うみねこのことを話しても話しても話し足りないくらい話したい人は、ここにどんどん書いちゃってイイんだぜ♡

 

 

 

ただしコメ欄で私以外と会話したら殺すぜ?

それ以外は好きに使ってくれて構わねーぜ!

うぜーぜ!

 

 

 

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コメント: 31
  • #1

    パンダ5 (火曜日, 23 7月 2024 17:52)

    昔、真里亜と朱志香のマリアージュソルシエールで二次創作してた自分としては、ネットで初めて仲間を見つけた感動で嬉しい。

    最近、ダンガンロンパv3という、うみねこと同じく解釈次第で舞台設定から何から何もかもひっくり返る、作中でのフィクションとリアルの境が曖昧な推理ゲーム作品(もちろん発売当時にネットは炎上)をやって、似たような事を考える作家って結構いるんだなと驚き。
    「ダンガンロンパv3 オーディション」で検索した時のファン考察が、うみねこEP7お茶会の霧江ルドルフの描写が真か疑かを問う論争に、かなりそっくり。

  • #2

    パンダ5 (火曜日, 23 7月 2024 17:53)

    続けての長文失礼します。
    自分の場合は
    朱志香=殺人者ではないベアトリーチェ(真里亜にとってのベアトで、メッセージボトル作者で偽書作家。好きな子に好きと言えない。恋のライバルに、世間体のための彼氏役を頼むヘタレ。自分と戦人の出生の件で霧江に聞きたい事があった。)

    楼座=ガァプ(世間体に怯えて、自分を押し殺して周りに合わせて生きてる、元いじめられっ子。変身願望持ちで派手な容姿の女性に憧れてる事から、ファッションを仕事にするも、現実の壁にぶつかる。子供の頃、真里亜と同じく空想の魔女になりきっていたら、魔女の部屋に迷い込む。勝手に部屋の衣装を借りて、「これで私もテレビの魔女っ子アニメみたいになれるんだ! 大人しくてドンクさくて泣き虫で、スッゴク大嫌いな私から、素敵な大人の女の人に!それも、あのベアトリーチェに!」最初は、「魔女なんて実在しねえよ、ガキだな楼座は」とバカにしたルドルフを見返すつもりの悪戯だったのが、いつの間にか自分自身の変身願望満たすこと優先になる。この時のルドルフは、わざと騙されたフリしてびっくり「魔女は本当にいたんだ!」「やった!あの憎たらしい現実主義のお兄様に一泡吹かせた!」。ルドルフは魔女ごっこに付き合うことに。最初は「可愛い妹のために人肌脱ぐ俺って超イケメンだよな!」と乗り気だったルドルフだけど、しばらく付き合ううちに妹が不気味に見えてくる。「楼座、もう中学生なのに、まだこれに付き合えってのか?それも、もう中学二年生! 中学二年にもなって左目に眼帯して魔眼だとか、包帯巻かれた右手が突然うずき出したり! 黒い服ばかり着て、ゴシックとかロリータとか! 中学二年生なのに、それはもう病気だよ! 中学二年生で病気だから、中二病だよ! ああもう! わからないなら教えてやる! 今までのは嘘だよ! 演技だよ! 冗談だよ! 妹に付き合ってごっこ遊びしてただけ!俺はただ、魔女や魔法を信じてたフリをしていただけなんだよ! いい加減目を覚ませよ! 現実に帰って来いよ! お前、そのまま社会に出るつもりか? お前のせいで俺まで常識疑われるのは嫌だぞ!」
    その時のショックで、楼座にとって魔女ごっこは黒歴史になり、後に真里亜相手に過剰反応する原因になる。
    楼座は、その後脱中二病をし、過去の黒歴史を忘れるために世間体を気にする常識人となる。
    その後、何かが満たされない日々を送る楼座「ハァ。魔女ごっこの妄想が無ければ私なんて勉強も運動も冴えない平均以下、その上コミュ障で他人の顔色ばかりうかがって、怯えてばかり。…久々に、またなってみようかな魔法使いに。これくらいの現実逃避しても良いでしょ? ねえ、ベアトリーチェ! 私に魔法の力を貸して! ああ、なんて事かしら。過去の黒歴史に自己嫌悪しながら、同時に依存している。でも、なりたいんだよ!私だって特別な存在になりたい! 他の誰かに尊敬されたり一目置かれたり、大切にされたり! だって私は絵羽姉さまとは違うんだよ! あの人が生まれつき持ってる有利な手札をことごとく、私だけ何も右代宮金蔵からもらってないんだよ!だから、せめてベアトリーチェの魔力くらいは、私がもらわなきゃ不公平じゃない!」
    こっそり昔の趣味をもう一度再開するものの、幼い頃のシャノンにそれを見られて黒歴史再び(ep7ガァプ)。
    「ヤバい、人生終わった!いや、私だってばれなきゃいい! 今の私が楼座だと誰も気づかなければいいのよ! 年下だから上手く騙せば」急場を凌ぎきる。
    その後しばらくして、ルドルフに彼女ができて幸せそうにしてるのを見てイライラ。
    「何よ! 私の好きなこと(中二病)は無理やり卒業させた癖に、自分は好きなこと(デート)をエンジョイしてるのね! ムカつく。 あの笑顔見てると、ぶち壊してあげたくなる。あ、そうだ。変装してあの二人の前に現れて、私が恋人だって嘘をつこうかな? 何年もこっそりコスプレ趣味してきたから、変身には自身があるの。劣等生の私のたったひとつの取り柄。いいよね、これくらいしても? 世の中本当に不平等。持つものと何も持たない私、あまりに不公平。そうだ、偽名思いついた! 明日夢よ。 色欲のアスモデウスは、仲むつまじいカップルを無惨に引き裂くのでした! …自虐だけど、私って中学二年生の頃のセンス未だに引きずってるわね。
    あ、そういえば昔見てた魔女っ子アニメにもこんな話あったわね。カップルを別れさせるために大人の女の人に変身するエピソード。シーズン2の35 話だったかしら? ああ、リアルが充実してないの丸出しで、自分が本当に嫌になる。
    でも、昨日までの私は大嫌いだけど、これから私は、また私の大好きな私に変身するんだ! いや、違う。 本当の私に戻るんだ! ヤンチャな兄相手に本音でため口でお喋りできる私に、勝ち気で小生意気で悪戯好きな魔法少女に!…そうだよ。私は戻るだけなんだ。本当の私に。
    兄の肩に乗って「魔獣よ、私の命令を聞きなさい!」なんて大胆なこと「契約の儀式は魔女との口づけにより完成します。人の子よ、我がギアスに操られて、従うが良い!」だなんて本当の私じゃなきゃ言えない。
    世間体の魔法をかけられて、私は私じゃなくなってたのよ。
    私の本名は楼座じゃない。大魔女ベアトリーチェなの!
    他人の目におびえて、本当の自分の言葉でしゃべれない私、それって本当に私なのかな? それも作り物の別の私じゃ? 嘘の私じゃないの?」
    明日夢と霧江とルドルフの三角関係発生。
    最新作でピースが霧江や縁寿を消したシーンと、昔の考察メモの魔融合で、とんでもない妄想文が完成。何この長文? すごい痛々しい(笑))

  • #3

    パンダ5 (火曜日, 23 7月 2024 17:56)

    まだ楼座パートは手元のメモ帳に、こほ倍くらい量ありますけど、ここは他人のブログなので、さすがに場をわきまえて、これくらいにしておきます。
    これ以上は、ブログかニコニコが先行き不透明なら、二次小説投稿サイト?
    今は考察勢の残党としての大まかな考えさえ伝われば、それ以上は蛇足なのでこれにて終了。
    長文、読むの疲れますしね。

  • #4

    gultonhreabjencehwev (火曜日, 23 7月 2024 17:57)

    コメントありがとうございます!

    仲間というのは、朱志香の正体についての考察がだいたい同じってことですかね?朱志香=八城幾子だという解釈まで一緒なのであれば、多分希少種だと思いますw嬉しい!霧江に聞きたいことがあったというのがちょっと分からなかったですけど、ナカーマですね!

    楼座については、私が唯一といっていいほど解釈を諦めて放置した部分です。なぜなら、解剖を進めると、どうしても楼座の本体との整合性をとるのにバランスを崩してしまうからです。なので、最初から最後まで詰め切らないと、部分部分だけ切り抜いて楼座を仮定していってしまうと、修復不可能なほど辻褄が合わなくなってしまうと感じていました。結果、詰め切ることができなかたので、部分的な解釈すら本記事では触れないようにしたハズです。

    本当にすごいです!頭からケツまで解釈を通されていますね!私には無理でした!大変申し訳ないのですが、私はうみねこ現役ではないので精査するとなると時間が足りません(昔なら余裕だったのですが、今はまじでなんも覚えてない…)。

    私は九羽鳥庵(でしたっけ)ベアトリーチェと楼座との符号の可能性を追ってた時期があります。金蔵の真里亜の名に反対したうんぬんの経緯からです。挫折したんですけど。そこらあたりが上記で触れられてなかったのでちょっと気になっちゃいました。楼座のベアトリーチェごっことあのベアトリーチェの関係性ですね、どう思いますでしょうか?

    明日夢=楼座だと、やはり精査がめっちゃ大変です。ぱっと思いつくのは、EP4で楼座が真里亜視点で別れたダンナに対して言及してた部分があったように記憶していて、それとの整合性が取れるか。あとは戦人ですかね。戦人の言うかあさんが楼座になるので、そのあたりのセリフ回しに矛盾が生まれないかどうか。調べなおしてえ…

    楼座=ガァプの目線は、ただの一度も持ったことのない視点です。面白すぎます!たしかにワルギリアが熊沢なんだから、ガァプも本体があると考えるべきだったか。EP7の途中でベアトリーチェという内なる自分を登場させましたので、それと同類と思ってしまっていました。改めて要検証したいと思わされました!

  • #5

    パンダ5 (火曜日, 23 7月 2024 17:57)

    楼座に関して 
    アンチローザと変身願望がらみネタが美味しいところから考察スタートしてます。
    かなり、二時創作として面白そうから始まってます。後、アニメの俺妹では黒猫が一番好きで、中二病でも恋をしたいのヒロインも好きです(これか)。
    九羽鳥庵に限らずベアトリーチェ関連は実在そのもの疑ってる系。
    ベアトリーチェ関係は、金蔵の作り話「理由、自分を大きく見せるため」によって生まれたので「実在しない女性を、使用人と口裏合わせで実在していることにしている。」幻想描写と解釈。
    よって、使用人の黙認によって部屋を秘密基地として使うことが可能に。
    その後、楼座が使用人と口裏合わせ。

    これで、楼座ベアトリーチェの存在する余地までは完成。楼座ベアトまでは。
    明日夢との整合性には、予想されてる通り現状いくつかのエラーあり【自虐】。困った(笑)。

    【うみねこキャラ考察 戦人・前編】戦人は遺伝子的レベルでだらしない留弗夫とベアト2世の間に生まれた近親児
    http://tanmari.blog.fc2.com/?no=15#hutari

    ↑自分に近い楼座考察「この考察の人、色んな幻想キャラを楼座【ベアト二世】とマリアで説明してて凄い」を昨日発見したので、これの力を借りて考えてます。
    この中の「二人の戦人」の項目で

    >明日夢から生まれた“戦人”は死産したが
    役所には留弗夫と明日夢の子どもの名前として受理されている
    しかし実際に“戦人”の名前を得たのは
    すり替えられた留弗夫と楼座の子供

    は、面白い解釈
    ルドルフが3人同時に孕ませたことにしてみるか。
    霧江流産、明日夢死産、楼座が戦人出産の組み合わせで、戦人の扱いに困ったルドルフは、妹でもヤクザの娘でもない、無難な明日夢の子供として戦人を育てた。なんてのもありかも?
    ルドルフやばい(笑)。
    ちな前二つが恋愛で、最後は事故。
    性欲強いプレイボーイの前に、露出系コスプレ趣味の少女が「兄を取られたくない」と現れた結果の事故。

  • #6

    パンダ5 (火曜日, 23 7月 2024 17:58)

    朱志香について。
    夏妃が赤ん坊を抱いた使用人を突き落とした件に関して、自分の朱志香リオン説考察だと偽。

    親同士の対立でいつも譲治と比較されて劣等生扱いの朱志香の空想の中で生まれた理想の朱志香像がリオン。
    優秀で礼儀正しくて次期頭首に相応しい。
    いつも、夏妃のスパルタ教育により、千尋の谷に突き落とされているライオン娘の朱志香は、257万8917分の1の確率でしか立派なリオンになれない。
    自分が今書いてる最中の二次創作では、手品エンド後の縁寿が、夜見た夢の中でエバ「どうしてあなたは譲治みたいになれないの」縁寿「あんたこそ、どうして霧江お母さんが死んだのにあんたが生きてるの」という言い争いをするんですが、その夢が終わって起きた時に縁寿「結局、自分は自分にしかなれない」「なりたい自分になれるなら、それは魔法よ。」と呟く。
    その時、自分とエバの関係と、ジェシカと夏妃の関係に気づく。
    「そうか、同じなんだ。私と彼女は」
    そこから、ジェシカ=リオン説へ
    「ミステリー部分無視して、魔法を考えればそれが正解?とんだアンチミステリーね」

    スマホの電池切れるので、今日はここまで

  • #7

    パンダ5 (火曜日, 23 7月 2024 17:59)

    手元のオリスク用のテキストファイルからコピペ
    bgm1 66 mother
    夏妃が突き落とした使用人に抱かれた赤ん坊は右代宮理御……ライオン。
    獅子はわが子を千尋の谷に突き落とす。
    もし、これが夏妃の厳しい教育方針の事を指すのならば……。
    \
    いつも、夏妃のスパルタ教育により、千尋の谷に突き落とされているライオン娘の朱志香。でも、彼女は257万8917分の1の確率でしか立派なリオンになれない。
    つまりは、よほどの奇跡が起きない限りは、出来の悪い朱志香は夏妃の求めるような立派な次期頭首様になれないって事を示している。
    \
    出来が悪い? 本当に?
    朱志香お姉ちゃんだって別に無能なわけじゃないよ。
    生徒会長だったし、文化祭とか盛り上げてたり、女子の中ではリーダーシップがある方よ。
    多分、求められる基準の方がおかしいんだわ。
    \
    私だって、身をもって知っている。
    特別なエリートの譲治と比較されてばかりの、普通の子供がどんな気持ちになるのか。
    あんなのを基準にされて「あなたもあのレベルを目指しなさい」と勉強をさせられる『普通の子』の絶望が、どれだけ深いものなのか。
    多分、味わった人しかわからない嫌な感覚。
    \
    「馬鹿だ馬鹿だ」と言われて、徹底的に、自分という存在を自己否定させられる。
    それは「お前は右代宮縁寿である事を今すぐやめろ!」と命令されている事に等しい残虐なのだ。
    \
    昨晩見た嫌な夢を思い出す。「どうしてあなたは譲治みたいになれないの?」
    育ての親の絵羽が、私を見ずに譲治と私を比較して貶す。
    それに私が「霧江母さんが死んだのに、どうしてあんたが生きてるの?」と反論してする、ギスギスとした夢。
    \
    夢の中では、私と絵羽おばさんのケンカの姿が鏡に映っていた。
    でも、奇妙な事には、鏡に映っていた姿は私たち2人のものではなかった。
    私のいるべき場所に映っていたのは朱志香お姉ちゃん。
    絵羽おばさんの場所に映っていたのは夏妃おばさん。
    \
    やっぱり、同じなの……?
    朱志香お姉ちゃんは、どれだけ頑張っても譲治にはなれない。
    右代宮縁寿が譲治になれなかったのと同じで。
    だから、心の中にもう1人の理想の自分。右代宮理御を作った?
    \
    bgm1 53 Dread of the grave(戦人のテーマ)
    ここまで考えて、私は気づく。
    もし、そうならばエピソード5以降の流れがだいぶ変わる事に……。
    \
    私の中で、エピソード5に出てきた19年前の男の存在が、幻想の霧となって消えていく。突き落とされた赤ん坊の存在は、幻想。
    全ては、夏妃の朱志香へのスパルタ教育という事実に吸収されていく。
    \
    『獅子はわが子を千尋の谷に突き落とす』、『突き落とされたライオンの正体は朱志香』それが『19年前の男幻想』の正体。
    エピソード5の最大の謎は、跡形もなく綺麗に消えてしまった。
    \
    すると残されたエピソード5の要素は「夏妃犯人説で古戸ヱリカに追い詰められる夏妃」「壊れたベアトリーチェ」「夏妃やベアトを守るために立ち上がる右代宮戦人」だけになる。
    出題編のエピソード1に近い状態……振り出しに戻った。
    \
    「なによこれ?
    普通ならば、出題編4作の後には、答えが載った解答編が来るものだと普通は思うはず。
    でも、逆にエピソード5は『19年前の男』というノイズ情報の追加によって、読者の思考を逆に真実から遠ざけようとしている。
    ヒントを与えるどころか、その真逆をしている!?
    \
    そして、それだけじゃない。
    それ以上の突っ込みどころは……。
    『どうして私にだけ、その事がわかるのよ!』って事。
    \
    どうして作者は、『朱志香と似た家庭環境で育った縁寿』にだけわかるような独自の感覚『朱志香=右代宮理御』を、エピソード5のノイズ情報の解除キーにしたの?
    これじゃまるで、『右代宮縁寿にしか解けない』謎を、わざわざ作者が仕込んでたみたいじゃないの?
    まさか私に、読ませるために、書かれた物語だっていうの……?
    \
    朱志香理御説で、19年前の男の存在は幻想の霧の中に消えた。
    もし、19年前の男の存在が偽ならば、このエピソード5は酷いアンチミステリーね。
    本文のミステリーパート最大の謎『19年前の男』が、完全にミスリードにしかなってない。
    ミステリーとして普通に読んだ場合は、無意味な情報にかく乱されるだけ。
    \
    この謎に私が気づいた理由は、どっちかと言うとファンタジーだった。
    『自分じゃない自分になりたい』なんて、まるでテレビの魔女っ子ものじゃないの。
    子供の頃、馬鹿にして『まだこんなの見てるの? 私はもう卒業したよ? 魔法なんてこの世にないのに。 私の方が大人だね、真里亞お姉ちゃん。』とか言って、真里亞お姉ちゃんと無意味な大ゲンカした切っ掛けの、あのマジカルベルンちゃん?
    あはは、あの頃の私、背伸びしようとして、逆にガキっぽい事してたのね~(自虐)。
    でも、それが謎解きの鍵なの?
    \
    冴えない女の子が魔法の力で、憧れの婦警さんや看護婦さんに大変身。
    右代宮理御は、冴えない女の子が魔法で変身する、憧れの姿。
    なるほど、素材が朱志香お姉ちゃんだから、華奢で女性的な体つきなのね。 これも子供向きの魔女っ子アニメにありがちな演出。
    まさかファンタジー? 
    ファンタジーものの文脈が、全ての謎解きの鍵になる?
    \
    純粋なミステリーとして解こうとすると、ありもしない幻想の登場人物に別の場所に誘導される。
    一方、ファンタジーな要素の意味について、作者の意図をチェス盤をひっくり返して考えれば、それはミステリーパートを読むときのノイズである、幻想の登場人物を消すための鍵となる。
    \
    ミステリーが幻想のノイズを生み、ファンタジーが幻想のノイズを消し去るカギとなる。
    ミステリーとファンタジーの立ち位置の、完全なる大逆転。
    幻想は真実に、真実は幻想の中に。
    アンチミステリーなのは、古戸エリカのキャラとしての扱いの悪さだけじゃなかったって事ね。」
    \
    bgm1 93 Parallel(エピソード4の真里亞日記のイメージ)
     アルコール漬けの体を這い上がらせて、酒臭い息を吐きながらパソコン机の引き出しを開けると、そこにあるのは二冊のノート。
     一冊は、真里亞お姉ちゃんのノート。
     ベアトやさくたろうや、魔法のお友達が書かれたもの。
     もう一冊は、この密室の中で、孤独と退屈を紛らわすために、私が書いた六軒島事件考察のノート。
     表紙にはボールペンで「WHY YOU ARE?」とタイトルが書かれている。
    \
     私は、手書きのノートを胸に抱えて撫でながら、こうつぶやいた。
    「恋愛か友情か。揺れる心が、割り切れない心が幻想を作ったのよね。」
    \
     書きかけのページを開く。
     そこには、「もし朱志香がベアトリーチェなら、紗音は? 戦人は?」
     と、見出しがつき、あとは小さな文字で無秩序に手書きのメモが書かれている。
    \
    (注 ≠は否定。『○○でない』。≒は『ほぼ等しい』)

    右代宮理御の召喚の儀式の方程式

    縁寿≠譲治 ≒ 朱志香≠譲治。
    縁寿<譲治 ≒ 朱志香<譲治。

    嘉音君召喚の儀式の方程式

    朱志香 < 紗音
    戦人+紗音 ≒ 朱志香+嘉音。

    光と闇の方程式。

    マモン+エヴァ・ベアトリーチェ ≒ 嘉音+ラムダデルタ

    縁寿≒朱志香?


    魔女同盟の方程式

    真里亞+朱志香 ≒ 真里亞+縁寿。

    鏡写しの方程式

    朱志香+戦人 ≒ 縁寿+天草。

    至った真実の方程式

    縁寿≒朱志香?

    \

    お姉ちゃんは、きっと私なんだ。
    鏡写しの、もう1人の右代宮縁寿。
    \
    ねえ、お姉ちゃんって、自分じゃない自分になりたいの?
    大嫌いな自分、やめたいの?
    私だってそうだよ。
    アンチ縁寿、私の事が大嫌い。
    \

  • #8

    パンダ5 (火曜日, 23 7月 2024 18:00)

    オリスクの別パート(手品エンドの向こう側の世界と強欲のマモン)
    bgm1 166 7-weight
     それなのに、私の人生は薄暗い密室に閉じ込められたまま。
     もちろん、物理的に脱出できないわけではない。
     密室の鍵は引き出しの中に入っている一枚のカードキー。 物理的には、私が出ようとさえすれば、この密室から出ようと思えばいつでも出られるのだ。
    \
     でも、私の心の中の恐れの感情が、それを許してくれない。
     外の世界は危険だ。 ここを出たら殺される。
     そんな不安が、この地下シェルターを要塞化して、脱出不可能な密室にしているのだ。
    \
     「大人になって今更気づいたわ。
     人の心はね、いつでも理性に従って最適解で動けるほど強くないの。
     凄く愚かで、非合理的なものなの。
     その証拠にほら、こんなモノに未練がましく、すがり付いてる。」
    \
     泥酔して脱力しきった体で、這うように『未練』の場所に向かう私。
     やっとの思いで、パソコン机にたどり着く。
     パソコン机の引き出しから取り出したのは、十字架のアクセサリー。
     天草が、肌身離さず身に着けていたものだった。
    \
    「自分が撃ち殺した男の遺品をいつまで持っているの?
     未練がましいわね。 私が殺したんでしょうが!
     それも、自分の命を狙ってきた暗殺者の遺品よ。
     いい、縁寿。 天草は、私を殺そうとした暗殺者なのよ!
     殺さなければ私が殺されていたのよ!
     さも、須磨寺霞と相討ちしたかのように見せかけて!」
    \
     自分自身に言い聞かせるように、何度も何度も、そう繰り返す、
     でも、私の中の強欲な私は、素直に認めてくれない。
     囁いてくるのだ。 
    \
     (ねえ、縁寿様。 天草は本当に、縁寿様を殺そうとしていたの?
     その推理は、100パーセント正しいものだったの?
     例え1パーセント以下の低い確率でも、もっと良い選択肢は無かったの?)
    \
    「うるさい! うるさい! うるさーーいっ!」
     自分の心の声を打ち消すように、苛立たし気にこう叫ぶ。
     酒瓶を床に投げつけた。 
     パリンと、派手に炸裂する音がした。
    \
    「今更、ご都合主義のハッピーエンドを望むなんて……。
     あんたどんだけ、強欲なのよ! おまけに馬鹿よ! すっごく馬鹿」
     このやり取り、もう何回目だろうか。
    \
    「いかがです皆様方?
     天草のゴルフバッグの中の装備、あれは全て須磨寺と同士討ちに見せかけて私を殺すために用意されたものなんですよー?
     よっぽどの終わってる馬鹿じゃなかったら、これくらい小学生でもわかりますよね~。
     あれだけで古戸ヱリカはこの程度の推理が可能です。如何でしょうか? 皆様方!」
    \
     私は、わざとらしく馬鹿にしたような口調で見下すことで、『強欲な声』を黙らせようとする。
    \
    「だって、普通に考えたらそうじゃない。
     小此木の不審な動き、須磨寺家の内部事情。 あれを見れば誰だって考えることは同じ。
     小此木と須磨寺家がグルになって、右代宮縁寿と須磨寺霞の両方を消そうとしたのは間違いないって。
     いかがです皆様方? 古戸ヱリカはこの程度の推理が可能なんですよ! 如何でしょうか? 皆様方!」
     
    半狂乱気味に繰り返す私。
    もはや、それは自己正当化のための強がりだった。
    誰に聞かせるわけでもないのに、古戸ヱリカみたいな口調で『皆様方』を連呼する。
    本当は、もう限界だった。 完全にテンパっていた。
    私以外誰もいない密室で、私一人だけが、ひたすらにキャンキャンと見苦しく騒ぎ続けていた。
    \
    「そう、私は間違っていない。
    あの状況で生き残るために、出来る限りの正しいことをしたのよ。」
    細長いボトルに手を伸ばし、中の液体をグビグビと勢いよく体内に流し込む。。
    \
    「理論武装だって完璧でーす! 理屈でいうと、私は全然間違ってないよ?
     間違ってないんですよ。 きゃはははははっ!
    そう! 全ては正当防衛! ヤらなきゃ死んでたんですー☆
    だから罪には問われません! あひゃひゃひゃひゃひゃっ!」
    \
    密室に響き渡る、壊れた笑い声。
    すると、私の中の声は悲しそうに一言つぶやいた。
    (ねえ縁寿様。 人って、本当に理屈だけで動くものなのでしょうか?
     組織とか命令とかって、本当に絶対的な物なんでしょうか?
     よく思い出してください、縁寿様。
     天草さんって、どんな人でした?
     組織のためなら、どんな残虐な行為でもするような、血も涙もない機械のような人でした?)
    「どんな人って、それは……。」
    \

  • #9

    パンダ5 (火曜日, 23 7月 2024 18:01)

    bgm1 8(hope)
     不意に蘇る、天草との思い出。
     二人で、馬鹿な世間話をしていた時のやりとり。
     心の猫箱の中の私が、必死になって探し当てた奇跡のカケラ。
    \

     「俺って結構へそ曲がりなんスよね。 やりたくないことは、いくらやれと言われてもお断りです。
     従いたくない命令は、返事だけは元気にした後、心の中でアッカンベー。
     夏休みの宿題とか、やった振りだけして辻褄合わせてごまかすタイプですよ。」
    \
    「ふーん。 仕事をサボって音楽ばっか聞いてる言い訳がそれですか?
     それも、リズムに合わせて体を左右にユラユラ楽しそうに。
     ……いい加減、クビにするわよ。」
    \
    「それだけは勘弁を。
    あーでもでも? 最近俺、思うんです。
    職業選び間違えたなあって。 
    俺みたいなイケメンは、プロのアーティストになれば良かったんですよ。
    ロックでパンクにシャウトし続ける、夢のアイドル生活です。」
    \
    「普通、自分で、自分の事イケメンって言う? 
     恥ずかしいやつ。ひくわー。」
    「ラーメンつけ麺、俺イケメン! 
     今思いついた一発ギャグです。」
    「つまらん30点。」
    「酷えっ!」
    \
    あの、悲劇的な結末を想像できないくらい、軽妙でデタラメなやりとり。
    脳みその30パーセントも使ってない馬鹿な会話。
    もちろん、私はその馬鹿さに耐えられず、追加で脳みそを20パーセント開放して、話のレベルを上げる。
    \
    「そういうのは、自分で言わずとも、他人に言われるからこそ価値があるのよ。
     世界を構成する最小の人数は2人。
     自分と他者、最低限2人はいないと、自分の存在は証明できない。
    当然、自分がイケメンだって事すらも証明できないのよ。
    \
     自画自賛で俺スゲーって自己完結しても、誰も証明できない。 
     そんなの誰も共有してくれない自己満足。虚しいだけよ。
     もし、私にイケメンだって思わせたかったら、それ相応の物、見せて見なさい。
     それが、他者のいる世界の礼儀ってものよ。」
    \
    すると、天草は何を思ったか、自分の股間に手を伸ばした。
    「ちょっとお待ちください。
     今、自慢のモッコリが顔を出しますんで。」
    「ちゃうわ! 100トンハンマーアタック!」
    「ギャアアア!」
    「どこの世界に、イケメンの証明を、社会の窓を使ってやる馬鹿がいるのよ!」
    \
     全くもって中身のない茶番劇。
     当時は、全く無意味だと思っていた平凡な時間。
     でも、失った今ならわかる。
     それは、今となってはいくら手を伸ばしても届かない幸せだって事が。
    \

    「もし俺がアイドルにでもなっていたら今頃は、こんな不愛想な寸胴娘の子守なんてせずに、若いギャルたちにキャーキャー囲まれて。
    カーッ、人生の選択間違えたっ!」
    「最っ低。誰がドラえもん体型だ。
    後で小此木さんにチクってやる。」
    \
    「はわわっ、それだけは勘弁くださいよ!
     あの人ちょっと怖いんですから!
     あーでも、さっきのアイドルデビュー。 本気寄りの冗談っていうか。
     案外本気で望んでる夢なんすよね。」
    \
    「音楽だけで生活できる人って、少数派よ。 大体は夢破れてそのままバイト生活。」
    「夢がないこと言わないでくださいよー。」
    ブーたれる天草。 後ろを向いて、うんこ座りまでして。
    でも、その数秒後に、何かを思いついて目を輝かせてこちらを振り返る。
    \
    「あ、そうだ縁寿さん。 芸能プロダクション立ち上げましょうよ!
    そして俺を所属アイドルとして雇うんです。
    そうすれば、俺が食いっぱぐれしなくて済みますぜ。
    縁寿さんも、俺の美声に毎日心を癒されるんですぜ。 これ、一石二鳥では?」
    \

    天草の奴、相変わらずふざけてる。
    全くこいつは、軽薄っていうかなんていうか。
    彼の人間性を軽く軽蔑しながらも、何故だろう?
    何故だか不思議に、嫌いでもなかった。
    だから私も、冗談には冗談で言い返す。
    \「はぁ? 頭に蛆虫でもわいてるの?
     もし雛見沢症候群のレベル5なら、今から入江診療所に……。
    「わきあがるのは、いつだって夢とロマンですよ。
    男の子って、みんなそんな生き物です。」
    \
     私の冗談に対して、天草は更なる冗談で返してくる。
     まるで、冗談のキャッチボール。
     いや、二人とも手加減なしに、力任せに、思うがままにぶつけあっている。
     だから、冗談のドッジボール。
    \
    「世間一般の、真面目に生きてる男性に対してあやまりなさい。
     世界全てがあんたレベルになったら、社会は一日で崩壊するわ!」
    「ひでえっ。 俺、野比のび太君じゃないんですから~!」
    \
    「あら? あんたもしかしてドラオタク?」
    「人のこと言えないっすよ縁寿さん。」
    「でも、ドラえもんって夢があっていいと思わない? 
     あんな事いいなあ。 できたらいいなあ。
     不思議なポッケが叶えてくれるのよ?
     まるで魔法みたい。」
    \
    「縁寿さん。前から思ってたんですけどね。
     魔法の事が好きなのか嫌いなのかはっきりしてくださいよ。
     普段は、魔法否定派のリアリストのキャラをしてるくせに、ですよ?
     今みたいに突発的に魔法大好きのメルヘン少女になる時もある。
     特に、最近の縁寿さんの魔法に対する態度って、ツンとデレがほとんど交互じゃないですか?」
    \
    「わかってないわねえ、天草。
     いい?天草。 魔法っていうのはね二種類あるのよ。
     それは、白い魔法と黒い魔法。
     ベアトリーチェが真里亞お姉ちゃんを幸せにしたみたいな白い魔法は好きよ。
    \
     でも、黒い魔法は大嫌い。
     もし、あいつがベアトリーチェが、私のお父さんやお母さんや、お兄ちゃんを殺したのなら……。
     そんな黒い魔法があいつの本質なら、私は魔法の事を許さないわ。」

  • #10

    パンダ5 (火曜日, 23 7月 2024 18:01)

    bgm1 76 soul of soul
     くだらない会話。
     でも、その中の一つの言葉の中に、もう1人の強欲な私が求める奇跡のカケラは存在していた。
    \
     それは、「やりたくない事は、やれと言われてもやらないへそ曲がり」というセリフだ。
     もし、小此木さんから私への暗殺を命じられていた時にも、天草が、あのセリフ通りのへそ曲がりを発動していたら?
    \
     当時、天草が本当は何を考えていたか、私は知らない。
     他人の心は、中身の確認のしようがないシュレディンガーの猫箱だった。
     謎に満ちた天草の本心は、差し詰めシュレディンガーの天草。
     箱の中の天草は、私の敵か、それとも味方か。
    \
     格好つけでキザでクールなあいつ。
     そんなあいつだからこそ、湧き上がってくる幻想があるのだ。
     それは、あいつなら組織から暗殺を命じられても、必ずしも従うとは限らないのでは?という期待。
    \
     あいつなら、きっと裏切る。
     きっと、あいつなら映画か何かの主人公のように、キメ顔でこういうに違いないのだ。
     そう、あいつならば。
    \
    「このままじゃ、縁寿さんは、須磨寺霞との相討ちを装って、殺されてしまう!
     ずっと黙ってましたけど俺、そういう命令を受けているんです。」
    「知ってるわよ、それくらい。
     私を誰だと思ってるの?」
    \
     私の推理力で、その程度の暗殺計画を見破れないわけがない。
     それが一番高確率だってわかってた。
     でも、必ずしも、そうじゃない可能性があった。
    \
     だから、強欲な私はギリギリまで極端な行動を起こさないようにしていた。
     本当の奇跡が起こる余地を、最後まで潰さないように。
     
    \
    「いくら上からの命令でも俺、あなたを殺したくないですよ~。 
     そんな命令に従うくらいなら……俺は。
     どうです、縁寿さん? 2人で南の島に逃げませんか?
     俺と一緒に来てください。 俺は組織を裏切ります。
    俺と一緒に、駆け落ちしましょう。」

    \
     天草からの駆け落ちの提案に、私は穏やかな顔で、首を縦に振る。
     それは、自分から全ての憑き物が落ちたような、清々しさだった。
    \
    「いいわよ。 あんたなら、そう言うと思ってた。
     状況証拠から言うと、暗殺の準備は完璧。
     あんたのゴルフバッグの中身に、小此木や須磨寺の動向。
     普通に考えたら、私はあんたを殺さなけりゃ生き残れない。
    \
     でもね。 
     チェス盤をひっくり返して考えてみたの。
     あんたって、どういう人間だったのかって。
     そうしたら、すぐにわかったわ。
     あんたが、素直に命令に従わない天邪鬼だって事が。
     人って本当、理屈だけじゃ動かないのね。」
    \
    「ヒュー。 わかってるじゃないですか。
     よく俺の事を観察してますね?
     これだけ詳しいってことは、まさか縁寿さん俺の事……。」
    「ち、違うわよ!
     別にあんたの事なんて、好きでも何でもないんだからねっ!
     勘違いしないでくれる? この自称イケメン!」
    \
    「うわー。スッゲー、テンプレなツンデレ発言!
     ヒャハッ。 こりゃー、あんた間違いなく俺に惚れてるぜ! クール!
     もしかして、俺がイケメンだから?
     あー、イケメンって辛ぇなーーっ!」
    「調子に乗るな、アホ! 100トンハンマー!」
    「ギャーー!」
    \
     天草と、私の間に、いつものノリが帰ってきた。
     天草が馬鹿な事を言って、私が突っ込んで。 
    \
     強欲の声が聞こえてくる
    (縁寿様。 その通りです。
     天草さんを、信じてあげれば良かったんです。
     ロジックだけの推理じゃ、たどり着けない奇跡はそこにあったんです。
     そう、愛が無ければ見えない。 奇跡のようなハッピーエンドが。)
    \
    「南の島に着いたら、どうします?
     アイドル事務所でも、立ち上げますか?
     所属アイドルは世界的イケメンの俺。 縁寿さんは、社長兼、俺専属のプロデューサー。」
    \
    「うーん、どうしようかな?
     よし決めた。 金づるとして、私に利益をもたらしてくれるなら、ぼろ雑巾になるまで使い倒してあげるわ。
     雇ってあげるのよ、私が感謝しなさいっ。 雇用主の私に!」
    「かーっ、素直じゃねえなあ。
     そこは、『一生あなたに付いていきますわ。 愛してる、あなた☆』くらいの気の利いたセリフをですねえ……。」
    \
    (どうです? これが、縁寿様が選ばなかった選択肢の先にあった、未来です。)
    強欲の声は、私を誘惑する。
    選ばなかったハッピーエンドの素晴らしさを説く、悪魔の誘惑だった。
    \
    「ないわね。」
     強欲の声に対して、セルフ突っ込みを入れる私。
     よし、ゲロカス妄想終了。
     自分自身の妄想を、自分で即座に切り捨てる私。
    \
     あるわけないじゃない。こんな都合のいい妄想の世界なんて。
     だって、現実の世界って、もっと都合が悪くできてるもんじゃないの。
     『天草の裏切りからの駆け落ちエンド』なんてご都合主義信じて、現実ならどうなる?
     きっと、そのまま天草に騙されて、銃弾のハチの巣になって。 
    \
     その裏で、小此木や、須磨寺の大人たちが笑っているに違いないわ。
     そんな都合の悪い結末が、右代宮縁寿の希望的観測に基づいたゲロカス妄想を嘲笑うの。
     これじゃあ、とんだ笑い物じゃないの。
    \

  • #11

    パンダ5 (火曜日, 23 7月 2024 18:02)

    でも、強欲の声の言ってる事にも、ご都合主義だけど一理はあった。
     天草による小此木への裏切り。 右代宮縁寿との駆け落ちをして、南の島へ。
     確かにそれは物語をハッピーエンドに導くためのイベントのカケラだった。
     いわゆる、ハッピーエンドフラグという奴だった。
    \
     もし、人生の選択肢に、テレビゲームみたいにセーブポイントがあったなら。
     そうしたら、私は選択肢を選び直していたかもしれない。
     それは、天草を殺さない選択肢。
     天草を信じる選択肢。 2人で一緒に生きていく選択肢。
    \
     もちろん、その「信じる」選択肢の行き先が、必ずしも幸せな未来ではない事は当たり前だ。
     だって、あり得ないレベルでの希望的観測だもの。
     リスクの高すぎる選択肢。
     運命のダイスの出目は、いつだって厳しいものだ。
    \
     考えてみたらわかるでしょ?
     天草が組織を裏切る確率はどれくらい? 縁寿と駆け落ちして南の島に行く確率は? 
     何十分の、いや何百分の一ではないの? 低すぎる。
    \
     それよりは、天草が縁寿の頭をピストルでズドンと打ち抜いて、その後に事故死として処理する可能性の方が高い。
     『須磨寺の狙撃によって死んだ、悲しい縁寿さん』という幻想を添えて。
     その確率の方が、何千倍も、何万倍も高い。
    \
     ああ見えて、あいつはプロフェッショナルだ。
     普通に考えれば、「殺される前に殺した」という私の判断は正しかった。
     正しい選択肢を選んだからこそ、私は今もまだこうして生きているのだ。
    \
     今となっては、過ぎ去った過去の断片。
     今更もう、いくら望んでも手に入らないものだ。
     それなのに、未練がましい自分が嫌になる。
     理性では、そんな妄想に今更すがりつく自分を、滑稽だとわかっていた。
    \
    「そもそも、今更過去に戻ってやり直したところで、選ばなかったもう片方の選択肢が正解である可能性ってどのくらい?
     きっとそれは、砂漠の中に落としたビーズを見つけ出すほどの低確率。
    \
     溺れる者は藁をもつかむって、昔の人は言ってたけど……。
     きっと今の私、溺れているんだ。 水をいっぱい飲み込んで息ができなくてっ!
     だから、ちっぽけな藁のようなゲロカス幻想が魅力的に見えるのね。」
    \
     床に転がる、毒々しいお酒の瓶。
     そうか、私は溺れているんだ。 いつだってお酒の海の中で。
     お酒は凄いよ? だって、私に嘘をつかないし、私を裏切らないんだもん。
    \
     いつだって、確実に私に快楽や安心を与えてくれる魔性の液体。
     もう、ずっと手放すことができない。 私という存在の一部。
    \
     毎日泣いて。
     そして、泣いた分だけお酒を飲む。
     流した涙の水分を補うために、毎日毎日、同じ量のお酒を飲む。
     泣きすぎて、流した涙が多すぎて、私の中身が空っぽになるのが怖いから。
     隙間だらけで空っぽの空き瓶みたいな私という存在を、満たすために。
     
    \
    「ねえ、天草。 今の私って、本当に生きているのかな?
     こんなの、生きているって言えるのかな?
     ねえ天草聞いてる? 私が聞いてるのに無視って酷くない?
     今更、応えてくれるわけないか。 わかってるけどさー。
     薄暗い密室で、いつもひとりぼっち。
    \
     楽しみといえば、お酒を飲む事だけ。
     それも、倒れるまでラッパ飲み。 こんなこと続けてたらいつか死ぬ。
     いや、もう死んでもいいかも? 生きてたって楽しいことなんて何もない。
    \
     いっそ、お酒でプールを作って、その中に素っ裸で飛び込んで、溺れ死ぬの。
     最高の死に方だと思わない?
     ずっと甘美な夢に満たされながら、幸せな気持ちのまま、この世を去って”い”なくなる事ができるんだもの。」
    \
     もしかして、あの日の海の上で、天草に殺された方が幸せだった?
     今みたいな抜け殻の私になって、色がない味のしない、捨てる前のガムのような人生を生きるくらいなら。
     あ、そうか。
     魔法か手品か、どっちの選択肢を選べばいいか今更わかったよ。
     最初から、この「手品」の選択肢だけは選んじゃいけなかったんだ。
     今の私は、間違った選択肢の先にいるんだ。
    \
     「手品」の選択肢の先にあったのは、ひとりぼっちの未来。
     地下シェルターの密室で、毎日震えながら暗殺者におびえる未来。
     誰も知らない秘密の地下シェルター。 私を閉じ込める牢獄。
     この中に右代宮縁寿がいる事は、多分誰も知らなかった。
     もう何年も、誰にも会っていない。
     私の薄暗い世界は、いつだってひとりぼっち。
    \
     今、私がいる場所は、猫箱だった。
     箱の中の猫は、生きているの? 死んでいるの?
     右代宮縁寿は、生きているの? それとも死んでいるの?
     秘密の地下シェルターの場所は誰も知らない。
     だから、猫箱の中の縁寿の生き死になんて、誰も知らない。
     興味もない。
    \
     そんな中、私は自分でこう思っていた。
     多分、もう既に私は死んでいる。 生きながらにして死んでいる。
     忘却の深淵の中にいるのは、かつて右代宮縁寿だった残骸。
    \
    bgm1 124 孤独な深海魚

    bg black,42
    ;海のグラフィック
    bg sea_1a,42
    ;海中のグラフィック
    bg aqu_i2b,42
    ;箱のグラフィック
    bg Different_spiral_1b,42
    wait 3000


    箱の中で猫が泣いていました。
    wait 1000
    悲しげに助けを求めて、弱々しい声で泣いていました。
    wait 1000
    しきりに、何かを訴えるように叫び続けていました。
    wait 1000
    でも、その叫びは誰の耳にも届く事はありませんでした。
    wait 1000
    何故なら、猫箱の在り処は、深い深い海の底。
    wait 1000
    中の猫の生死すら、もう誰にもわからないのです。\
    me1 18
    wait 2000
    se1 1006
    bg blood_2a,42
    se1 38
    bg blood_1a,42
    wait 1000
    誰の気にも留められないまま@
    !s100
    やがて……
    se1 34
    bg blood_1aR,42
    箱の中の猫は/
    wait 1000
    死んでしまいました。
    wait 1000
    Frederica Bernkastel
    se1 2
    \

  • #12

    パンダ5 (火曜日, 23 7月 2024 18:03)

    すみません。
    人のサイトのコメント欄でやる事じゃないですね
    リアルで10年間ほど、未投稿のままの文章だったもので。
    やっと頭から否定せずに読んでくれそうな人に会えたもので、嬉しくてやらかしてしまいました。

    続きは、ピクシブ小説と、オリスク(動画サイト)で、コメント欄を閉じた状態で投稿(原作アンチ対策)しようと思います。

  • #13

    パンダ5 (火曜日, 23 7月 2024 18:03)

    #15の投稿のコピペミス
    1行目に入るはずの↓の行がコピペできてませんでした。
    bgm1 132(約束、エピソード5ラストに流れる曲)

  • #14

    パンダ5 (火曜日, 23 7月 2024 18:04)

    今、投下したオリスクのコピペの一言解説。
    最初のパートは、縁寿が自分自身の境遇から、右代宮理御を朱志香に当てはめることに成功し、獅子はわが子を千尋の谷に突き落とす(スパルタ教育で)事から、エピソード5の「19年前の男」や「落下した赤ん坊」を嘉音幻想みたく散らすことに成功。 エピソード5のアンチミステリー性に気づく。
    ミステリーよりもマジカルベルンちゃん知ってることの方が考察に役立つってどういうこと? まさか、これって私のために書かれた物語?
    次のは、手品エンドを自ら否定する縁寿。
    マモン「ねえ思い出してください。天草ってどんな人ですか?
    チェス盤をひっくり返して考えましょう」
    強欲の囁きにより、選ばなかった選択肢に思いを馳せる縁寿。
    「もし、天草を殺さなかったら私は、ハッピーエンドにたどりついていたの?」

    この2つの短編の組み合わせは、どちらもファンタジー肯定と手品エンドの否定。
    そして、チェス盤思考によって成り立っています。

  • #15

    パンダ5 (火曜日, 23 7月 2024 18:04)

    1つの個人サイトにここまで連投するのは心苦しい(連投必死すぎてすみません)のですが、自分と同じ楼座戦人親子説を進みながら、自分よりも遥かに解像度が高い考察なので、紹介させてください。
    今を逃すと、話が合いそうな人にいつ会えるかわからないので(笑)。


    【うみねこキャラ考察 戦人・前編】戦人は遺伝子的レベルでだらしない留弗夫とベアト2世の間に生まれた近親児
    http://tanmari.blog.fc2.com/blog-entry-15.html

    この記事の中の、以下の項目が自分が特に気になった点です。
    【EP5(???)の回想で霧江のいるべき場所にいる楼座】
    【07151129】
    【二人の戦人】
    【EP5でバトラに与えたかなり的確な“ヒント”】
    【6年ぶりにも関わらずひと目で戦人だと気付く】

  • #16

    パンダ5 (火曜日, 23 7月 2024 18:05)

    うみねこ公式掲示板が昔閉鎖された時だったか、ファンが後釜をどうするか話し合ってるチャットで、自分だけ空気読まずに楼座明日夢説コメントしてた懐かしい記憶を思い出す。
    あと、過去にニコニコに投稿した朱志香犯人説9だったかで、その楼座戦人親子ネタで話作ってた。
    あの自作オリスク、考察を名乗りながら普通に考察せずに、幻想パート絡みでおかしなことばかりしてたな。
    特に第6話か第7話辺りから、「ネットのゲスなウィッチハンターのゲスな解釈が、縁寿の書いた『朱志香ベアト説』を犯して『朱志香犯人説』に書き換えてしまう」構図の色が強くなって、縁寿の書いた『朱志香ベアト説』は「真実の陣取りゲーム」のように「ネットのゴシップ一色」に染まってしまうという……。

    今、書いてる話と、ニコニコ版朱志香犯人説の共通設定
    ↓この3つの主張がごっちゃになっておかしくなった朱志香ベアト説考察のゲーム版

    鏡像の魔女エンジェ・ベアトリーチェ「理御=(朱志香≒縁寿)説」
    ポスト真実の魔女ベルンカス・アフィリカス「朱志香犯人説」
    共鳴の魔女ラムダカス・エコーチェンバー「ネットのゲスなゴシップに盛り上がる匿名の集団」

  • #17

    パンダ5 (火曜日, 23 7月 2024 18:06)

    \
    bgm1 90 apathy
     「 同じ男の人を好きになった同世代の親友。
     でも、離れ小島みたいな場所でともに過ごす、数少ない同世代の親友。
     かけがえのない同胞。
     そんな親友と、ずっと親友のまんまでいたかった。
     朱志香お姉ちゃん、きっと紗音の事、嫌いになりたくなかったのよね。
     だから嘉音が生まれたのよね。
    \
     そして同時に紗音犯人説の擬人化。魔女ラムダデルタも生まれた。
     絶対に、この事件の犯人は紗音じゃなくてはいけない。
     そんな絶対の意思から生まれた魔女。」
    \
     本当に割り切れない。 まわりくどい、 もどかしい。
     でも、そんなあなたが愛おしくてたまらない。
     変よね? 昔はベアトリーチェなんて、家族を奪った敵だったはずなのに。
     私に似てるから? あの人の気持ちがわかるから?
     親近感? 同族相哀れむ? 
    \
     世間では、朱志香がベアトリーチェだという説は少ない。
     ほとんど、私の直感だ。
     世間の中で紗音説が優勢の中。
     右代宮の孫世代末っ子の私だけは、奇妙なことに朱志香がベアトーチェだと信じていた。
     どうしてだろう? 理由は? 私がこの結論に至った理由はきっと。
    \
    「理由は単純。 きっと私が、右代宮縁寿だからかな。
     似てるのよね、あの人と私の性格。
     例えるなら、朱志香お姉ちゃんは、鏡写しのもう一人の右代宮縁寿。
     それくらい似てる。
    \
     どういうところが似てるかって?
     本当は自分に自信が無い癖に、意地っ張りでプライドが高いところ。
     おまけに、回りくどくて面倒くさい。
     典型的なツンドラ気質。 あ、間違えたツンデレ気質ね。
     だから、私もお姉ちゃんも、男相手にうまくいかないのよ。
    \
     朱志香お姉ちゃんが、戦人お兄ちゃん相手に素直に思いを伝えられなかったように。
     私だって、天草相手に、本当に言いたいことを最後まで言うことができなかった。
     天草に、ちゃんと好きだって言えなかった。
     あいつの遺した十字架のアクセサリーなんかに、今更未練感じてるのよ、私?
     惨めね。
     笑いたきゃ笑うがいいわ!ほら笑いなさいよ!! あーはっはっは!」
    \
     一人で私、何を馬鹿笑いしてるんだろ? 滑稽だ。
     テンションがやばい、おかしい!
     酒、飲みすぎたか? 
     私は今飲んでる酒のラベルを見て、アルコールの度数を確かめる。
     「たったの40%?」
     アルコール度数40なんて、ほとんど水飲んでるようなもんじゃないの。
     って……、アル中丸出しの発想ね。 
    \
    bgm1 78 prison
     そんな滑稽な私を部屋の隅から、じっと睨む少女がいた。
     子供時代の右代宮縁寿だった。
     彼女は、怪訝な顔で私に問いかける。
    \

    「ねえ。 ベアトリーチェは犯人なんでしょ? 
     家族を殺して、私の人生を奈落の底に突き落とした犯人。
     どうして、そんな優しい顔なの?
     どうして愛おしいものを見るように話しかけられるの? わけがわかんない。」
    \
    彼女の問いは正論だった。
    被害者と犯人。 決して許しあったり、理解しあえないのが普通だ。
    でも、正論だけでは片づけられないことが、この世にはたくさんある。
    人は、理性だけじゃ動かない。
    今の私は大人だから知ってるんだ。
    子供の頃の縁寿にはわからなかった、人の心の不合理さが。
    \
    だから私は子供の縁寿にこう問い返す。
    「ねえあなたは、ベアトリーチェが何の犯人か、わかってる?」
    顔を真っ赤にして癇癪を起す縁寿。
    「右代宮家のみんなを殺した犯人に決まってるよ!
     お父さんだって、お母さんだって、お兄ちゃんだって。
     みんな、あいつが殺したんだ!」
    \
     興奮しながらまくし立てる彼女は、本当に昔の私だった。
     そっと頭を撫でて、優しく諭す。
    「本当に、そうかしら?
    本当に彼女が殺したの?」
    すると、縁寿は答える。
    \
    「凶器の煉獄の七杭を振り回して、一家惨殺したんじゃないの?
     そして、最後は証拠隠滅のために、六軒島を爆発させてドカーン!」
     予想通りの回答だった。
     私は、興奮気味の彼女を窘めるように返す。
    「もし、そうじゃなかったら縁寿ちゃんはどうする?」
    \
    「どういう事?」
    「一口に、『犯人』と言ってもね、言葉の定義次第で色んな意味を持つのよ。
     例えば、お菓子を盗み食いした『犯人』。
     ベアトリーチェが、ハロウィンパーティのカボチャケーキを一人で全部食べちゃった、とか。
     そんなのも、『犯人』と言う言葉がさす意味になりえるのよ。」
    \
    「何よそれ。意味わかんない。」
    不満そうにほっぺを膨らます縁寿。
    私は、そんな縁寿にもわかるようにこう言った。
    「もし、彼女が人殺しの犯人なら、メッセージボトルは何のために流したの?
     あんな目立つ物、警察や探偵に余計な情報を与えちゃうわ。」
    \
    返答に困り、黙り込む子供縁寿。
    でも、何とか自分なりの答えを捻りだし、口にする。
    「き、きっと自分の犯罪を自慢するため……。
     いや、違うわ。 多分あいつ、そんなに馬鹿じゃない。
     あ、そうだ。 情報操作だ! 証拠の隠滅だ! 捜査のかく乱だ~っ!
     自分が六軒島で犯した罪を隠ぺいするために、嘘を書いた物語をメッセージボトルにして、本当の真実を塗りつぶしたのよ!」
    \
     子供縁寿が必死になってたどり着いた解答例。
     それを聞いて、私は懐かしさを感じる。
    \
    「そうだね。 昔の私なら、そう答えるだろうね。
     でもね、それって愛の無い見方だよね?」
     その答え、もう何年も前に一度はたどり着いたよ。
     そして、もう通り過ぎた。
     今は違うってわかる。
    \
    「愛のある見方だったら、どうなるっていうの?」
    「うふふ、ベアトにはね。
     どうしても、伝えたいことがあったのよ。
     そう、大切な誰かに伝えたい思いがあった。
     だから、メッセージボトルに入れて、それを流したの。
    \
     それは決して殺人事件の隠ぺいとか、情報操作みたいな物騒なものとは限らない。
     言い残した事とか、心残り。 ずっと言いたかったけど、勇気が無くて言えなかったこと。 
     例えばそれは、今まで決して口にできなかった『大好き』の気持ちとか。」
    \

  • #18

    パンダ5 (火曜日, 23 7月 2024 18:07)

    bgm1 115 one

    誰が犯人かって?
    それを探す物語に決まってるでしょ?

    誰が犯人かって?
    そもそも「何の」犯人かわかってる?

    これから始まる物語は、きっとそれを探すための物語。
    でも、今の私にならわかるよ。 ベアトリーチェは、別に悪い人じゃないって。
    \
     ベアトリーチェが直接殺さなくても、一家全滅につながるパターンがある。
     それは、家族同士が勝手に殺し合いを始める事だ。
     もし、その理由にベアトリーチェの罪が絡むならば……。
     恐らくは狂言殺人計画と、その失敗による疑心暗鬼。
    \
     狂言殺人計画は、何故立案された?
     きっと、ケンカばかりしてる家族を仲直りさせるためだと私は思う。
     いつも泣いてる真里亞お姉ちゃんを、朱志香ベアトリーチェは笑顔にしようとした。
    \
     扇動のために利用されたのは、偽物の犯行予告の手紙。
     魔女ベアトリーチェを、右代宮家共通の敵に仕立て上げることで、一家の団結を図ったのよ。
     「右代宮家みんなで力を合わせて碑文の謎を解かなきゃダメ!」
     って、真里亞お姉ちゃんが言ってたのはそういう事なのね。
     魔女の犯行計画そのものが、右代宮家に仲直りをさせるための狂言だからっ!
    \
     子供向けの漫画で良くあるじゃないの。
     今まで対立していたライバル同士が、新たな強敵の出現によって一時休戦。
     「ベルンとラムダ、力を合わせて魔王ペンドラゴンをやっつけよう!」
     みたいな。
    \
     って、これもマジカルベルンちゃんにあった展開じゃない……!?
     確か、2クール目の終わりくらい? 
     そう考えると、エピソード2、4、6、8の幻想魔法バトルシーンの意味合いが変わってくる。
     まさか、ミステリーパートよりも、ファンタジーパートの方が、真実を表していたことになるわけ?
     エピソード6の、戦人GM回なんて、話の構成そのものが狂言殺人説の大ヒントってことになる。 
    \
     やっぱり、六軒島事件の真実に至るカギは、いつだって魔法なのね……。
     とことん、アンチミステリーで、ファンタジーのカタマリな事件。
     それも、やたらと子供向けアニメのマジカルベルンちゃんの展開に沿ってるわ。
     ウィルじゃないけど、流石に頭が痛くならァ。
    \
     私は、パソコンのスイッチを入れた。
     自分の書き溜めたノートの中身を、メッセージボトルに詰めて、ネットの海に放流するために。
    \
     これから私が始めるのは、恋のルアーフィッシング。
     ちゃんと釣れるかどうかはわからない。 
     でもね、ちゃんと釣れるか不安になって、魚屋さんにイワシを買いに走る真似だけはしたくない。
    \
     恋というのはいつもギャンブル。 
     勝てるかどうかわからないから、燃え上がるんじゃない!
     釣れるかな、ベアトリーチェ?
     また会えるかな、朱志香お姉ちゃんに……。
     そしたら私、最初に何て言おう。 そして、いの一番に何を質問しよう?
    \
     暗くて狭い、地下シェルター。 右代宮縁寿を閉じ込める、開かずの密室。
     ある日、そこから一本のメッセージボトルがインターネットの海に流れていった。
     それは、私がこれまでノートに書き溜めた様々な思いの集大成だった。
    \
     投稿者のハンドルネームは『古戸ヱリカ』、タイトルは『朱志香犯人説』。
     メッセージボトルは、誰に拾われるかは、わからない。 もしかしたら誰にも拾われないかもしれない。
     忘却の深淵に忘れられて、誰にも見つからずに生涯を終えるかもしれない。
    \
     中身だって、お酒臭くてみっともない、アルコール中毒のボッチ女が書いた独りよがりな独り言かもしれない。
     でも、それは今までの右代宮縁寿の人生では考えられないほど、優しい思いでつづられていた。
     そこには、自ら犯した過ちへの、強い反省があった。
     「手品」エンドを選び、疑心暗鬼の末に天草を殺してしまった罪が、縁寿を変えたのであった。
    \
     昔の自分は「手品」「魔法」の二択で迷わず「手品」を選んだ。
     でも、今の私なら例え低確率でも「魔法」の存在を信じたいんだ。
     そう、気が変わったの。

    \

  • #19

    パンダ5 (火曜日, 23 7月 2024 18:07)

    一応、製作中オリスクの考察が含まれるパート全て晒しました。
    長々と、他人のブログで、ウザがられるだろうな~と思いながらも。
    せっかく朱志香説に触れてる人なので、何か刺激を与えられたらなあ、と。リスク覚悟での投稿です(怒られる事、覚悟で)。

    考察の内容としては、「朱志香=真里亞のためのベアト」「右代宮家の仲直りのために仕組んだ、狂言殺人計画が失敗して一家全滅説(白ベアト説)」「朱志香=八城(作中作家は朱志香+たまに天草戦人)」「紗音相手にだけ黒ベアト説(身代わりになってもらうため)」「手品サイドや、ミステリーを否定して、魔法やファンタジーから真実に近づく縁寿(アンチミステリー&ファンタジー)」。

    右代宮理御=朱志香の理想の自分への変身魔法
    その説が、エピソード5の「19年前の男」の実在を否定。

    真里亞お姉ちゃんの魔女同盟でのベアトリーチェのイメージと、エピソード6で戦人GMがエリカに仕掛けた狂言殺人が結びつき、「真里亞のための狂言殺人計画」に至る縁寿。

    魔法か手品、ファンタジーかミステリーか。
    そこで魔法とファンタジーを選んだ結果、「心優しき白ベアト」の存在に気づく縁寿。

    ……でも、10年ほど前にニコニコに上げたオリスクだと、縁寿がネットに上げたその考察『朱志香ベアト説』は悪意的な、愛の無い考察をする『朱志香犯人説』のポスト真実の魔女たちに乗っ取られてしまった。
    真実の陣取りゲームが起きて、元々あった縁寿の考察のゲーム盤は、知的強姦者たちの手によって、全く別物に変わり果ててしまった。

  • #20

    パンダ5 (火曜日, 23 7月 2024 18:08)

    長くなりすぎたので、自分の考察のコアを短くまとめると。
    1:右代宮理御=朱志香
    右代宮理御=突き落とされたライオン=獅子はわが子を千尋の谷に突き落とす=奇跡が起きないと登場しない。
    それならば、単純にこのキャラの素材は、朱志香で良くないか?
    夏妃から厳しくしつけられてるし、右代宮理御みたいな次期頭首に相応しい優等生には何度生まれ変わってもなれないし。
    そう、魔法でも使って変身しない限りは……。
    ん? 魔法? それならば朱志香をベアトリーチェにもできるな?
    もし、右代宮理御が、夏妃が望む朱志香の姿ならば?
    ベアトリーチェは、真里亞が望む朱志香の姿と言う事にできる?
    朱志香=理御に隠された謎があるなら、朱志香が作家の八城幾子確定?
    2:エピソード5の19年前の男
    右代宮夏妃が突き落としたライオンが、もし朱志香だとすると、「19年前に崖から落とされた赤ん坊」の存在が実在するのか、かなり怪しくなる。

    いっそ消してしまうか。

    あ。エピソード5の出来事からノイズが消えて、ほぼ全て出題編から見えてた範囲内の長男一家内の問題に収束されたぞ。
    となると、エピソード5ラストでの戦人の行動は、単純に朱志香=ベアトを守るために戦人犯人説引っ提げて、飛び込んできたことになる。

    3エピソード6のGM右代宮戦人の3つの使命

    3-1朱志香を犯人にしない事。
    3-2狂言殺人説の可能性を伝える事。
    ベアトの計画は「真里亞を救うために右代宮一族を仲直りさせる」ために「右代宮家の共通の敵、殺人者ベアトリーチェ」の存在を仕立て上げる「狂言殺人計画」。碑文の謎解きを「家族で仲良く」やらせる事にも意味があった。
    でも、大人たちは『人間の犯人』『顔のわかる身内の犯人』ばかり疑い、逆効果。
    真里亞は叫ぶ「人間の犯人なんていないのにー!」
    敵を作って団結をもたらす手法は、「戦争」や「差別」や「学校の虐め」のメカニズムにも含まれてる危険な物なのに、安易に「家族の仲直り」のために用いてしまったため、副作用で右代宮家は壊滅してしまった。
    3-3嘉音=紗音(ルークかビショップかナイト)という、朱志香(クイーン)を守る盾であり剣でもあるコマをチェスを模したゲーム盤のメインに据える事で、「朱志香の心を理解できる(愛がある)者にのみ、朱志香ベアトの可能性を見せ」、「理解できない物(愛がない=つまりはやじ馬的にわいてきたウィッチハンター)には紗音説しか見えない」謎を構築する事。
    戦人の最終目的は、戦人犯人説と紗音犯人説以外の他のすべての説を「愛がないヤジ馬ウィッチハンター」の視点から駆逐すること。
    そして、「愛が無ければ視えない」朱志香ベアト説を、「わかるひとにだけわかる」状態で保存し続ける事。

  • #21

    パンダ5 (火曜日, 23 7月 2024 18:08)

    #11の補足説明『カモメカモメカチンカチン』
    あの文章だけだと「縁寿がたどり着いた理由」として弱いので、「カモメカモメカチンカチン」を例えに出して説明させることにします。

    >私だって、身をもって知っている。
    特別なエリートの譲治と比較されてばかりの、普通の子供がどんな気持ちになるのか。

    >それは「お前は右代宮縁寿である事を今すぐやめろ!」と命令されている事に等しい残虐なのだ。

    自分の二次創作の縁寿は、自分も経験したこれらの感覚によって「右代宮理御=朱志香」にたどり着く。


    >私の中で、エピソード5に出てきた19年前の男の存在が、幻想の霧となって消えていく。突き落とされた赤ん坊の存在は、幻想。
    全ては、夏妃の朱志香へのスパルタ教育という事実に吸収されていく。

    >『獅子はわが子を千尋の谷に突き落とす』、『突き落とされたライオンの正体は朱志香』それが『19年前の男幻想』の正体。
    エピソード5の最大の謎は、跡形もなく綺麗に消えてしまった。

    自分の二次創作の縁寿は、「19年前の男」がいない場合のエピソード5を脳内で構築。

    ↓ここから下が、追加シーン

    「カモメカモメカチンカチンの謎かけの場合は、『カ』の字を抜くと正しい答えになる。
    私は、右代宮理御=朱志香説という鍵で、「19年前の男」が抜くべき『カ』の文字に当たる事に気づいた。
    だったら、エピソード5の正しい読み方は……!?
    ほぼほぼ長男一家の破滅と、金蔵死体隠ぺいの話に収束していく?」
    「助けて!」
    誰かが助けを求めているのを感じる。
    夏妃が疑われて酷い目に遭ってるのに耐えきれなくて。
    その声の正体は? ――朱志香お姉ちゃん?
    そして、誰に助けを求めている……? ――戦人おにいちゃん?
    「朱志香お姉ちゃんと、戦人お兄ちゃん。
    そうか、エピソード5は、この2人の話だったんだ。」

  • #22

    gultonhreabjencehwev (火曜日, 23 7月 2024 18:24)

    リコメありがとうございます!
    移転しました!!!!
    ご協力くだし!!!


    まず最初に、ご紹介いただいたコンテンツに関しまして私の感想はいろいろあるのですが、直接の御本人ではない人に否定的な話を含めるのは失礼になってしまうので、あくまでパンダ5さんの思考と似てる人の参考資料的な意味合いでしか扱いませんので御了承ください。ご自身の考察として落とされるのであれば応えます!

    あと、19年前あたりの血縁関係について私の考えは昔に書いてますが、見ていただけてました?もしまだだったら見てもらえると超嬉しいです!前半はとばしてもらって、後半部分に書いてますので!
    https://gultonhreabjencehwev.jimdofree.com/2013/04/12/%E9%BB%84%E9%87%91%E8%9D%B6%E3%81%AE%E3%83%96%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%81
    (URLに2バイト文字のエンコード使うってセンス無さすぎなんだよなこのサイト。。。)
    一応、自分のこの解釈に一番しっくりきているので(当たり前や)、ここの19年前の解釈は多分私が一番正しいと胸張れる部分ですね!
    (๑`・ᴗ・´๑)エッヘン


    前置きは以上で。
    なるほど、九羽鳥庵ベアトリーチェ(や夏妃が落とした赤子)は存在してない解釈ということですね。ん〜たしかEP3で死んだときに、たしかに死んでるみたいな赤字展開させてたと思うので、そこが気になりますね。その解釈さえ抜けちゃえば通りそうですかね。

    楼座はルドルフ自体に未練はないんですかね?楼座視点だと霧江や明日夢って嫉妬だったりの対象じゃないのかなと思ったりします。自分の黒歴史の魔女化したいほどの自己嫌悪的は、めっちゃ自然でダサくて面白くて大好きw

    EP8でルドルフがバトラの出生について語る部分なんですが、私もかなり偽判定をしています。「明日夢は死産だった」みたいな表現だったんですよね、たしか。でEP4では「バトラは明日夢から生まれた」みたいな赤字もあったと記憶しています。死産て、生まれてからすぐ死んでしまうことを言わないと思うんですよ、個人的には。お腹の中で死んでいる状態のことを死産て言うと思うんですよ。死産て、生まれてないと思うんですよ。生む前に死んじゃったことを言うと思うから。お腹にいる事自体も、生を受けたとか宿ったとかは言いますけど生まれたとは言わないすよね。生まれるはあくまで出産のことだと考えます。だからここに赤字と証言との矛盾があるんですよね。で、そうなった場合に私は赤字が正しいと捉えることがほとんどです。証言が間違っている。

    EP8の前半の話なんて、縁寿に魔法ENDを選ばせるための舞台なんだから、本当の話である蓋然性がまったく無いと思っています。だって魔法を信じるってそういう趣旨じゃないですか。単純な話、うみねこ最後のストーリーのEP8でルドルフが語ったから真実なんでしょうというメタしか信用する要素ないじゃないですか。「皆殺し・祭囃し」で語られたことが真実になるように。なので、バトラは霧江の子という嘘に惑わされずに自由に発想したい部分ですね〜。

    リオン=朱志香の理想像、は面白いです。そうなるとウィルとの関係性もバトラと朱志香の関係と符合して見ていくことができて、さらに面白そうです!そうなると朱志香がなりたい自分=リオンなので、朱志香=ベアトリーチェとは別軸になりますかね。ベアトリーチェは真里亞主体で、リオンは朱志香主体というカンジですかね。

    EP4の途中で、真里亞は一時期を堺にどんどん黒魔法に傾倒していったみたいなのがあったと記憶しています。それを伝授したベアトリーチェも朱志香で合ってます?どういう解釈になるんやろ。気になります^^

    マ「縁寿様ー!もう告っちゃいましょうよ!」
    霞「しねどす」

    ラムダデルタが紗音犯人説の擬人化というのは、めちゃくちゃ興味深いですね!私とは核が違いますけど包括的な捉え方がとても似てます。
    私は、ラムダデルタは「メッセージボトル(や偽書)の擬人化」だと思っています。メッセージボトルの存在は、六軒島事件を、陰謀論ではなく魔女の物語として説明するものです。その可能性を世間の一部に(マニアに)認めさせた時点で、魔女が実在する可能性を証明できた。メッセージボトルが、ベアトリーチェの存在を、世間に0ではない確率で認めさせたことが、ラムダデルタがベアトリーチェの後見人であることの説明につながるというイメージです。だから、ラムダデルタの主張はメッセージボトルの主張として私は受け取っています。メッセージボトルはこう言っている(こういう趣旨が書いてある)みたいなイメージです。

    対してベルンカステルが「縁寿の擬人化」ですね。ベルンカステルの主張は、縁寿の主張。つまり縁寿はこう言ってるってイメージです。ですので、この物語のラムダデルタとベルンカステルの関わりというのは、六軒島事件を、「メッセージボトルはこう言ってるし、縁寿はこう言ってる、何が正しいんだと論争を繰り広げている様」のことだと捉えることで現実世界に還元されるという仕組みですね。

    >ミステリーが幻想のノイズを生み、ファンタジーが幻想のノイズを消し去るカギとなる。
    >ファンタジーパートの方が、真実を表していたことになるわけ?
    >ファンタジーものの文脈が、全ての謎解きの鍵になる?

    ホントにこれに共感します。うみねこはそうやって読み解くものだと改めて思い出しました。だからこそ、ファンタジー表現を現実世界に落とし込む作業が重要なんです。ラムダデルタとベルンカステルを解剖する上記のように。この感覚を持っているひと、あんまりいないと思いますよ。ホンマにナカーマですね、嬉しいどす〜。

    ベルンカス・アフィリカスwwwww
    ラムダカス・エコーチェンバーwwwww

  • #23

    バンダ5 (水曜日, 24 7月 2024 15:43)

    なるほど。フリートークスペースですか。
    確かに、あの記事の本題と違う話題だし、その方(まあ隔離ですよねw)がいいかも。

    管理人さんの考察にも人柄にも好感が持てますが、作品の解釈には異なるところもあるので、絶対に譲らない箇所も何点かあったりします。
    100%同じ考えの人間はいない(ただし、あからさまに倫理感がおかしい人には正義感から一言、文句を言いたくなるのもまた人間)。

    >ご紹介いただいたコンテンツに関しまして
    了解。


    >19年前あたりの血縁関係

    どこに焦点を当てて見るかによって、読者によってブレる場所ではあると思います。
    原作者がエピソード8の原作版を、あそこまで難解に書いた理由を考えると、わざと真相をボカすことそのものに思惑があったり?

    >ここの19年前の解釈は多分私が一番正しいと胸張れる部分

    異なる部分があっても、愛情がある意見は尊重したいですね。
    解像度が高い部分が、自分とは明確にずれているからこそ、有用な情報もたくさん含まれている。得意分野の違い。
    自分の場合、先に直観で気になった部分を、後から理由付けする事が多いもので。

    >死産て、

    死産に流産に、生まれずに死んだ命なのか、そもそも、その段階での死は死としてカウントすべきなのか……宗教的な価値観も絡んできそうで、難しい。

    >赤字展開

    「六軒島爆発(真実)→創作説」の立場を取る自分の場合は、赤い文字は、必ずしも重視してないです。
    「赤い文字」とか「探偵権限」は、それを使うキャラがそう主張してるだけで、その真偽はまた別問題(人は嘘をつく生き物)。
    まあでも、嘘をつく人間が全員悪人かと言われると、それも別問題。
    創作物には、その作者が伝えたいメッセージが込められてる以上、『愛が無ければ視えない』『チェス盤をひっくり返して』『心を蔑ろにするんじゃねえ』と作者がキャラを通じて繰り返し言ってる以上は、どんな視点や考え方で物を語ってるかを考えたい。

    >単純な話、うみねこ最後のストーリーのEP8でルドルフが語ったから真実なんでしょうというメタしか信用する要素ないじゃないですか。「皆殺し・祭囃し」で語られたことが真実になるように。

    後期クイーン問題ですね。
    「作中で探偵が最終的に提示した解決が、本当に真の解決かどうか作中では証明できないこと」

    原作者(現実の方の)は、ひぐらしの出題編の圭一視点の描写の様に、「真実と幻想の間の揺らぎ」を書く事をかなり好んでますからね。


    >なるほど、九羽鳥庵ベアトリーチェ(や夏妃が落とした赤子)は存在してない解釈ということですね

    それが作中作者の本当に伝えたかったことなのか疑問に思ったのと、朱志香と楼座の2人のコンプレックス的な部分を感じる、引っかかりが多数あるもので、その関係。
    パンダ5自身の生い立ちや価値観がわりと絡んでます。
    自分自身が、母親から「自分が女だから、成績上位なのに大学に入れてもらえなかった」話(絵羽のエピソードの亜種?)を子供時代から聞かされて育った事もあり……。
    後、小学生の頃、男子よりも女子と遊ぶことが多かったり。
    運動は苦手で一人で本を読むのが好きだったり。
    中学1,2二年のとき、「女子として学校に通う自分」が、夜見る夢に普通に混じってた時点で、平均的な男子からは明らかにズレているし。
    そんなの人前では言えるわけない。
    自分自身がTSF(男→女の性転換)系のネット小説を高校時代から、ダイヤルネット回線の遅いインターネットで読んでた層という事もあり……。
    あまりこういう自分語りはしたくないのですが、自分のうみねこへの執着の理由を説明するなら、多分この辺りの事情が絡んでくる。
    だから、キャラの心情への答えも、そういう内容になりがち。

    >楼座

    男性依存的な部分と、真里亞の『魔女』への過剰反応と。
    『癒し系の常識人』として子供の頃大人しくて、抑圧されて本音言えないタイプだったのが、後になって爆発してる感。
    あと、服飾の仕事と変身願望と……。
    昨日までの自分を否定する存在としてのアンチローザ。

    >それを伝授したベアトリーチェも
    自分の二次創作の解釈では、朱志香は親子関係にギクシャク感ありながらも、かなり白ベアト寄りの見方で見てます。

    ベアトリーチェの殺人計画は、本当に人を殺すわけではない、狂言の殺人計画。あくまで『殺人事件に立ち向かうためには、家族全員で力を合わせて碑文の謎を解かなきゃいけない』ってところに誘導するための手段。
    動機は、親同士の遺産争いや、いとこ組全員の親子関係へのモヤモヤ感。何よりも真里亞が泣いているのを見たくないから。
    「ベアトリーチェという外敵の襲来によって、右代宮家をピンチに陥れるというショック療法。右代宮家の危機を前に、大人たちが自らの過ちに気づいて、家族への愛を思い出して一致団結してくれればいいんだけど……。」

    >ラムダデルタが紗音犯人説の擬人化
    >ラムダデルタは「メッセージボトル(や偽書)の擬人化」

    どちらも、ひぐらしの頃から、原作者が好きそうなルールですね。

    >ベアトリーチェは真里亞主体で、リオンは朱志香主体

    主体はそうです。でも、真里亞の欲求に応えてあげることはできる。
    例え、下手な変装とか、下手な手品でも、そこに込められた気持ちを真里亞が認めてくれるなら、『ここにベアトリーチェは”い”る』それは共通見解に。ついでに自分の承認欲求も満たされる。
    親に褒められなれてない子だからこそ、誰かに存在を承認されたいという。
    世界を構成する最小の人数は2人。
    足りない部分は、他の誰かが支えてあげればいい。


    >対してベルンカステルが
    古戸ヱリカ登場後は、そんな対立軸でしょうね。

    >この感覚を持っているひと

    本当に少数派。
    エピソード5の探偵役古戸ヱリカの『嫌な奴っぽい』キャラ付けの時点で、作中作者が「”アンチ”ミステリー」の立ち位置にいることを想像してもいいと思う。原因はネットで六軒島事件に対して無責任に騒ぐ、質の悪い探偵のウィッチハンター(2ちゃんねら気質も多い)たち。
    「愛が無ければ視えない」謎を、「ファンタジー」な理由付けで配置しても不思議じゃないし、できればその謎は、作中作者にとって身近な人にしか解けない謎だとありがたい。

    自分が、あえて「手品エンドで天草を殺した後の縁寿」を探偵ポジションにしている理由は、「人間不信と、悲観的な現実主義」の先に壊れた縁寿が、それと真逆の「魔法」「願い」「幸せ」に惹かれながら、「どこか自分に似た、ベアトリーチェの真意」に近づく構図そのものにロマンを感じてるのもあり。
    「優等生の譲治と比較される劣等生」としての「縁寿≒朱志香」のシンパシーから「右代宮理御=ベアト=作家=朱志香」説に至るものの、彼女と殺人犯としてのイメージが結びつかず。動機も思いつかず。
    そんな中、ネットサーフィンをしていたら、「魔女狩り」など魔女を悪者扱いして「現実の大飢饉や疫病」の原因のスケープゴートにしていた歴史にたどり着く。
    「もしかして、殺人そのものではなく、魔女をスケープゴートにすることその物に意味があった? それならば、彼女の立ち位置でも事件を起こす動機はある。 例えば、『魔女VS右代宮家』の対立軸で、強引に外敵を作り出すことで、右代宮家のケンカをやめさせて仲直り団結させるのが目的だったとか? 殺人犯がいる状況だと、例えば絵羽夏妃の仲悪い2人でも、いつまでもケンカをするわけにはいかないし……『犯人は魔女、人間の犯人なんていない』って、そういう事?
    でも、現実での右代宮家はほぼ全滅し、六軒島も爆発して廃墟になった。
    多分、大人たちは『人間の犯人』ばかり信じて身内ばかりを疑ってしまった。 魔女ベアトリーチェの意図とは真逆の方向に、みんな動いてしまった……。その中で、人が死んだりして……。
    人が死んだ時点で、狂言殺人の主目的である『家族の仲直り』は失敗。
    だとしたら……もしかして、ベアトリーチェって、悪い人じゃない? もしかして私の仇でも何でもないの?
    彼女が、重大な過失による家族の全滅を招いたのが確かでも、その行動理由がもし『家族の仲直り』を目指しての愚かな行動だったとしたら、もう私、彼女を憎む事なんてできない……。」

    自分の魔法の解釈の仕方については、「魔法少女まどか☆マギカ(さやかの願いと自己犠牲)」「魔法少女プリティサミー(特に天野美紗緒とピクシィミサ、大人しい少女の二面性)」「魔法陣グルグル(特にククリ幼少期の、孤独なククリのお友達召喚)」の3つの感覚が混ざってます。

    こう考えると、「魔法=何でもありの出鱈目」ではなく、「魔法=人の心の現れ」なんですよね。
    寂しさとか、満たされなさとかコンプレックスがあるからこそ、人はそれを解決するための、魔法の存在を望む。
    それでは、その魔法が「どんな思い」によって生まれた魔法なのかを考えようじゃないか、と。
    ミステリーじゃなくとも、謎解き要素はそこに生まれるんです。

    >ベルンカス・アフィリカスwwwww
    >ラムダカス・エコーチェンバーwwwww

    うみねこ原作の世界の問題をややこしくしてる元凶の擬人化。
    興味本位で騒ぐウィッチハンターたちが面白半分で事件に首を突っ込んで、ヘンテコなデマや悪質な名誉棄損や風評被害が大量発生。
    縁寿や絵羽の苦しみを増幅させている、世間の悪意。
    てか、作中作者も本気で嫌ってる存在。
    『知的強姦行為』とは、真実そのものにすら敬意を持てずにデマをばらまくヤジ馬への嫌悪感が現れた言葉ですから。
    スマイリーキクチ事件のように、ネット民の幻想が独り歩きして、大変な事になる事は現実にもありますよね。
    ……作中作者が、ウィッチハンターによる悪質デマを嫌ってる時点で、それが『作中作者が右代宮家の人たちを嫌ってるわけではない』保証になり、自分の『家族仲直りのための、狂言殺人計画説(その失敗による疑心暗鬼や殺し合い発生)』への確信にもつながってます。

  • #24

    バンダ5 (水曜日, 24 7月 2024 17:50)

    \
    bgm1 71 rhythm-changer
     至った真実の方程式

     縁寿≒朱志香?

     だから、残りは直接会って確かめようと思う。
     そのためには、ベアトリーチェという魚が、ちゃんと私の仕掛けたルアーに引っかかってくれる必要があった。

    \
     私が『古戸ヱリカ』としてネットにアップロードした考察の『朱志香犯人説』。
     その中身は、『朱志香=ベアト説』だった。
     でも決して、その中身は『朱志香=殺人犯説』ではなかった。
     そもそも彼女に殺人の動機は無いし。
    \
     でも、それなのに私は敢えて、『朱志香犯人説』というタイトルを付けた。
     どうしてだと思う?
     それは、釣れなきゃ意味がないから。
    \
     だって、これはルアーフィッシング。
     獲物が反応して、引っかかってくれなければ意味がないもの。
     少し挑発するくらいのキツめのタイトルを付けたほうが、獲物も燃えてくれるはずだ。
    \
    「釣りをする時に、どうしてルアーを使うか知ってる?
     それは、派手に動くエサの姿に、魚が食いついてくれるからよ。
     もちろん、エサが本物の食べ物である必要はない。
     ルアーの材質が何か知ってる? プラスチックとか金属よ。
     私がやりたいのは、つまりはそういう事よ。
    \
     朱志香犯人説なんて名乗りながら、実は中身ではね、殺人犯が誰かなんて一言も言ってないの。
     タイトルはあくまで、彼女を釣り上げるためのエサにすぎない。
     中身はね。 実は真里亞お姉ちゃんと朱志香お姉ちゃんの魔女同盟の事ばかり書いてあるの。 」
    \
     pdf形式でまとめてZIPで圧縮された、考察のファイル。
     添付テキストには「やっと真実に至ることができました」、「答え合わせのために一度リアルで会いたいです。このアドレスに連絡をください」と、書いた。
    \
     ちなみに、そのメールアドレスについての話だけど、別に私は不特定多数相手に、そのまま無防備にメルアドを晒したわけではない。
     意図せぬ第三者がアクセスしてしまう事は望んでいないからだ。
    \
     だからメルアドは、「カモメカモメカチンカチン」的に、なぞなぞ的な暗号で加工してあった。
     文字を足し引きしたうえで、順番を並び替えなければ正しいメールアドレスにはならない。
    \
     それは、真里亞お姉ちゃんのノートに載っていた、子供時代の真里亞とベアトリーチェにしか通じない謎かけだった。
     つまりは、この地球上で、私以外には、真里亞と朱志香にしかわからない謎。
     つまりは、私に連絡をくれる相手は確実に、その2人以外あり得ないのだ。
    \
     私の至った真実『朱志香犯人説』を読んだ朱志香お姉ちゃんは、私に連絡をくれるはず。
     「これから一緒に会おう」って。
     そうすれば、私はもうひとりぼっちじゃない……よね?
     酒瓶の転がる荒れた部屋を見て苦笑する。
     お酒で心の痛みを誤魔化すだけの人生なんて、生きてるって言えないよね。
    \
     私が、古戸ヱリカいうペンネームで『朱志香犯人説』をネットに公開した理由は、シンプルだった。
     『かつてベアトリーチェを名乗って、エピソード3の偽書をネットに流した時の彼女に倣って』そうしたのだ。
    \
    「殺人犯についての推理など全くしていない考察を、”朱志香犯人説”という名前で公開する。
     なんたる暴挙なのかしら!
     うん、そうだよベアトリーチェの正体は朱志香だよ。
     殺人事件の犯人? そんなの知らないよ。 私が知ってるのは、『ファンタジー』としての答えだけだもの。」
    \
     ベアトリーチェの正体が誰かわかったところで、殺人事件の方の犯人がわかるわけがない。
     魔女の正体と、殺人犯。 それは別に独立して存在する。
     つまりは、全くの無関係。
    \
     それを、私は『朱志香犯人説』としてネットの海に放流するのだ。
     それは、例えるならば「ファンタジーものの作品」を「ミステリー物の作品です。推理は可能です」と言って公開するようなもの。
     私がやろうとしてることって、そういうたぐいの反則手だった。
    \
     いいよね。
     ベアトリーチェだって似たような事をしてたもの。
    \
     この時の縁寿は気づかなかった。
     今の自分が、かつてエピソード3の偽書をネットに流した時のベアトリーチェと同じ過ちを犯していたことを。
     かつてエピソード3が、絵羽犯人説を世界に蔓延させたのと、全く同じ流れが繰り返されたのだ。
    \
     その結果、『朱志香犯人説』は、ネット社会に『制御不能の伝言ゲーム』を生み出してしまう。
     今まで寝ていたはずのウィッチハンターたちを起こしてしまう。
     そして、それは、ついさっきまで生きていた右代宮朱志香を、数日後に自殺という最悪の形にまで追い込んでしまうのだ。

    \
     至った末路の方程式

     古戸エリカ≒ベアトリーチェ
     朱志香≒絵羽
    \
     自分が書いた偽書の存在が予想外の流れを生み出し、予期せぬ破壊力で、予想外の対象を傷つけてしまう。
     皮肉にも、全く同じだった。
     ハンドルネーム古戸ヱリカは、鏡写しの、もう1人のベアトリーチェだった。
    \
    bgm1 112 蒼色の冷笑(EP5エリカテーマ)
    「良かったね、鏡像の魔女。 ベアトリーチェと一緒になれて。
     きひひひひひ。」
    \
     ここは縁寿しか知らない地下シェルターのはずだった。
     酒瓶だらけの、退廃的な猫箱の中。
    \
     これは、縁寿が『朱志香犯人説』を投稿するまでの過去をなぞった回想シーンに過ぎない。
     それなのに、何故だろう?
     回想シーンの再生中に、唐突に聞こえてくる真里亞の声。
    \
    「それにしても無能だよね、縁寿ってさ。
     エピソード3の時のベアトと自分を重ねるくらいなら、予想できてなきゃダメじゃない。
     自分の投稿した考察が原因で、これから先に、どんな惨劇が起こるのか。」
    \
     縁寿の過去回想の話の展開に対しての、謎の突っ込み。
     回想された過去の世界に、真里亞お姉ちゃんは居合わせていないはずなのに。
    \
     「エピソード3で描かれた絵羽犯人説が、どんな悲劇を生み出したのか、忘れたの? 下手に目立って注目される事には副作用があるんだよ。
     ほ~ら、美味しそうなエサの匂いに釣られて、ヤギさんたちがやってきた。魔女狩りを生業とする黒ヤギたちが。
     これから、どんな知的強姦行為をしようか、凄くワクワクしている様子だね。
    \
     きひひ。 君は、チェス盤をひっくり返して、ベアトリーチェの真実にたどり着いたんでしょ?
     いい加減なデマや風評被害の恐ろしさ。それがどれだけ苛烈かつ残虐なものか。まさか、忘れたわけじゃないよね?
    \
     だったら、楽しみだねえ。 鏡像の魔女にして真実の魔女の君が、これからどれだけの苦難の道をたどるか、楽しみだねえ。
     きひひひひひっ。
     ……ネット社会のポスト真実の魔女たちを、ヤギたちの力を、侮らない方が良いよ。」
    \

  • #25

    バンダ5 (水曜日, 24 7月 2024)

    数日後、縁寿は無事メールでの連絡がつき、『右代宮真里亞』を名乗る女性との接触に成功する。
    \
     でも、彼女が示す『お屋敷』に着き再会したのはいいが……。
     出会って早々、開口一番聞けた、懐かしい声の最初の第一声。
     それは、縁寿の全く想像してなかった言葉だった。
    \
    bgm1 33 Requiem
     「よくも私の前に顔を出せたものだね。この人殺し!」

     突然の罵倒に目を白黒させて戸惑う縁寿。
     『右代宮真里亞』の罵倒は続く。
    \
     「ハンドルネーム古戸エリカが投稿した『朱志香犯人説』が原因で、朱志香は自殺した。
     銃で、自分の頭を撃ちぬいて……ね。
     あんたが殺したんだよ、右代宮縁寿!」
    \
     真里亞は、携帯端末の画面を見せて、ネットが今どんな状況になっているかを突き付ける。
     突然冷や水をかけられ動揺する縁寿。
     鳩が豆鉄砲を食ったような様子で、茫然自失だった。
    \
     縁寿は、今の、『朱志香犯人説』を巡るネットの様子を知らなかった。
     あれを投稿してから、縁寿はほとんどの時間を、ずっとお酒を飲んで寝ていたから。
     不思議な白昼夢の世界にいた。そこで、幻想の朱志香と真里亞に会っていた。
     だから、現実のインターネットでどんな反応が起きていたのかを、全くと言っていいほど把握してなかったのだ。
    \
     だから、荒れ果てたネットの様子を見せつけられても、ただ驚くことしかできなかった。
    \
     「何よこれ……。 え? ネットの意見、みんなそっちの方向なの?
     朱志香ベアトが右代宮家殺しの真犯人で、凶器は煉獄の七杭。
     大嫌いな紗音に全ての罪をなすりつけ、名誉を棄損するために紗音犯人説を書き続けた?  朱志香お姉ちゃんが?
    \
     それが、私の考察を読んだ、ネットの人の答えなの?
     私の考察を足掛かりにした、私とは全く別物の考えがネット中に広がってる……!?」
    \
     まとめサイトのゲロカス速報の管理人の『ベルンカス』というハンドルネームのウィッチハンターが、縁寿の『朱志香犯人説』考察を自分のまとめサイトに無断転載していた。
     更に縁寿の考察を『朱志香が殺人犯かつ、心の病んだ狂人』である方向に曲解した考察記事もネットに上げまくっていた。
    \
     人気まとめサイトの拡散力の高さから、ネット中に大きな影響を与えていた。
     ネット中が、ゲロカス速報の解釈した『朱志香犯人説』に染まり切っていたのだ。
    \
     ショックの大きさにふらつく縁寿だったが、真里亞は、倒れる事すら許してはくれず、縁寿の胸倉を掴み、きつく睨み付ける。
    \
    「きひひ、良かったね、復讐出来て。これ全部、あんたの狙い通りでしょ?
     ネットの反応から朱志香の自殺まで、何から何まで! 
     言葉ってすごいよね? やり方次第で人を自由に操れる。
     使い方次第で人を簡単に殺せる。
     人を呪って殺すことができるなら、それはもう魔法だよね。」
    \
    「え? 違う。
     あれはそういうつもりでやったんじゃ……。 お願い、信じて。
     私……そんなつもりは全然なくて。え? 本当に死んだの? 自殺?
     え? え? え?
     嘘でしょ……、私が、朱志香お姉ちゃんを殺したの?」

     天草だけじゃなくて、朱志香お姉ちゃんまで殺しちゃったの、私?
     これで2人目。 私、これでもう、2人も人を殺しちゃったんだ。
     そうか、また犯人は私なんだ。
    \
     犯人だから、遺族の真里亞お姉ちゃんに「お前が犯人だ!」って責め立てられてる。 悪いことをしたから、当然だよね。
     人殺しの真実の魔女古戸ヱリカ、それが私なんだ。
     それが、本当の私の姿なの……?
    \
     え、ちょっと待って!
     だったら、私の心はどうなるの? 心の中に抱えていたあの気持ちは?
     薄暗い密室の中で、1人で望み続けていた、あの強欲なハッピーエンドは、幻想だったの?
    \
     あれは嘘じゃない。 
     朱志香お姉ちゃんと再会して、2人でまた一緒に暮らせたらいいな、なんて思ってた。
     だって、分かり合えない仲じゃない事は、もうとっくに考察済みよ。
     私とお姉ちゃんは、鏡に映ったみたいにそっくりなんですもの。
    \
     だから、今度会ったらベアトリーチェのあなたを許してあげようって、ずっと思ってた。
     あなたは、私の両親を殺した真犯人ではないんだもの。恨む理由なんて全くないよね。
    \
     それなのに。 何でお姉ちゃん、自殺なんてしちゃったの?
     私が殺した? 私が殺した? 傷つけた? 苦しめた?
     彼女の名誉がこんなにボロボロに? ネット中に晒し物に?
     やったのは誰?  私? 
    \
     でも、私はそんな事望んでない。 全然、こんな結末望んでいなかったよ!
     私が犯人なんだ。 朱志香お姉ちゃんを殺した犯人なんだ。
     やっと、理解できたと思ったのに……。
    「い、嫌ぁぁあああああ~~~~~~~~~っっっ!!」
    \
    箱の中で猫が泣いていました。
    悲しげに助けを求めて、弱々しい声で泣いていました。
    しきりに、何かを訴えるように叫び続けていました。
    でも、その叫びは誰の耳にも届く事はありませんでした。
    何故なら、猫箱の在り処は、深い深い海の底。
    中の猫の生死すら、もう誰にもわからないのです。
    \

    誰の気にも留められないまま
    やがて……
    箱の中の猫は
    死んでしまいました。

    Frederica Bernkastel

  • #26

    バンダ5 (水曜日, 24 7月 2024 19:55)

    bgm1 19 胡散の香り
     それを、物陰から心配そうに見ているのはメイド姿の1人の使用人。
    「縁寿があれをネット公開した意図がわからない以上。
     安全のために私、朱志香は死んだことにして姿を隠すしかない。 
     例えば、来客を応対するメイドになりすまして、様子を見るとかね。
    \
     そう、縁寿の前では、私はこのお屋敷に雇われたメイドとして振舞っていた。
     応接室まで案内して、お茶を入れるところまでやったけど、向こうは正体に気づいていない様子だった。
     今、縁寿の前に立っているのも私の代役に過ぎない。
     紗音だ。 紗音が『右代宮真里亞』を名乗って、縁寿を『右代宮朱志香を自殺させた犯人』として責め立てているのだ。
    \
     自殺か……。 確かにあのネットでの騒動を見た私本人、自殺してもおかしくないくらいショックを受けた。
     まとめサイトのゲロカス速報に、多分無断転載された『朱志香犯人説』と、それに対するコメント欄のどぎつい反応を見てるとね。
     それにしても例の『朱志香犯人説』……。
     どこまでが彼女の考察で、どこからがネットの意見なのか境界線がわかりにくい以上は、『復讐目的』のような最悪の展開も想定しなきゃいけない。
     『家族の仇』とか言って、いきなり銃殺されるパターンだってあるんだ。
     そんなのたまったもんじゃないし、ね。
    \
     だけど……、紗音の奴、あの演技はさすがにやりすぎじゃない……?
     もしかして、かなり怒ってる? 物凄く機嫌が悪い?
     確かに『朱志香は死んだことにして』とは頼んだけどさ、あそこまで全力で憎悪表現されると、縁寿の方が心配になる。
     しかも、ここで真里亞になりすますってのは、縁寿メタる場合に有効すぎてかなりえげつない選択だ。
     紗音の奴、本気で縁寿を精神的に追い込んでいる。
    \
     あのネットの様子を見て、紗音が怒るのはわかるし、あれだけ強く怒ってくれるのもすごく嬉しい。
     でも、私視点で見ると、縁寿の奴が必ずしも悪意を持っていたとは思えないんだよなあ。
     迷ってる? そうかもしれない。
     何だかんだで、ネットで起きた事が、全て縁寿の思惑通りだとは思えないんだよ……。
    \
     だって、本当に復讐目的ならさ、今あそこで『右代宮真里亞』相手に、あんな苦しそうな顔をして青ざめている縁寿は何? 
     逆に『奴が死んだ!ヒャッハー!』って狂喜乱舞で喜んでいても不思議じゃないのに……。
     それなのにあの落ち込み方。
     まるで世界が終わってしまったかのような。
    \
    bgm1 118(トーテンブルーメ)
     そう、縁寿の様子に違和感は感じていた。
     でも、私には縁寿を完全に信用する事なんて、恐ろしくてできなかった。
     そりゃそうだ。
     目の前に容疑者がいるときに、無条件で信用できる人間なんて、この世にいるわけがない。
     実に困ったところ。
     今はただ、真偽が宙ぶらりんの状態で様子を見る事しかできないんだ。
    \
     『朱志香犯人説』作者古戸ヱリカという猫箱の中には、2人の右代宮縁寿像がある。
     1人は、六軒島事件で家族を奪ったベアトリーチェへの復讐目的で『朱志香犯人説』を書いた縁寿。
     もう1人は、そうではない何か他の目的で書いたものの、ネットの予想外の反応に翻弄されている縁寿。
    \
     どっちが本当の縁寿なんだろう?
     もし、後者の場合は、忘却の深淵の中で、縁寿が孤独にひとり罪悪感に苛まれていた姿が思い浮かぶ。 恐らくは、天草を殺してしまった罪。
     正当防衛だと論理武装しつつも、天草本人に殺意が無かった場合の可能性の事を想像してしまい、夜も眠れなくなって。
     きっと、その罪を一人でずっと背負い続けていた。
    \
     さっき会った時、お酒臭いなって思った。
     制汗剤とか香水で臭い対策はしてる感じだったのに、お酒の臭いだけは何故か強く感じた。
     ここに来る移動中に、我慢できずにお酒を飲んでいた?
     それもかなりの量。 
     それに、顔色の悪さに、さっき見た手の震え……まさかアルコール依存症?
    \
     これって、止めるべきなのかな?」
     真里亞を名乗る紗音が、明らかに健康上問題を抱えてそうな縁寿を強く責め立てている。
     確かに縁寿に非があるとは言っても、これはいくら何でもやりすぎでは?
     そう私が戸惑うくらい、紗音の演技には熱が入っていた。
     紗音、もしかしてかなり怒っている? 機嫌、物凄く悪い?
    \
     え? 紗音が縁寿を突き飛ばした!
     地面に投げ出された縁寿は、涙を流しながら、無表情でうわ言のように何度も繰り返していた。
    「知らない……私は知らない……何も知らない……。」
    「きひひ。何も知らないなんてあるわけがない。 本当は今でも心の中で笑ってるんでしょ? 大嫌いな奴を殺せたから。
     それにしても、ネットでファンネル囲ってタコ殴りだなんて頭いいねえ縁寿。
    \
     そうすることで、自分の考察では深く踏み込まなくても、直接手を下さなくてもいいんだ。
     ファンネルたちが勝手な邪推で色々つけ足して朱志香を攻撃してくれる。
     天才の発想だね。 だから、今でも『私は何も知りませーん』みたいな顔でトボけていられる余裕がある。
     さすが霧江の子供だよ。頭がいいなあ。 楼座の子供の私には思いつかないよ、そんな下劣な発想。
    \
     あ、そうだ。
     もしちゃんと反省してるのなら、その気持ちをわかる形で示してよ。
     そーだなー。
     400字詰めの原稿用紙に、今回の騒動の反省文を書くってのはどう?
    \
     ちゃんと私に反省の気持ちを伝えられたなら、許してあげてもいいよ?
     でも、もしその気持ちが伝わらないなら書き直し。
     何度でも何枚でも、書き直しさせる。 例えその手が腱鞘炎になっても、書き続けてもらうよ。
     きひひひひひ。」
    \
     紗音の奴、いくら何でもやりすぎじゃないか?
     そう思いつつも、ここで正体をバラして「本当は私、生きてます。」と名乗り出る勇気はなかった。
     怖いのだ。 これ以上、自分の心が傷ついてしまう可能性が。
     命の保証すら、危ういのだ。 縁寿がもし、復讐のために銃を隠し持っていたら、その引き金一発で私の生命は終わる。
    \
     縁寿がやらかしてしまったネットの騒動が、ゲロカス速報他のネットの匿名界隈にて、やばいデマを大量に拡散したことは事実だ。
     デマの中身は凶悪で、私本人が読んで傷ついたものも、かなり多かった。
     特に恋敵の紗音への憎悪や、金蔵との近親相姦へのゲスの勘繰りは、興味本位と面白半分でかなり滅茶苦茶になっていた。
    \
     ウィッチハンターたちにとっては、今回の『朱志香犯人説』騒動は、最高の娯楽だった。
     相手が殺人容疑者なら、いくら叩いても心が痛まない。だから、いくら真偽が不明の怪しいネタだろうと、何でもやりたい放題。
     つい先月、彼らがスマイル木口という芸人相手に、そうしたのと同じことだ。
     彼らにとって大事なのは、事件の真実じゃない。
     相手がどれだけ殴り心地の良いサンドバッグであるか、ほぼその一点なのだ。
     スマイル木口の一件は、彼らの真実に対しての誠意のなさを表していた。
    \
     腹を空かせた黒ヤギウィッチハンターが、ゲロカス速報に無断転載された『朱志香犯人説』に集団でたかってくる。
     殴り放題のサンドバッグを殴って日頃のストレス解消のチャンス。
     同じ考えの人が集まれば、エコーチェンバー現象でお互いにそれを正当化しあって、ますますデマは凶悪な方向に進んでいく。
     制御不能! 何もかもが滅茶苦茶になっていた。
    \
     でも、そんな状況だからこそ思うのだ。
     もし、このネットの大炎上が、もし縁寿の本意ではなかった場合。
     彼女の目に、ネットの様子がどれだけ残酷な光景に映っているのか、気になってしょうがなかったのだ。
    \
    「後で、お茶のおかわりでも持っていこう。
     アルコール……ブランデーも少し垂らした方がいいかも。
     その時に、さりげなく探りを入れてみよう。
     なるべく、私が朱志香本人だとバレないように。
     少しでも、本当の気持ちを聞き出せればいいなあ。」

  • #27

    バンダ5 (水曜日, 24 7月 2024 20:01)

    \
    bgm1 96 HappyMaria(ボーカル無し)
    ベアト悪笑い立ち絵:
    「つまりは、『飴と鞭作戦』というわけだ! あひゃひゃっ!
     真里亞は全然、縁寿の言う事など信じてくれない。
     『朱志香が自殺したのは縁寿のせい』だって強硬に言い張ってるからなあ!
     『朱志香の仇』だと言って、厳しく接する真里亞。
     辛いだろうなあ、縁寿。 悔しいだろうなあ。縁寿。
    \
     でも、大丈夫! 世の中、悪いことばかりではない。
     捨てる神あれば拾う神ありということわざが、日本にはありまして。
     そんな一人ぼっちな縁寿の前に、そっとお紅茶を差し出してくる心優しい女性がいたんですよぉ、これが。
     しかも、そのお茶はね、お酒大好きなアル中の縁寿ちゃんのためにアルコール入りっ。
    \
     優しく接してくれる彼女は、名前も知らぬ使用人。
     縁寿はきっと、その優しさに、コロッとやられるに違いない。
    『こんな私なんかに優しくしてくれるなんて、メイドのあなたは女神に違いありません。』
     なーんてな感じで、涙なんか流しちゃって。
     謎の使用人の思惑に引っかかり、その本心を余すことなく吐き出す事になるのだ!
    \
     何たってあいつ、天草殺してからずっと酒浸りで、地下シェルター?とかに引きこもってたんだろ?
     そこに来て、この騒動だ。 
     精神的に強く参っていてもおかしくはない。
     アル中で、手ぇ震えてるくらいだからなあ。
     今の不安定なあいつの心を、上手く私有利に誘導するのは容易い事よ!
    \
     だって今のあいつ、味方なんて1人もいないからなあ。
     カルト教団のマニュアルにも、ああいう奴はチョロいから信者に引き込めって書いてあるからなあ!
     ちょっと優しくすればすぐに、メロメロよ。
     骨抜きになって、何でもかんでも喋ってくれるのは、時間の問題よぉ。」
    \
     これは、どちらが本音なのだろうか?
     使用人に変装した朱志香の『縁寿、心配だなあ。』『でも、縁寿を信じるのは怖いなあ』
     この葛藤が、彼女の本音なのだろうか?
    \
     それとも、魔女ベアトリーチェが邪悪に笑うように、今のこの状況そのものがベアトリーチェの策略なのだろうか。
     全ては、右代宮縁寿を、自らの手ゴマに加えるための計画にすぎない。 『飴と鞭作戦』で、弱り切った縁寿の心を篭絡し、その心全てを自分のために染め上げようとしている。
     その本性が、彼女の本音なのだろうか?
    \
     恐らくは、どちらの真実も対等にこの世界に存在する。
     だって、それが魔女のゲーム盤なのだから。

  • #28

    バンダ5 (水曜日, 24 7月 2024 20:31)

    凄まじく、「ご厚意に甘えさせてもらう」感じではありますが、今回は二次創作の話の対立軸を示したパート。

    縁寿の投稿した『朱志香犯人説』考察がネットで燃えて大惨事を生む。

    再会した真里亞が『朱志香はお前のせいで自殺した』と責める
    罪悪感に苛まれる縁寿。

    実は、生きていた朱志香はメイドに変装。 真里亞を名乗っていたのは実は紗音。
    紗音のやりすぎに対して、縁寿を心配する朱志香。

    ベアト「飴と鞭作戦! 全て計画通りよ!」

    無意味に展開にひねりが加わる図。





  • #29

    バンダ5 (木曜日, 25 7月 2024 16:25)

    ネットに『朱志香犯人説』を投稿した縁寿が、犯人側ポジションになる逆転現象ってのをやりたかったパート。
    エピソード3以降の偽書投稿に似た事を、探偵側がしたうえで、そのせいで事件が発生したため、本来探偵サイドの縁寿側の真意『考察を投稿した理由』が猫箱化して、魔女側の朱志香が真意を探りに行く、魔女と探偵の役割が入れ替わったおかしなお話になってます。

    紗音の行動(真里亞の振り)は、別に感情に任せてやってるのではなく、縁寿に対しては「朱志香自殺と、責めてくる真里亞」の構図のおかしさをちゃんと見抜ける(それくらいで自殺するキャラじゃないくらい見抜いてよ!)かどうかテストして試しつつ、変装して隠れている朱志香に対しても「縁寿がそんなの可哀そうならお嬢様が自分から動け」と遠回しに催促するという、とんでもなく回りくどい事してます。
    お嬢様と恋敵でありながら、同時にお嬢様を守るための盾であるポジション。……今、気づいたけど状況説明のために紗音主観での描写も1パートくらい必要そうな場所だ……。

    うみねこらしい捻りを書き方に含めようとしたら、考察系らしからぬ無駄に難解な話になるジレンマ。

    スマイル木口のパートは、元ネタのスマイリーキクチそのままの名前じゃ不味いので、少し名前を変えてます。
    ネットのウィッチハンター達は、冤罪的な炎上を作り出す、あんまり信用できない探偵ですよ、と伝えるための小ネタ。
    もう、考察的に重要なのはこれで、ほぼ出し尽くしの打ち止め。
    後は、投稿サイト向けの微調整。

  • #30

    バンダ5 (金曜日, 26 7月 2024 23:11)

    #25までの中身に加筆修正して、ピクシブ小説に投稿完了。
    今日、投稿した分で、うみねこに対して言いたいことは言いつくしたので、もう明日死んでもいいような心境です。
    いや、まあ実際に死んだら困るわけですけどw。
    積みゲーのnever7と大逆転裁判1,2クリアまでは死ねない。
    書き溜めのストックが枯れたので、ここからまた年単位で製作ストップw。
    ほぼ、「また来年お会いしましょう」状態です。
    しかし、ピクシブ版、加筆分で、アフィブログを悪役にしすぎたような。
    まあ、やらおんもはちまも保守速報も痛いニュースも、みんなガラ悪いし大嫌いだけど……ね。
    2ちゃんねる系、嫌いではあるけど、どこまで作中で悪役にしていいか、線引きが凄く難しい。
    基本、質が悪いし問題をよく起こすコミュニティだけど、たまに正論言う事もあるから、なおさら扱いが難しいです。
    エコーチェンバー問題を題材にする場合でも、頭ごなしに悪役にするのは、それはそれで違うというか。

  • #31

    バンダ5 (木曜日, 01 8月 2024 15:08)

    https://www.youtube.com/watch?v=d4BTck0Qh0g

    とりあえず、最も重要な部分を動画にできたから、創作の方はしばらく冬眠。
    アクセス少なくても、爪痕を残せた。
    引退しても、心残りが無い状態まで持って行けた。