モノクマとモノクマーズの関係から見える首謀者の裏事情

 

 

 

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モノクマーズって要る?

 

初見プレイ時の私の感想です。ガヤ要員でしかなく、話脱線するから会話のリズム狂うし、バカで抜けてるから情報がまともに降りてこないし、推理のとっかかりにもしずらいしで、邪魔でしょうがなかった覚えしかないです。

 

しかし詳細を追っていくと、このV3にはモノクマーズは絶対必要だったことが分かりました。モノクマーズとはこれまでになかった『第3の勢力』であることが理解できたからです。

 

 

 

 

 

 

V3において、実はモノクマが暴力を発揮した描写は存在しません。すべてのセリフを追ってみても、その暴力、いわば恐怖政治を成り立たせるのに不可欠な暴の象徴とされているのは、モノクマ本体ではなく「エグイサル」となっているのです。このことは今までのロンパシリーズにおいて特に異質です。これまではすべての武力がモノクマ本体に備わっていました。モノケモノとかもいましたが、かといってモノクマ本体に武力が備わっていなかったわけではありません。モノクマに逆らえないからコロシアイをしなければならない。これがロンパだったはず。でも実はV3は、エグイサルに逆らえないからコロシアイをしなければならない、なのです。モノクマに暴力が備わっているはずだという勘違いは、シリーズを知っているプレイヤーの先入観なのですね。

 

 

 

そして、エグイサルを操縦できるのはモノクマーズだけなのです。

 

 

 

 

これが超重大事実です。モノクマは、モノクマーズの操るエグイサルという武力でコロシアイを強要しようとしていた。逆に言うと、エグイサル無しにはゲームを強要させられない。エグイサルを操れる唯一の存在であるモノクマーズ無しには、このコロシアイを成立させられないのです。

 

 

 

となると、このV3の見え方がまるで違ってくるでしょう。モノクマはモノクマーズの『上』に君臨し、いつでもどうにでもできるこのコロシアイの全権限を握っていて、その力をモノクマーズやエグイサルに『一部分け与えている』。一見だれもがこのV3の勢力図をそのように見ていたでしょう。でも実際は武力のすべてが「エグイサル」に内在され、それを操るモノクマーズにしかその実行権限がない。モノクマが暴力を使わなければならない局面があったなら、モノクマはモノクマーズにお願いして(お伺いを立てて)、エグイサルを使ってもらうしかないのです。モノクマはモノクマーズの『上』なんかじゃない。逆です。モノクマーズの『下』なのです。

 

 

 

 

 

これが理解できたとき、同時に不明瞭だった描写に光を当てることができました。第1章、モノクマがエグイサルに潰されてしまった事案です。

 

 

 

 

ここで意味不明なのが、モノクマが壊されたことに何の意味があたのかということです。モノクマに逆らった百田くんがエグイサルによって粛清されたかと思いきや、モノクマが潰された。これがたんなるタゲミスだったのなら、続けて百田くんを殺せばよかったのです。しかしそうはせずにモノクマーズは去って行ってしまいました。つまりモノクマはどうあれ、モノクマーズは百田くんを殺す気はなかったということになります。

 

 

 

 

 

モノクマはモノクマーズに百田くんを殺す命令を出したように見えますが、その命令にモノクマーズは従っていないという構図になります。モノクマとモノクマーズの連携が取れていないということになりますね。もっといえば、エグイサルを操縦できるのはモノクマーズだけなので、モノクマを破壊したのはモノクマーズの意志ということになりますね。

 

いやいや、単なるパフォーマンスという可能性もあるでしょう。モノクマにはいくつも複製があるから逆らったって無駄だよということを知らしめるため、みたいな説明になりますでしょうか。しかしそれはおかしいです。それならば最初からモノクマの複製を作った状態で行わないと効率が悪いです。実際、再度のモノクマ復活までの間に安息の期間を生徒たちに与えてしまっています。それは首謀者サイドとしては面白くないでしょう。やはりモノクマとモノクマーズの連携が取れていないという結論になってしまいます。どう考えても、モノクマの破壊はモノクマにとっては予想外の事態だったと考えるしかないのです。

 

エグイサルを操縦できるのはモノクマーズだけなので、モノクマを破壊したのはモノクマーズの意志であり、モノクマにとっては予想外のことであり、モノクマの命令にモノクマーズは従っていないという構図である、

ということは。

 

 

 

 

 

この結論は、『モノクマとモノクマーズは対立していた』という衝撃の事実を浮き彫りにしているのではないでしょうか。冒頭で述べた『第3の勢力』というのはそういう意味です。モノクマーズとは、モノクマのコントロール下に無い暴力担当だったと考えられるのです。

 

国で例えるとわかりやすいかもしれません。モノクマとは首相国王大統領の位置づけであり、モノクマーズとは軍隊だった。成熟した国家であれば軍隊は国の管轄下にあるのは当然ですが、この才囚学園では違った。国の管轄下にあるはずの軍隊が、首相のいうとおりに動くことはなく独自の意志を以て動いてしまっていた。軍隊が国に対してクーデターを起こしていた状態だったのです。

 

 

 

 

 

 

 

V3では裏でモノクマとモノクマーズの覇権争いがあった、と考えれば辻褄が合ってきます。モノクマが才囚学園を支配する構図が、モノクマーズに乗っ取られようとしていた。これをモノクマが良しとするはずもなく、なんとかしなければならなかった。それが終盤の展開に納得がいく説明につながっているのです。

 

モノクマーズが4章までに全滅し、再度5章で復活、6章でモノクマに自爆ボタンを仕掛けられ、裁判中に爆破されていきました。これは、コントロール下になかったモノクマーズを一旦排除し、再度作り直した際にコントロール下に置けるよう自爆ボタンを設置したと考えるのが最も筋が通る説明になるのではないでしょうか。軍隊が国にテロを行えないよう、抑止力を設定できたということなのではないでしょうか。となれば、この覇権争いはモノクマが勝利したということです。モノクマは、モノクマーズの武力を制圧することができたのです。

 

抑止力を設定した上でなおモノクマーズを復活させた理由も、モノクマに暴力機能が備わっていないという推測を後押ししています。逆らってくる可能性のある危なっかしいモノクマーズをわざわざ復活させる理由がなんなのか考えたときに、恐怖政治を成り立たせるには彼らの暴力が必要不可欠であるという意味合い以外には考えにくいでしょう。であればモノクマ単体では恐怖政治が成立しないということ、すなわちモノクマ本体には暴力機能が備わっていないという結論になるのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モノクマーズはモノクマに対して、全運用権限奪取という形の反逆をしていた。すべてを奪い、モノクマの存在ごと消すつもりだった。1章でモノクマを潰したのはそういう意味だったのです。

 

しかしモノクマは復活しました。モノクマにはスペアがあった。モノクマーズはそのことが少し意外でした。自分たちにはスペアがない。モノクマもそうだと思っていたのです。だから潰せば終わりだと思っていた。しかし、復活したのであればスペアを作ったことになる。作ったのは当然首謀者。首謀者が生きているかぎりモノクマは作られ続ける。モノクマの存在を消すにはモノクマを潰すのではなくモノクマを作る者、首謀者を消せばいい。モノクマーズはその考えを改めて強くしたのです。

 

 

 

 

 

1章モノクマを潰すシーン以外では、モノクマーズのターゲットはモノクマ本体ではなくモノクマを作った者、首謀者だった。そう実は、首謀者を消そうと思っていたのは赤松ちゃんだけではなかった。王馬くんだけではなかった。モノクマーズもまた、首謀者を殺そうと思っていたのです。

 

 

 

 

 

 

 

首謀者はつむぎちゃんです。つむぎちゃんは才囚学園のコロシアイの運営の他に、モノクマーズに対する対応もしていたということなのでしょうか。モノクマーズに命を狙われつつ、それを回避するような対応をずっと続けていたのでしょうか。

 

 

私はつむぎちゃんの描写から、そんな裏で対応に苦心していた様子などを汲み取ることができる描写を1ミリも拾えていません。そんなことをつむぎちゃんはしていないと思っているのです。それは前項の結論とも紐付き、首謀者の裏事情とつむぎちゃんとが結びつかない、つむぎちゃんはモノクマの裏の人物像としてふさわしくない、つむぎちゃんは首謀者ではない、という結論なのです。

 

 

 

 

首謀者は別にいた。それは誰なのでしょうか。モノクマとモノクマーズの対立において苦心していた様子がもっとも描写として現れている、そしてこの物語の多くの疑問に説明を落とせる人物は、入間美兎だと私は結論づけました。それしか考えられません。

 

彼女を首謀者と考えることで、表向きの物語とまったく違う側面が展開されていることに気付けるでしょう。これより、その新しい世界を覗いていこうと思います。

 

 

 

 

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