4年目の祟りー園崎の事情

 

 

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さて、実際はどうなったか。死んだのは叔母でした。殺害現場は、お祭り会場と家の間の道中。叔母はなぜそんなところにいたのでしょう。誰かに呼び出されたのでしょうか。祟殺し編の鉄平のように。

 

繰り返しになりますが、呼び出したのは悟史ではありえません。それでも叔母は外出した。それが真実です。ならばそれは、だれの思惑だったのでしょう?

 

思い出していただきたいのは、前日の詩音と葛西の会話です。

 

 

目明し編

詩音「……ちぇ。…今年の綿流しで、叔母と沙都子が消えちまえばいいのにな」

葛西「…………」

詩音「…葛西、私は『憂慮』したよ?気を利かせてくれるとうれしいんですけど」

葛西「詩音さん、ご冗談を…」

 

 

 

これが答えだと思っています。葛西は、園崎詩音の言葉を『忖度』した。園崎本家にとっても疎ましい北条の人間を園崎の命令で消せる。それは、本家にとっても都合がいいことではないかと考えられたからです。

 

 

もちろん、お魎の許可が必要だったでしょう。葛西が独断でできる行動範囲をはるかに超えていますから。そして、お魎は GOサインを出した。だからお魎は、何者かの死亡報告を公由から受けたときに、それが叔母であると言えた。葛西が綿流しの日に叔母を殺すことを知っていたからだったのです。

 

つまり、葛西(もしくはその一派)が叔母殺しの犯人だったのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

ただし、この考えを否定する伏線がひとつだけあります。

 

 

目明し編

詩音「その叔母って、何とかならないの?憎き北条家の片割れなわけだから、園崎本家で制裁しちゃおうって話にはなってないの?」

葛西「…園崎本家としては、北条夫妻の事故死で一応のけじめが付いたので、北条関連では一切手を出すなと厳命が出ています。夫妻の事故死を疑う警察が、北条家近辺を未だマークしているという噂がありますので」

 

 

これがホントなら、北条関連では一切手を出すなと厳命が出ている以上、葛西が行動を起こせるはずがありません。厳命なのですから、まずお魎に「北条の叔母、殺っちゃってもいいッスかね?」って伝えようという段階ですでに命令違反ですから。

仮にお魎に伝えられたとしても、お魎はOKするはずがありません。一切手を出すなって命令しちゃった手前、それを自らが覆せない頑固な性格だということが、いたるところで描写されていますし。

 

これをどう捉えるか。

 

私は、葛西のこの厳命の話からしてすでに嘘である、と確信しています。なぜならば、北条夫妻の事故死で一応のけじめが付いたという解釈をしている人間など、雛見沢にただのひとりも存在しないからです。

 

 

目明し編

…鬼婆は、学園を抜け出したところまでは大目に見るつもりだった。だが、自分が園崎詩音であると、警察に告げたのではどうにもならない。

………そして何よりも。鬼婆が一番、不愉快に思っていること。……それは、私が悟史くんを庇ったことらしかった。…北条家は、ダム戦争の時、村を裏切った裏切り者の一家。その烙印は悟史くんと言えど免れていない。その北条家の悟史くんと、園崎家の私に縁があることが、面白くなかったというのだ。

鬼婆は口汚く北条家の悪行を罵り、悟史くんもその汚い血を引いている裏切り者の子供だと言い切る。

 

 

お魎は、悟史くんにも裏切り者の烙印を押しています。未だ悪行を罵ってます。ケジメ付いたんじゃなかったんですか?今さら何を言っているんでしょうか。極道の世界では、ケジメが付いたんなら、過去は水に流すんでしょ?これじゃ全然ケジメ付いてないじゃないですか。

 

 

皆殺し編

園崎茜「お前たちも、ダム戦争の時の北条夫妻の態度は知ってるだろ。あれを許せるのかって言われると、私も答えはノーだねぇ。園崎家と北条家はとにかく仲が悪かった。婆さまも公衆の面前で罵倒されてるしねぇ。それを水に流せってのは簡単じゃない。ケジメの問題だよこれはね」

圭一「……ケジメって何ですか」

園崎茜「堅気の言葉で言うと謝意だね。ただ、それを示すべき北条夫妻は事故で亡くなってる。それにあれだけのことをしてくれたケジメだ。安くはつかないよ。私たちも義理の世界で生きてる。頭を下げられたら水に流さないわけにはいかない」

 

 

園崎ママの認識を話しています。ケジメ付けろって言ってるじゃないですか。なら北条夫妻の死を以ってのケジメって、一体どこいっちゃったんですか。

 

 

北条関連で一切手を出すなっていう厳命の真偽はわかりません。表向きとはちがって葛西たち裏の人間には伝えていた、という可能性を否定するのは難しいかもしれません。

でも少なくとも、一応のケジメが付いたのでっていう葛西の主張は、絶対に嘘であることが明白です。一応のケジメが付いたとは、頭のお魎を含めて誰も微塵にも思っていないからです。ならば、北条関連で一切手を出すなっていう厳命の話がホントのことである可能性なんて限りなくゼロに等しいじゃないですか。

 

 

 

そして、お魎が北条に対する敵対心を改めたのは、悟史が消えて、魅音がお魎に怒って詰め寄ったからでした。これでお魎は目が覚めた

 

お魎「………魅音。……北条悟史が消えた日。…お前、私に詰め寄ったろが。私ゃな。…あれで目が覚めたんよ。…北条家がどうのこうの言う問題は、年寄り連中が死ねば時間が解決してくれるなんてんじゃあかんね。…そんなの待たず、早ぅ解決せんとなあかん」

 

つまり、お魎が北条に手をだすなと言い出すことがあったのだとしても、それは時系列的には4年目の祟りの後であって、その前の覚醒していないお魎さんの口から北条をかばう命令が出るとはとても思えません。

 

 

 

 

 

さらに。

 

 

 

 

葛西「昨日、……魅音さんから連絡がありました。……園崎本家としては、…詩音さんがご自分でけじめを付けられたので、これで決着とするそうです。」

詩音「…………悟史くんは、…どうなったの…?」

葛西「……………」

詩音「…葛西。…悟史くんは、無事なの…?」

葛西「……詩音さん。本家から、…北条悟史くんのことは忘れろと託かっています」

詩音「………………何それ」

葛西「詩音さん。…あなたと喧嘩はしたくないんで、これ以上この話はしたくありません。…本家からの言葉を伝えるのみに留めさせてもらいます」

 

 

 

詩音の『サヨナラ私の爪ちゃん事件』の数日後、悟史が失踪した日の翌日の葛西の発言です。先述のとおり、お魎は悟史が失踪した日に、魅音によって改心させられました。これは、その翌日の葛西の発言になります。

 

昨日、……魅音さんから連絡がありましたってことは、悟史が失踪したこと、さらにお魎が改心して北条がどうのと言うのはやめにしようって思い至ったこと、それこそお魎が北条に手をだすなと言い出したのだとしたらここしかないタイミングでの連絡の内容が伝えられたはずです。

 

北条悟史くんのことは忘れろと託かっていますってどういうことですか?

こんな託け、不自然極まりないことがわかるかと思います。

 

 

魅音「でも、…婆っちゃはあれで本当にけじめがついたと思ってるんだよ。詩音がちゃんと自分でけじめをつけて見せたから。それで全部終わり、って」

詩音「…そうでなきゃ困ります。あれだけ痛い思いしたんですから」

魅音「私ね、…私ね…。婆っちゃにね、怒鳴って言ったんだよ…。詩音と悟史をそっとしてあげて欲しいって!!ひっく!…そしたら…けじめをつけたら見逃そうという話になって…ぅっく!だからね、だからね!ちゃんと詩音ががんばったから…、もうね、二人は普通に過しても良かったんだよ…。なのに、…なのに…、悟史いなくなっちゃった…」

 

 

婆っちゃは、詩音と悟史に関しての一切を許した。なら忘れろなんて言うはずないじゃないですか。それに葛西は、魅音から連絡があったと言ってます。魅音から本家のその託けを渡されたことになります。魅音は、悟史を忘れなさいっていう本家の意志が、詩音に伝わったということを自覚していることになりますね。

 

なら魅音はこのとき、訂正するなりなんなりしないとおかしいじゃないですか。もう婆っちゃは許してるよと。この前は忘れろとかなんとかいう託けを葛西さんに伝えてもらっちゃったけど、そんなのもう無しだからと。うちらに気を使わなくていいからと。

 

 

 

 

 

 

 

 

葛西に関する、この筋の通らない歪を説明する理屈は唯ひとつ。葛西は、園崎本家が言ったことだという建前のもと、本家の考えがどうあろうと関係なく、詩音に対しては詩音を想って嘘をつくことがあるってことです。自分の意見じゃないけどって言い訳をはさみながら、自分の意見を詩音に伝えていたということなのです。

 

ならば、北条に一切手出し無用の厳命は葛西の嘘である可能性のほうが高く、であるならば葛西が4年目の実行犯であることを否定する伏線はもはや存在しません。

 

 

 

 

 

 

 

葛西が犯人だとすることで、わけわかめな奴が事件を自白したことにも説明がつけられます。その彼は、園崎が用意したスケープゴートだった

 

ヤクザが末端に罪を着せるやり方は、けっこうイメージ湧きやすいですよね。お前が釈放されたら報酬を渡すから捕まってこい、てなやり口でしょう。葛西は、用意したストーリーと事件当日の状況を細かくそいつに伝えた。だからその人物は、犯人しか知りえないような状況まで警察に話すことができたのです。

 

 

 

 

実際はどのような流れだったのかを追ってみましょう。

 

事件当日、葛西は誰も人が通らない時間帯を狙って、叔母を電話で呼び出した。内容はなんでもいいんですが、まあ、祟殺し編の圭一と同じような内容でいいんじゃないでしょうか。ノコノコ表れた叔母を背後から襲い、何度も殴った。

 

そして重要なのが、証拠となる凶器です。おそらく、その捕まる予定の奴の指紋でもすでに付けていたのでしょう、そのバットを、現場に放置して立ち去ろうとした。後日自白することになるその人物の指紋と一致すれば、北条の叔母殺しは問題なく一件落着になるからです。

 

 

 

 

 

 

だがここで、予定外のトラブルが起こった。

悟史が、現場に現れたのです。

 

 

目明し編

……裸足で駆けていると、…何だか自分が野生の動物にでもなったような気分だった。普段よりもはるかに素早く、しなやかに、強靭に駆けられる気がした。脚力だけじゃない。視覚も。聴覚も。嗅覚も。…いや、第六感と呼べるような超常的な感性さえ、備わったように感じる。

こうして伏せるように低く屈めば、四里四方の人間の気配を手に取れるように読み取れる。…そんな気さえした。本当に不思議だった。…今日が別世界のような、そんな気持ちだった。

 

 

悟史の当日の様子です。

今までの鬱の精神状態とうって変わって、研ぎ澄まされた感覚、アスリートの本番ような感覚になっていますね。ゴミ置き場で待ち伏せしていた悟史は、やってくるだろう人物の動きに神経を集中させていた。この悟史の ”円” が、叔母の動きを捉えてしまった。まだ誰も通るはずのない道にお祭り会場と逆側から誰か通ったようだ。

 

多分、嫌な予感がしたんだと思います。とりあえず沙都子たちが来るのは、お祭り終了後の9時以降になるはずです。今この場を離れてもまだ時間的に問題ないと思った。誰が通ったのか、確かめようと思ったのです。

 

そうして、現場に、誰よりも先に辿り着いてしまった。人が、頭部から血を流し、うつ伏せになっていた。顔を確認するために、仰向けにした。それは叔母だった。

 

 

大石「…ホトケさんは、恐らく最初の一撃で脳震盪かなんかで気絶したんじゃないかと思うんです。で、ホシは確実に殺した手応えを得る為に、さらに打撃を加えた。さらに言えば、ホトケさんはその時、うつ伏せに倒れたように思うんですよね。いえ、服の汚れ具合からの勘ですが」

入江「……遺体は仰向けですね」

大石「ホシは、後頭部を散々潰して、明らかに頭蓋骨が砕けてる手応えを得ているにも拘らず、ホトケをこう、仰向けにひっくり返して。わざわざ顔面を潰してるんじゃないかと思うんですよ」

 

 

 

悟史は、パニックになったのでしょう。とっさに、その場に落ちていたバットで、何度も、何度も、叔母の顔面を砕いていった。

 

 

 

 

葛西は、悟史が現れた瞬間に身を隠しました。誰にも見つかるわけにはいきませんから。そしてそのまま、悟史の行動を物陰から見ていた。隠れ続けるつもりだった。のに…。

 

しかし、それでも、悟史の行動を見ていられなくなった。だから、物陰から姿を現した。詩音が好きな、悟史を止めるために。

 

 

 

祭囃し編

葛西「おい。……人が親切に話してるのに聞いてねぇのか…?この葛西辰由がてめぇらを生かしてやると言ってんだ。…ありがてえとは思わねえのかガキどもが。…お前ら、俺を舐めてんのか。…あぁ?……………。返事せんかガキどもがぁああぁあッ!!!最初にミンチになりてえのは誰だッ!!てめぇかコラ!!さっき上等キメやがったのはてめぇかゴラぁッ!!何いつまでチャカ、ひけらかしてんだコラ!!殺されてぇか青二才ッ!!てめぇとは築いてきた屍の山の高さが違うんじゃボケ!!」

詩音「……葛西、……あんた、……はぁぁ……」

葛西「…こんな真似は二度としないつもりでしたが、…緊急措置でした。忘れてください」

 

 

祭囃し編の葛西のドスです。

ガキっていう表現が、なんか引っかかっていたんですよね。山狗に対して使うのはちょっと不自然というか。でも多分、これが4年目の祟りの伏線。二度としないつもりだったっていうその一度目は、悟史に対してだった。だからガキっていう言葉が出てきたんじゃないでしょうか。

 

 

葛西の存在に気づいた悟史は、バットを葛西に向け、威嚇しだした。葛西は祭囃し編のようなドスで、悟史を一喝した。必然、悟史はバットを捨て、家に飛んで逃げ帰るしかなかった。

 

 

 

葛西は、しくじったと思った。ヤク中の指紋付きバットを、悟史も使ってしまったから。バットを現場に残すわけにいかなくなり、処分するしかなくなってしまった。だから4年目の祟りは、お粗末にも、証拠不十分扱いとなってしまったのです。

 

 

これが叔母殺しの真相。

葛西が後頭部を潰し、悟史が顔面を追撃したのです。

 

 

そして、こんなことがあったからこそ葛西は、詩音に悟史のことは忘れろと言いたかった。詩音の用心棒兼保護者である葛西にしたら、こんな奴に詩音を任せていいのかってなっちゃうのも当然です。

後日、悟史の失踪を知り、もう詩音には北条悟史に関わってもいいことが何もないなと判断した。だから、「北条悟史くんのことは忘れろと託かっています」なんて思わず言ってしまったんでしょうね。

 

 

ちなみにですが、園崎詩音の『憂慮』は、「叔母と沙都子の死」でした。でも葛西が殺したのは叔母だけです。これを説明する理屈が、まだよく分かっていません。アドバイス募集中です。 

 

 

 

 

 

 

 

 

悟史の計略は、ひとつも思い通りになりませんでした。殺したかった人物は生き残り、思ってもみなかった人が死にました。祟殺し編の圭一とまったく同じです。さらに現場を変な奴に見られた。あの人はなんであんなところにいたんだろう?もしかして、殴っているところを見られた?圭一が鷹野に抱いた疑念とまったく同じです。しかも叔母を殴る際に残してしまったかもしれない証拠。なんか警察は自分を疑っているようだ。

 

 

こんなはずじゃなかった。

こんなはずじゃなかった。

何度も頭の中で反芻したことでしょう。

祟殺し編の圭一のように。

 

 

 

沙都子失踪事件の重要な役割を担っていた、大きなぬいぐるみ。もはやそれに何の価値も無くなってしまいました。それでも、それまでの自分の行動との矛盾がでないように、それを購入しなければならない。いや、もう買うことに意味はないんだから、いっそこのまま、貯めたお金で、逃げようか。

 

この場から。

 

警察から。

 

沙都子から……。

 

 

それが、事件後の悟史の思考だったのでしょうね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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