プロローグ〜1章の攻防

 

 

 

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まずはプロローグから見ていきましょう。ここには非常に多くの情報が詰まっているのですが、まずは入間美兎関係の伏線のみで話を展開させていきたいと思います。

 

生徒全員が体育館に集められ、モノクマーズやエグイサルなどの脅しと説明がされるという展開が、2回行われました。このときの入間美兎をピックアップします。すると不思議な描写を発見することができます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここで重要なのが、1回めと2回めの間に記憶を消しているという事実です。赤松ちゃんも最原くんも、1回めのこと出来事をすべて忘れた上で2回めの説明を受けている状態でした。当然美兎ちゃんもそうであるはずです。ならば上記のセリフはいったいなんなのでしょうか?

 

  1. クソみたいな状況
  2. 殺すなら最後にしろ

 

 

 

  • クソみたいな状況

まるで今の状況が分かっているみたいじゃないですか。赤松最原含む他全員のテンションは、『誘拐されてきたと覚えていた1回目よりも、どうして今自分がここにいるのかなど今置かれている状況把握に精一杯で危機感が高くない状態』です。対して美兎ちゃんだけ、現実逃避でぶっ飛びたいほど今の状況を拒否している精神状態なのが違和感を感じませんでしょうか。

 

これが1回目の状況なら分かるのです。誘拐されてここにいることを覚えている状態なのですから、殺されるかもしれないといやきっと殺されるんだと怯え、現実逃避で薬に走ろうとすることは理解できるのです。でも2回目はそうではない。なんでこんなところに居るのかすらわからない、自分で来て、来た目的を忘れたという可能性すらある。とにかくわけ分からない状態なのですから、まずぶっ飛びたいより状況把握が先なはずです。まるでその状況を把握しているからこそ『ぶっ飛びたい』となるような発言に聞こえませんでしょうか?

 

 

 

  • 殺すなら最後にしろ

エグイサルに殺されるということをなぜストレートに受け入れられているのでしょう。例えば銃で脅されたという状況を思い浮かべて下さい。撃たれれば死ぬという現実は理解できるでしょう。しかしそれが本物ならばです。目の前にある銃が本物であることをリアルに実感して危機感を持つことなんて不自然でしかないです。なんか脅されているけどまさかなと誰もが内心思っているハズです。これも前記と一緒で、1回目の状況なら分かります。誘拐後の展開であれば、殺されることを想定することは可能でしょう。しかし2回目はそうではないのです。そんな中「殺すのは」という、普通に殺すことは分かってる前提で交渉しようとする発言は違和感でしかないのが分かりますでしょうか?

 

しかもなんなんでしょう、最後に殺せっていう交渉は。『助けて』ではない交渉は、まるであの校則を知っているかのような発言に聞こえませんでしょうか。

 

 

 

 

このことから、美兎ちゃんは状況を理解している者、つまり首謀者サイドの人間であることが推測可能だと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてここからが重要。

美兎ちゃんは万が一にも自分は死ねないと5章回想で語っています。自分は助かりたい、という気持ちがずっと前面に出ている人物であることが下記からも分かります。

 

 

 

 

これが当初の首謀者像に当てはまらないように思われますよね。ダミーの首謀者つむぎちゃんは、状況を分かっててあえて生徒に紛れて参戦しています。これは彼女自身が望んだこと。首謀者でありながら、無意味に殺されるかもしれないリスクを背負ってまでこのコロシアイに参加したそうです。命を賭けてコロシアイを運営してるんだよと言ってました。それは自身が首謀者なのに生徒として参加することに納得のいく説明ですので、なにも不思議なことはありません。しかしこういう首謀者像を以て入間美兎を観察すると、その正反対、何が何でもこの状況から抜け出したい、助かりたい、そんな首謀者になってしまうということになります。それっておかしいですよね?自分から参加しておいて。

 

ここで、前項の話が結びついてきます。

「モノクマとモノクマーズは対立していた」

モノクマーズはモノクマから学園の支配を乗っ取ろうとしていた。首謀者である美兎ちゃんを殺そうとしていた。となれば自ずと結論が見えてくるのではないでしょうか。

 

 

 

 

美兎ちゃんは、生徒として参加するつもりなどなかった

 

初代ダンガンロンパと同じです。参加している生徒たちを、コントロールルームの安全圏からモノクマを操作して支配していたのが江ノ島盾子です。この構図を美兎ちゃんは想定していた、つまりこのV3のコロシアイは、入間美兎を除く15人でやる予定だったと考えられるのです。彼女は学園長という立場から、どこかに隠れながらコロシアイを運営する予定だったのでしょう。

 

なのに、なぜかモノクマーズによって生徒として参加させられてしまった。首謀者美兎ちゃんは、自分で構築したコロシアイゲームの表舞台に引っ張り出されてしまった。その想定外の事態にテンパっていた。その慌てふためいた様子がプロローグで描写されていたとうことだったのです。

 

 

 

 

 

首謀者が生徒として参加することは、影で隠れて支配することができないという意味以外にもっと重大な意味合いがあります。それは『属性』の問題です。

 

このダンガンロンパV3の世界はデジタル世界だと私は思っています。そのシステムの正体は、4章で登場したコロシアイシミュレーターのそれです。コロシアイシミュレーターの世界はいくつかの特殊なルールによって縛られていました。そういったルールは美兎ちゃんから口頭で説明されただけでしたが、才囚学園というコロシアイシミュレーターはちがった。才囚学園における特殊ルール設定はちゃんと明文化されていた。それこそが「生徒手帳」であり「校則」です。

 

 

 

その生徒手帳に『生徒として登録されること』というのは、コロシアイシミュレーターにおける『生徒という属性』にカテゴライズされることを意味するのです。『属性』という概念は4章で登場し、しっかり紹介されました。人属性、物属性、とかいうやつです。

 

 

 

 

 

 

これは、属性がルールの適用条件に使われるものだということを示しています。生徒属性が付与されるということ、それは校則の中の「生徒」に当てはまる項目の縛りを受けるということなのです。大きくは下記の2項目。

 

 

 

 

 

 

生徒は、裁判で間違えると殺されます。

生徒は、校則違反を犯すと殺されます。

 

 

そうです。『生徒属性』は、システムの処分対象になりうるのです。これが美兎ちゃんにとって大問題だった。元の仕組みでは、首謀者であり生徒でない美兎ちゃんを処分する校則は存在しません。校則違反すらも処分対象ではないのです。なので学園長のままであれば他の生徒にさえ殺されなければ大丈夫だった。

 

これをモノクマーズによって覆されてしまったのです。

 

 

 

 

 

 

生徒手帳に生徒として登録された。そしてこれを解除ができなかった。コロシアイシミュレーターにおいて、美兎ちゃんは様々設定変更や追加をしていましたね。これを才囚学園というコロシアイシミュレーターでも実行すればよかったのでは?とそう思われるかもしれません。しかしそれはできなかったのです。

 

 

 

 

 

この校則は、校則の管理者権限が『学園長属性』にあることを示しています。当然、元々美兎ちゃんに割り当てられた権限属性です。しかしこれをモノクマーズによって書き換えられていた。美兎ちゃんを生徒属性として登録することで、ついでに美兎ちゃんから『学園長属性』を剥奪したのです。結果、ルール変更というプログラムの書き換え権限を奪われてしまい、ルールや設定を変更することができなかったのです。

 

さらに下記の校則も美兎ちゃんを縛り付けます。

 

 

 

 

 

 

学園長権限によって正当にルールを書き換えるのではなく、ハッキングなどの不正な手段を用いて無理やり書き換えることも彼女の技術なら可能だったでしょう。しかしそれすらも封じられていた。この校則によって。無理やり校則を書き換えることはモノパッドが「壊された」と判断され、校則違反に適用されてエグイサルの餌食です。

 

美兎ちゃんは八方塞がりになってしまったのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうしよう。

どうなってる?

どうすればいい?

 

疑問と混乱と恐怖で半ばパニック状態だった。薬で逃避しようとするほどに。才囚学園の運営はモノクマーズに乗っ取られた。しかしその場凌ぎの対応で急ピッチでモノクマを作成し出動させ、モノクマとモノクマーズという異色の共同運営という形にもっていった。これで他の生徒たちに体裁は整えたものの、考えなきゃならないことが山ほどあった。

 

このまま自分はどうなってしまうのか。

コロシアイに巻き込まれるなんてまっぴらごめんだ。

なんとかしなければ。

 

その結果の初手が、モノクマの謎の提案につながったのです。

 

 

 

 

 

この提案がいったい何だったのか、何を意味するものだったのか、まったく詳細が明らかになっていないですよね?この疑問に、スッキリする説明をつけることが可能なのです。

 

それは、美兎ちゃんがこのコロシアイからいち早く抜け出すための初手だったということなのです。コロシアイをしなければならないという状況をいち早く認識し、それを実行に移せる者などいるはずもありません。皆せっぱつまるまではコロシアイをしないはず。だからその様子見の状況を利用し、早々に殺人を犯すことでコロシアイゲームからの『卒業』を狙ったのです。

 

 

 

やる気まんまんですね^^

 

 

 

この提案はモノクマーズに受け入れてもらう必要があります。モノクマーズが学園の校則を支配しているからです。だからもっともらしい演説をモノクマに唱えさせ、モノクマーズが了承すれば新たに校則に追加される。校則に追加されればそれがルールとなり、それで初めて『卒業』までのルートが開かれるのです。

 

美兎ちゃんはこの学園を脱出したかった。死にたくないから。そのためには『卒業』という条件を満たす必要があった。才囚学園における『卒業』とはつまり、コロシアイシミュレーターにおける『ログアウト』です。あの世界でのログアウトの手段は「電話口にて名前を言う」でしたね。そういうルール、そういう設定です。それと同じ。才囚学園をログアウトする手段は「卒業」だった

 

 

 

 

 

 

卒業が外の世界に出ることだと明記されています。ログアウトです。逆にいえば、この校則からは卒業以外のログアウト方法が存在しないことも示されているのです。だからそれも美兎ちゃんにとって大問題だった。

 

 

 

 

 

 

ここが勘違しやすい部分です。シロとして学級裁判を勝利し続けても「コロシアイが終了」するだけで、校則上は卒業の条件を満たさないのです。だからこそ『前回の生存者』という繰越制度が存在するのです。シロとして勝利し続けることが卒業の条件とならないため、シロとして生き残ったときにコロシアイが終わってしまったらゲーム進行ができなくなる。なのでコンティニューするよ、という制度になっていることが伺えるということなのです。

 

しかし美兎ちゃんがクロとなって学級裁判で勝てるはずもありません。他人を欺くなんて絶対無理な芸当です。彼女はまともに学級裁判を行えば勝てるハズがないことを自覚していたのです。だとすると彼女はこのままでは絶対に卒業できない。ここから脱出することができない。だから初手、「卒業の条件を増やす」ことを狙ったのです。自分で増やすことはできない。モノクマーズに増やしてもらうしかない。そのための演説と宣言だったのです。

 

それを受けてのモノクマーズの返答は、ノーでした。モノクマの提案の最中に、エグイサルによってモノクマを破壊しました。モノクマーズは、そんなの許さないよお父ちゃん、と言いたかったのでしょう。ちゃんとゲームのルールに則って学級裁判は行うからね?サッサとバックレようったって無駄だよ?モノクマーズはモノクマの提案を、美兎ちゃんの初手を拒否したのです。

 

校則にも追加されませんでした。

なので実際に学級裁判なしに卒業することはできません。ルールとして認められていない、ただのモノクマのハッタリとしての意味しかない状態になってしまいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美兎ちゃんはさらに焦ったことでしょう。とりあえず脱出したかったのに通らなかった。モノクマーズは自分を逃したくない…ということは殺す気なんだと分かったのです。

 

まあただし、モノクマーズは美兎ちゃんを直接攻撃することはとりあえずない。なぜならば校則でそうなっているからです。

 

 

 

 

 

 

「モノクマは」となっているのでモノクマーズは含まれないと思うかもしれませんが、校則に記されている「モノクマ」とは『モノクマ属性』のことです。モノクマ的立ち位置のキャラということ。そうして縛られる存在としてモノクマーズを置かなければ、このコロシアイ学園を美兎ちゃんから奪取したいモノクマーズはとっとと美兎ちゃん殺せばいいだけの話ですしね。回りくどいことせずに。

 

 

 

 

 

 

 

それがこの校則にも表れています。 学園長属性は美兎ちゃんから剥奪したと記しました。それはこの校則によって「学園長であるモノクマ」に付与されていることが伺えます。これが美兎ちゃんの操るモノクマのことでないのは明らかです。エグイサルによって潰されたからです。暴力が成立してしまっているので、それはこの校則に引っかかっていないことになります。となれば、美兎ちゃんモノクマは学園長であるモノクマ」ではないということ、そして校則が後に追加されましたので、前記した学園長属性も存在し、且つそれがモノクマ属性であることが記されているのですから、モノクマーズ(の誰か)にそれが付与されていると考えられます。モノクマーズに学園長であるモノクマ」属性が付いているならばすなわち、校則表記の「モノクマ」とは美兎ちゃんモノクマだけを指すものではなく属性扱いであると結論付けられるのです。

 

校則は増えていく場合があると明記されていますが、変更を認める文言になっていませんので、追加はできても変更はできないと考えられます。このルールは美兎ちゃんが初期に設定したもので、それをモノクマーズは奪ったのですが、ルールの書き換えまではできなかったということなのでしょう。そのため、モノクマーズが直接美兎ちゃんを殺せるような校則になっておらず、それを変更できなかった。なので既存のルールの中で、なんとか美兎ちゃんから(モノクマから)全支配権を奪う方法をモノクマーズも模索していたということが伺えます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美兎ちゃんはとりあえずモノクマを複製しました。壊しても無駄だよというアピールと共に。精一杯の虚勢だった。はやく次の手を考えなければと、そうして出てきた次の手は、復活させたモノクマによる第2の提案だった。

 

 

 

 

 

この提案もいったい何だったのか説明なんてなされていません。しかし美兎ちゃんのその後の行動を見ることで見えてくるものがあります。それは美兎ちゃんが食堂で制作を行っていたドローン。これがその謎を解くカギです。ドローンによって美兎ちゃんは何か行動を起こすつもりだった。それはドローンの用途を考えれば見えるでしょう。

 

ドローンは、人が行けないところに行くことができる。この才囚学園は各章ごとに行ける範囲が広がり、校舎に限ればどんどん上層階に行けるように道が開かれていきました。しかしこの上層階は人に通行不能なだけで、僅かな隙間からドローンなら通行可能です。校舎中央に吹き抜けがあるからです。この吹き抜けから上層階にドローンを飛ばし、操作によっては上層階にしかない欲しい物を手に入れることが可能なのです。

 

 

 

 

この校則も後押ししています。各章ごとに広がる行動範囲とその先の通行制限は、「通れない」だけであって「通ってはいけない」ではないのです。校則で通っていいよになっているので。だから美兎ちゃんはこれを利用したかった。

 

 

 

 

 

 

そうして何を手に入れたかったのか。それは『銃』です。

 

ハルマキちゃんの超高校級の研究教室に様々な武器があります。その中の壁に立て掛けてある弾の入っていない銃、これが目当てだった。

 

 

 

 

これを大量に複製したモノクマに持たせることで、最大級の「脅し」をかけるのが目的だった。モノクマに暴力機能が備わっていないのは前述のとおりですが、銃を装備させれば脅しとしては十分機能します。また脅しに留めなければなりません。誤って本当に生徒を殺すことはできません。校則違反ですからね。

 

脅すだけで何がしたいの?となるでしょう。そのヒントはプロローグに表現されています。一番最初エグイサルに脅された皆は体育館に逃げ込みました。全員余すことなく。

 

と、ここで下記の校則です。

 

 

 

 

 

そしてモノクマの夜10時までとした期限。この脅しを夜10時以降に仕掛けるよと言っています。この符号から連想できますでしょうか。エグイサルから逃げたプロローグのような展開を狙い、大量モノクマの銃での脅しにより生徒全員を体育館に追い込めばどうなるか。体育館に入ったが最後、校則違反に持ちこめる。エグイサルの処分対象です。美兎ちゃん以外の全員を体育館に誘導することにより、『学級裁判をすることなく』全滅させられるのです。

 

美兎ちゃんはそのドサクサに紛れて、たった一人だけ自身の手で殺せばいい。そうして『クロ認定』だけは受けておく。そしてそれが他の生徒に見られて死体発見アナウンスがされて裁判になる前に全滅させれば、クロの勝利という卒業の条件を『学級裁判をすることなく』満たせるのです。

 

 

いやいや、校則上最後の2人になった時点で終了するんだから全滅無理だし、シロが1人でも生き残っている以上クロの勝利とはならないと思ってしまいがちです。が、この校則をよく見てください。『シロが勝ち続けた場合は』です。1章、初回にかぎり、シロはただの一度も勝っていないのです。だからこの1章だけは、全滅を防げないルール設定なのです。このルールの穴を美兎ちゃんは突きたかった。

 

 

 

 

 

また、モノクマの「宣言」にも理由があります。最初の学級裁判行わない宣言の必要性は明白です。その宣言でモノクマーズにルールを追加してもらわなければならなかったから。しかし第2の計画ではルール追加の必要はありません。というかしてもらえないと美兎ちゃんは諦めたから、別の手段を考えなくてはならなかったので。となると、わざわざ宣言したことに意味はなんだったのでしょうか。

 

 

 

 

 

 

この文言は、自ら出願した首謀者以外を全員殺すという意味に誰もが捉えるところです。しかしここまでの推察を踏まえた上で見れば、まったく真逆の意味に映りませんでしょうか?最原くんたちはオーディションを受けてここにいます。自ら参加した人たちです。逆に首謀者美兎ちゃんだけが、モノクマーズに強制的に参加させられた人です。この文言の真の意味合いは、美兎ちゃんだけを殺すと言っているのです。

 

そうすれば、すべてを把握しているモノクマーズは願ったり叶ったりなので受け入れて静観するのではないか。モノクマの大量生産や銃の調達など、モノクマーズたちに目立つ動きをしなければならないので、ひっそりと行っていてはモノクマーズたちを警戒させて戦闘態勢に移行されかねないのです。それを回避したかった。その僅かなスキをつきたかった。

 

また、期限を切ることによって生徒たちに校則についての危機感を薄れさせる目的もあった。普段のコロシアイ生活では、校則違反についての認識を各自それなりに危機管理として持ち合わせていました。その感覚のままだと体育館に追い込まれても、そのまま入るのに抵抗があるでしょう。しかしコロシアイの終了後だという認識を前もって与えておけば、そんなのもう関係ないからという形で入ることの抵抗感を薄れさせることができる。そのための宣言でもあった。

 

さらに、美兎ちゃんと他のメンバーとの分離を狙ったという見方もあるかもしれません。『コロシアイに参加させられた人』とは、美兎ちゃんだけ。つまりモノクマの宣言どおりの儀式では美兎ちゃんだけ連れて行く描写が想像可能です。ここで他のメンバーとの分離が図れるので、体育館に追い込むアクションに美兎ちゃんを巻き込まなくてすみます。このような思惑もあったのかもしれません。

 

 

 

ただしこのような作戦は初回限定だったのです。シロが一度でも勝利してしまった2章以降では、最後の2人になった時点で校則で止められてしまうため、クロ勝利の条件を満たせない。だから2章以降でこの計画が実行されることはなかったのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

この計画を遂行するにあたり、とりあえずドローンの制作に移った。その後武器を取り揃え、モノクマを大量に複製するという、この計画の準備に入った。短期間で人殺しの決心をする人なんているはずがない。はやく誰かが人殺しの決意をし実行する前に自分の計画を実行する必要があった。だから2日間なんて超短い制限時間になった。この2日間という期間は、美兎ちゃんがドローン制作と武器取り揃えとモノクマ複製に使う時間を見積もって出された最短の時間だったのです。

 

 

ところがこの計画に水を差されることとなりました。赤松ちゃんと最原くんに監視カメラの作成を依頼されてしまったのです。

 

 

 

 

 

 

一度は断りました。そんなことをしている暇などなかったからです。しかし土下座の熱意(脅し)に負け、断ることができなかった。だからその依頼のカメラの制作後に、急いでドローン制作にとりかかるしかなかった。それが食堂での行動の意味です。本当ならこのくらいの時間には準備を終えているはずが、赤松ちゃんたちのせいで遅れてしまったための行動だったのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして急いでいるうちに、赤松ちゃんによって殺人が実行されてしまいました。美兎ちゃんは間に合わなかったのです。美兎ちゃんの才囚学園脱出計画は白紙に戻りました。2章以降この戦いはどのように展開されていったのでしょうか。次項へと続きます。

 

 

 

 

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