2年目の祟り

 

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前々項(すべての伏線が示すその人物の闇と狂気)

前項(暇潰しに怪死事件を振り返る)を踏まえた話です。

ココ見てないと、これ以降の話がイミフだと思うよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次に2年目に移ります。

 

 

 

 

1年目を経て、入江機関はこの犯人から雛見沢症候群の病原体を検出し、さらなる進展のために梨花に解剖の依頼をすることになります。

 

梨花が入江機関の存在を知ったのは、このときだと思います。これ以前に、梨花が入江機関のことを知るすべはないでしょうから。となれば、赤坂に祟りを伝えた段階、そして1年目の祟り実行の段階では、入江機関の動きを考慮していない前提で組まれた、5年間の計画だったことになりますね。

 

 

 

梨花の最初の計画では多分、すべての祟りの火消しを、園崎家に担ってもらう予定だったんだと思います。しかし、その計画の軌道修正が求められることとなりました。なぜなら、大臣の孫の誘拐や1年目の祟りの事件、これらの火消しを行っていたのは園崎家ではなく入江機関であることがわかってしまったからです。

 

 

 

ひぐらし全体を見渡せばわかるかと思います。園崎が、警察の捜査に圧力をかけられる存在であるかのように思ってしまいがちな状況のその実、園崎が園崎の意志で、警察の捜査に圧力をかけることができた案件などひとつもないことに。梨花も最初は、ここを勘違いしていたと思います。しかしその実態は、入江機関が『入江機関の都合で』警察に圧力をかけていたことを理解してしまったのです。

 

 

 

梨花は困ったことでしょう。梨花は、2年目の事件において、沙都子の両親を沙都子自身に殺させる計画でした。なぜなら、仮に沙都子以外に犯人役を用意できたとしたならば、その犯人の標的に沙都子が入ってきてしまう可能性を排除できないからです。もちろん、沙都子は殺せない。沙都子の両親だけ殺したい。これを満たす人物が、沙都子以外に適任がいない。

 

もっといえば、梨花の征服欲が働いたということもあるのでしょう。沙都子に、両親殺しという一生消えない傷を負わせることで、クソ生意気な賽殺し編のような沙都子に戻ることは絶対なくなる。梨花だって、自分の意志で両親に消えてもらうんだから、梨花が殺すようなもんです。自分と同じ罪を沙都子にも背負わせたい、という支配欲もあったんだと思います。

 

 

 

 

さあ、では沙都子に両親を殺させたとします。するとどうなるでしょうか。警察が捜査し、いずれは沙都子に辿り着く。沙都子が捕まってしまう。

 

これまでは、園崎が警察の動きを封じることができるものだと思ってしまっていたから、お魎を誘導するだけで、警察の捜査を中止にもっていくことができるはずだという計画だったのでしょう。それが、そうではないと知ってしまった。警察の捜査を中止させるには、入江機関に動いてもらわなければならないと知ってしまったのです。

 

 

 

 

 

そのために、計画の修正に入った。その肝は、沙都子に入江機関の患者になってもらうこと。そうすれば、貴重な検体である沙都子を警察の手に渡すわけにはいかない入江機関の力が働くだろうという計算が立った。

 

 

しかし、まだ問題が残っていた。沙都子を入江機関の研究材料にするということは、生体解剖されてしまうことを意味するからです。現場監督殺害犯のように。 これをなんとしても防がなくてはならない。

 

だから梨花は、自分の脳を解剖させることを受け入れたのです。その後もモルモットとして、入江たちの研究に協力した。それは、入江機関の研究を促進し、治療薬を作らせるためだった。なんとしても入江たちに「沙都子を生体解剖しなくてもいいだけの薬」を2年目を迎える前に作らせなければならなかったのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

具体的に計画を追っていきましょう。

 

 

暇潰し編

梨花「…その翌年の昭和55年の6月の今日。……沙都子の両親が突き落とされて死にます。…あるいは、事故というべきかもしれない。…不幸な事故」

 

 

 

 

重要なのは、沙都子の両親だけを排除するために、沙都子自身に殺させること。その上で、沙都子が警察に絶対に捕まらないようにすること。そのために、警察に圧力がかけられる入江機関の後ろ盾を得ること。

だから沙都子にも、当分の間は、入江機関のモルモットになってもらう必要があった。彼らに、沙都子が研究材料だと思わせる必要があった。そのために必要だったのは、沙都子に少しきつめに薬物を盛ることだった。

 

 

 

 

 

使う薬は2種類。

 

まずは、カート。

これを沙都子の両親に定期的に服毒させることで、常に彼らがイライラ状態になるように保った。沙都子の両親が穏やかになってしまったらダメなのです。沙都子に対して、日々、ストレスをぶつけるような態度をとってもらわなければならなかった。

 

そして沙都子に盛ったのは、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)か、もしくはインドジャボク(ラウオルフィア)だと思います。

 

 

セイヨウオトギリ - Wikipedia

(抜粋)

現代医学において標準的なセント・ジョーンズ・ワートの抽出物はうつ病不安障害の一般的な処置として用いられている。ホメオパシーにおいては多くの医学的な問題に対する処置として用いられるが、その効果の程は正確には記載されていない。セント・ジョーンズ・ワートが機能する機構は正確には不明であるが、従来の選択的セロトニン再取り込み阻害薬 (SSRI) 系の抗うつ薬と同様にセロトニンの再吸収を阻害することが関係すると信じられている[18]

 

 

インドジャボク - Wikipedia

(抜粋)

根にレセルピン(reserpine)という降圧作用、鎮静作用のある成分と、アジュマリンという抗不整脈作用がある成分が含まれており、これらは医薬品として使われる。インドではインドジャボクの根を民間薬としてヘビの咬傷、精神病などに使う。レセルピンは副作用の問題があるとはいえ抗精神病作用があると認められており、民間薬として利用されてきたのには根拠があったことになる。一方、伝統的な漢方方剤では、まず使わない。

 

 

レセルピン - Wikipedia

(抜粋)

レセルピンreserpine)とはアドレナリン作動性ニューロン遮断薬の一つ。シナプス小胞へのカテコールアミンセロトニンの取り込みを抑制し、その結果、これらがシナプス小胞内において枯渇することによって作用する。精神安定剤血圧降下剤として用いられる。適用は、高血圧症フェノチアジン系薬物の使用困難な統合失調症などである。適用外だが、レセルピンは抗うつ薬としても効果がある。服用後に一部の患者で見られる抑うつ症状は、うつ病ではなく、アカシジアである。

 

 

 

これは抗うつ薬と同様の効果があると信じられている薬物です。抗うつ薬とは、セロトニンという別名『幸せホルモン』と呼ばれるホルモンを、増幅してくれるものです。これにより、沙都子の日々のストレスを緩和させることができます。

 

しかし、そのストレスは消えるわけではありません。「裏に移す」「裏に溜まる」だけなのです。その状態が長く続けば、意図的に増幅されたセロトニンは、通常よりも早期に使い切られる。枯渇するのです。それが抗うつ薬の真の効果。梨花の狙いはそこにあった。

 

 

三環系、四環系抗うつ薬等と攻撃性について

(抜粋)

また,因果関係が否定できないと評価されたものを含め,因果関係を精査した副作用報告の多くが, 躁うつ病患者や統合失調症患者のうつ症状等の併存障害を有する状況において,抗うつ薬を処方された ことにより,興奮,攻撃性,易刺激性等の症状を呈し,他害行為に至ったか,あるいはその併存障害の 進展により他害行為が発生したことが疑われ,SSRI及びSNRIと同様の傾向が認められた。

[慎 重 投 与]

衝動性が高い併存障害を有する患者 自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者,自殺念慮のある患者 うつ症状を呈する患者は希死念慮があり,自殺企図のおそれがあるので,このような患 者は投与開始早期ならびに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深 く観察すること。 不安,焦燥,興奮,パニック発作,不眠,易刺激性,敵意,攻撃性,衝動性,アカシジ ア/精神運動不穏,軽躁,躁病等があらわれることが報告されている。また,因果関係 は明らかではないが,これらの症状・行動を来した症例において,基礎疾患の悪化又は 自殺念慮,自殺企図,他害行為が報告されている。患者の状態及び病態の変化を注意深 く観察するとともに,これらの症状の増悪が観察された場合には,服薬量を増量せず, 徐々に減量し,中止するなど適切な処置を行うこと。 家族等に自殺念慮や自殺企図,興奮,攻撃性,易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪 化があらわれるリスク等について十分説明を行い,医師と緊密に連絡を取り合うよう指 導すること。

〈セチプチリンマレイン酸塩〉[四環系抗うつ薬]

興奮,衝動行為,焦燥感

投与14年前 統合失調症発病。 投与開始日 意欲低下のため,本剤3mg投与開始。

投与15日目 本剤6mgに増量。

投与53日目 興奮,衝動行為(ガラス窓を割り,叫び声を上げる),焦 燥感が発現。

 

 

ガラスを割る事例があったんですね。

竜宮礼奈じゃんね。

 

 

痛みと鎮痛の基礎知識

(抜粋)

セロトニントランスポーターに選択的に作用し、再取り込みを阻害することにより、シナプス間隙のセロトニン量を増やす。

前頭葉類似症候群 frontal lobe-like syndrome

  • 長期に使用した場合に無気力状態(anti-depressant associated ashenia)が出現する。
  • 正常気分であるが、無関心で動機付けが起こらず、疲労感があり、精神的に鈊い感じが残る状態。
  • 前頭葉や脳幹のノルアドレナリンやドーパミン活性が低下し起こると考えられている。

 

うつ病を引き起こす薬物にはどんなものがあるのか。薬剤惹起性うつ病の原因と特徴

(抜粋)

薬剤性うつ病の原因となりえるお薬というのは、実はたくさんあります。

・レセルピン(商品名:アポプロン)

薬剤性うつ病は、お薬で不自然に誘発されたうつ状態であるため、典型的なうつ病の経過とは異なることが多くあります。焦燥感や幻聴といった、本来であればうつ病の中核的な症状にならないものが目立ったり、場合によってはうつ病の診断基準を満たさないような症状の出方をすることもあります。

 

 

抗うつ薬の投薬は、その副作用に衝動行為があります。若年層に顕著だそう。これこそ梨花が望む効果。

 

沙都子は、梨花の盛った抗うつ薬によって、辛いDVのストレスを裏に渡して、表向きだけはスッキリすることができた。沙都子の両親はまたカートを盛られて、イライラと興奮を沙都子にぶつける。再び沙都子は、抗うつ薬でストレスを抑え込む。このローテーションが、長期間に渡って繰り返された。

 

そうなったときに陥る精神状態こそ、『カケラ紡ぎ 北条沙都子』で表現される状態です。両親に対し疑心暗鬼に陥って、悪感情が渦巻いているもうひとりの沙都子が育ってしまっていますね。抗うつ薬を服薬させ続ける限り、沙都子はその悪い考えを実行することはありません。実行に移される前に、セロトニンが働き、悪感情を表向きは消しされるからです。だから2年目の祟りの日の直前まで、梨花は沙都子に抗うつ薬を盛り続けた。

 

そして、事件当日。梨花は沙都子に、カートを盛ったのです。カートによって、ノルアドレナリンの増幅がなされた。ノルアドレナリンの増幅は、気力の回復です。悪心を持ったまま、悪心を最大限まで育てた上で、それまでそれを実行する気力を奪われていた鬱状態から解放され、気力と行動力が回復した。これがヒトを犯罪に導く、ひぐらしの方程式です。

 

 

TIPS 自殺を誘発するクスリは?

鬱状態の患者は自信を喪失し非常に悲観的だ。だが自殺もせん。自殺をする気力すらないからだ。…躁の状態もまた自殺をせん。今度は逆に、非常に自信過剰で行動的なので、自らを順風満帆と思う。だから自殺などせんのだ。

鬱状態には自殺願望はあるが、自殺という大仕事を遂げる気力すらもない。だが躁状態が始まると徐々に気力が充実し、体の自由が利くようになってくる。だからこの時期に変な気を起こさんように、向精神薬をたっぷりと処方するわけじゃな。

 

 

 

これは、自殺に対する監察医の見解ですが、この「自殺」を「殺人」に置き換えてもまったく齟齬はありません。ひぐらしにおける殺人は、この考えがベースになっていると思われます。沙都子は、梨花によってこのように心をコントロールされ、2年目の祟りの日に、両親を殺すように仕向けられていったのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

沙都子たち親子にカートを盛る方法は、彼女らの食材に混ぜることで実現させたのだと思っています。

 

 

 

TIPS 母の日記Ⅱ

ある日、私は驚いた。

私は偶然、買い物の帰り、とある駄菓子屋の軒先にひとりいるあの子を見つけた。あの子は、おもむろにお菓子を一掴みすると、そのまま包装を剝いて口にし始めたのだ。お金を払おうという素振りなどなかったし、周りをうかがうような仕草すらなかった。万引きどころか、…まるで差し出されたお菓子でも食べるかのように、平然と口にしたのだ。

私があの子を叱り付ける声に、駄菓子屋の老主人が現れ、あの子をかばった。老主人は、あの子には好きに店頭のお菓子を食べてもいいと言ってあるからいいのだ、ととんでもない言い訳をした。

 

 

これが示すとおり、梨花は店にある商品を、自由にいじれる立場にありました。駄菓子屋だけとは限らないでしょう。梨花をかばう人が群れをなすんですから、当然他の店でも梨花は VIP 扱いをされていたとみて間違いありません。梨花はこれを利用したのです。沙都子の両親の買うであろう食材を事前に把握し、店頭にてそれにカートを混ぜたのです。

 

沙都子自身に抗うつ薬を摂取させるのは、手渡しで問題ありません。実際に、飴玉あーんのシーンもありますし。そういう駄菓子に、抗うつ薬を混ぜ、沙都子にあーんさせるだけでいいのです。

 

 

 

 

 

 

  

 

そして、その後もしばらく沙都子にカートをキツめに盛り続けた。その狙いは、カートというアンフェタミンが引き起こす精神病、「精神刺激薬精神病」にすることだった。

 

 

 

精神刺激薬精神病 - Wikipedia

(抜粋)

アンフェタミン類や、置換アンフェタミン類の薬物では、慢性的に乱用したり、高用量を使用した際に「アンフェタミン精神病」を誘発する事が知られている[9]アンフェタミン精神病の症状は、聴覚と視覚の幻覚、被害妄想が挙げられ、そして、はっきりした意識と極度の興奮が同時にある妄想である[11][12]。メタンフェタミン精神病からの回復における日本での研究は、メタンフェタミンの中止から、10日以内に64%の回復率を、30日以内に82%の回復率を報告した[13]。しかしながら、使用者の約5~15%は、長期間における完全な回復ができないことが示唆されている[14]。さらには、小量でさえも精神病は急速に再形成される[13]。いくらかの事例では、置換アンフェタミン類が使用されなくても、心理社会的なストレスは精神病再発の独立した危険因子となることが判明している[15]。長期化するか否かについては、下記の#鑑別診断も参照。急性アンフェタミン精神病の症状は、統合失調症の急性期のものと、酷似している[9]

 

 

 

これは、統合失調症に似た精神状態に陥ってしまう病気です。そして、医師からは統合失調症と診断されることもままある病気です。入江たちにとって、この雛見沢で住人が統合失調症になることは、雛見沢症候群を発症したことを意味するのは周知の事実です。それが梨花の狙い。こうすれば沙都子は、無事、入江機関の研究材料として迎い入れられる。

 

そして仕上げに、約1年かけて作らせた雛見沢症候群に効果のある薬を試させることで、沙都子の生体解剖を回避させたのです。

 

 

 

ちなみにですが、入江が開発したその薬は、別に効こうが効くまいが関係ありません。だって、沙都子の症状「精神刺激薬精神病」は、アンフェタミンの投与を止めれば、ほっときゃ治るものだからです。重要なのは、入江機関に、「沙都子に効く薬を開発できた」という認識を与えられればよかった。そのための薬を作らせる時間を1年間用意したのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さらには、警察に決定的証拠をつかませるわけにもいかなかった。だから梨花は、沙都子にトラップを教えたのです。私は、沙都子のトラップは、梨花が教えたものだと確信しています。なぜなら、沙都子のトラップに対する考え方は、梨花の先読みの力そのままだからです。

 

 

 

TIPS 沙都子のトラップ講座(初級)

……沙都子と梨花ちゃんが言うには、…小学校低学年の頃、トラップ作りが沙都子的に大ブレイクして、この山の至るところに仕掛けて回ったらしいのだ…。

 

TIPS 沙都子のトラップ講座(中級)

圭一「……いやしかし……、…よくかかったよなぁ…。……あんな器用なトラップ、富田くんが窓を登る時、どこに手を置いて、どこに足を置くかとか、どこへ飛び降りるとか、そういうのを全部読まなくちゃ絶対に掛からないぞ…?!」

沙都子「いいですこと、圭一さん。トラップの第一歩は相手の観察から始まりますのよ?相手の行動パターンを読み、相手ならこの時、こう動く、というのを綿密に読み切るんですの!そうすれば必要最低限の仕掛けで最大の効果が狙えるトラップが仕掛けられますのよー。」

…そう言えば、土壇場の最後の一手を読むことに関しては、沙都子には天性の才能があるって、前に魅音がベタ褒めしてたような。

 

 

 

トラップに必要なのは、相手の行動を読む力。沙都子は、読んだその先に罠を仕掛けるという応用を実践しているということです。基本部分は、読む力。それそのものは、梨花の最も得意とする分野であることは明白ではないですか。

 

 

 

 

だから梨花は、1年かけて、沙都子にトラップを磨かせた。そうすることで、両親が旅行に行くだけで、何もしなくても勝手に事故って死んでくれるトラップを習得させることができた。ひとつだけじゃないと思います。その日に、両親が事故で死んだように見える「デス・トラップ」をいくつも、いろんな場所に仕込んでいたんだと思います。

 

そのうちのひとつが「両親が柵に体重をかけたら崩れて落ちるトラップ」だった。仕掛けの証拠もろとも河川に消滅させられる、最高のトラップ。警察が沙都子を即座に捕まえることは絶対にできない、入念に調べたらもしかしたらバレるかもしれない程度のトラップ。ある程度時間が稼げればいいのです。入江機関が守ってくれますから。

 

これで、沙都子の両親だけがまるで事故にあったかのように死に、沙都子は生き残り、事件性が消える、そういう状況を作れるのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

計画は成功。

その後沙都子は入江機関によって拘束されることになります。ただ梨花は、沙都子の面会謝絶が予想よりも長く続いたことで、投薬する流れではなく生体解剖が行われる流れなのではないかと読みました。だから入江に直談判を行ったのです。

 

 

カケラ C103投与実験

入江「………解剖計画を中止させましょう。北条沙都子に対するC103投与実験に変更します。…せめて1%でもうまく行く確率があがるように、努力します」

梨花「…大丈夫ですよ入江。絶対にうまく行きますです」

入江「ははははは…。そんな、楽観してはいけません」

梨花「…大丈夫なのです。もう決まってることなのですから。これは、…古手神社の巫女さまの心強いお告げです…。ファイト、お~、なのですよ☆」

 

 

 

そりゃ大丈夫に決まってます。だって、沙都子の症状「精神刺激薬精神病」は、梨花がカートの投与を止めた時点から回復に向かっているのですから。時間が経てば自ずと全開する。入江たちはそれが、C103の効果だと勘違いしたってことですね。その勘違いこそが、梨花の計画の狙いだとも知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

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コメント: 2
  • #1

    七紙 (水曜日, 27 5月 2020 11:49)

    梨花が北条夫妻を殺したい動機がよく分からないですね。
    沙都子への復讐の一環でしょうか?

  • #2

    gultonhreabjencehwev (日曜日, 31 5月 2020 19:29)

    コメントありがとうございます!

    こういうのは、状況を紡いだ先に浮かんでくる、感覚のお話なので、どういう心理を想像したか、捕捉したかなどは、人によってちがってきちゃって難しいですね。私の感覚は以下です。

    梨花が沙都子と同じ境遇だということは書いたと思いますが、でもその境遇って実はいつでも変わりえます。なぜなら、沙都子と両親は和解しえるからです。和解されちゃうとどうなるかっていうと、沙都子は充実した毎日に戻れます。梨花の悩みは、沙都子にとって他人事になります。時間が経てば、共有していた感覚は薄れ、同志とはいえない関係性になります。例えば孤児施設で共に育った唯一の友達に里親ができ、里親と幸せに暮されてしまったら、残された子はその後どうやって毎日をすごしていけばいいでしょうか。

    「梨花、お母さんが夕飯までに帰ってこいってうるさいので帰りますわ。じゃあまた明日」

    遊んだ帰り際、こんなことを言われます。梨花はこれを孤独と感じ、恐怖を感じ、そんなことがあっていいはずがないと感じ、許せないと感じると思っています。それが私の思う、梨花像です。

    だからそうなることを、梨花マジックによって阻止しているのです。でもそれは長く続けられない。薬物に耐性ができるかもしれないし、それにより梨花のコントロールを外れ、想定外の展開になるかもしれない。だから、そうなる前に、今の関係性を永続させるために、沙都子の想いが自分から遠ざかることが生涯ないように、

    「大好きな友人たちに囲まれて幸せに過ごしたい。それ以上何も望んでいないの」

    を実現するためには沙都子の両親に死んでもらうのが一番。
    そんなカンジです!