罪滅し編では、鬼隠し編と同じ展開がなされたと思われます。梨花が仕掛けた、リナと鉄平をレナに殺させるプランが発動し、実現した物語です。
ただ鬼隠し編とちょっとちがうのは、殺害のタイミングです。レナは綿流しのお祭りの日以前に殺人を実行したため、梨花は、祭り前日から当日にかけての薬物増量をせずに済んだ。
いつもの計画なら、綿流しの日を凶行の日に定め、その日に合わせて少しずつ投与する量を増やしていっていたのです。罪滅し編では、その最終段階に進む前に凶行が行われた。その直後にはもう薬物投与を止めたため、圭一たちには薬物の影響が鬼隠し編などに比べて、はるかに少なく済んだ。だから、鬼隠し編とは違った正義感あふれる圭一が、この罪滅し編では見られるのです。
レナもはじめの段階では、薬物の影響は薄かったのです。それでも展開上仕方なく殺人を犯してしまった。罪滅し編のリナの殺害は、なにをどう考えても正当防衛です。それまでの物語のように、狂ってしまったから殺人を犯してしまったという事案ではなく、それほど狂ってはいなかったけど状況に追われて仕方なく殺人を犯してしまった、という事案なのです。
ただ、その後に鷹野が盛ったH173のせいでどんどん狂っていきました。それを梨花は、鷹野の影響などとは当然思い至らず、自分が盛った抗うつ薬の影響だと思ってしまった。だから、入江の新薬を注射しようと迫ったのです。
罪滅し編にて山狗がレナを監視しているのは、鷹野の指示によるものでしょうね。H173を盛った後のトリップを観察した鷹野は、レナが異常事件を起こす可能性を秘めていると認識した。だから山狗にプレッシャーをかけ続けることを指示した。そうすることで、レナが疑心暗鬼に陥りやすい精神状態を導こうとしたのです。
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