間違えられる事もあります。また、何となく元気がないとか、食欲がないなどの訴えがみられます。この他にも、眠れないなどの訴えもあり、寝ている時に暴れたり大声を出したりする、レム睡眠行動障害と呼ばれる症状が出る事もあります。

 

認知症の種類:レビー小体病

(抜粋)

とても生々しい幻視がみえる

「座敷で3人の子供たちが走り回っている」といった、非常にリアルな幻視を見ます。幻視は、極めてリアリティのある等身大の人物群が登場することが多いのだという。等身大の人物がどかどか出てくるという特徴がある。

 

レビー小体型認知症はどんな病気?

(抜粋)

しっかりしているときもあるため「病気」と思われないことがあります。また、初期では認知機能の低下が目立たない場合もあります。脳の神経細胞に「レビー小体」というたんぱく質のかたまりができます。レビー小体が神経細胞を傷つけ壊してしまうので、結果として認知症になります。レビー小体は脳だけでなく、全身に張り巡らされた神経にもできます。どこの部位に多くできるかによって症状が異なるため、別の病気と思われやすいのですが、「レビー小体病」として総称されています。MRI や脳血流の検査では、健康な人や他の病気との区別が難しい例もあります。

 

 

 

 

レビー小体と呼ばれる「特殊なタンパク質」が脳に溜まっておきる病気だそうです。1995 年に命名されたこの病気も、やはり当時の雛見沢には存在が認知されていないものです。タンパク質が原因というのは、プリオン病に関連するものを伺わせますね。

 

主な症状の中には「幻視」「時間の見当識障害」があります。また、たまにボーっとしたり、鬱な感情になったりといった症状もあるそうです。これらすべてが、梨花を描出しています。梨花に見える羽入の姿は、幻視という症状を表しているのではないでしょうか。

 

 

 

梨花ママが梨花の頭を殴ってたという事実から、梨花の頭(脳)に障害が起こってしまったと連想することができます。そして、当時認知されてなく、精密検査でも健常者と区別が難しいとされるこの病気の存在を、誰も捉えることができなかった。だれも彼女の勘違いを、認めることができなかったのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーひぐらし大医学部精神医学科資料(了)

 

 

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