4章の攻防 入間美兎のターン

 

 

 

 

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4章初手はモノクマーズでした。モノタロウとモノファニーによる最後の抵抗が提起されたのです。動機「カードキー」です。

 

 

モノクマーズの最後の切り札だったと思います。それを切ってきた。5体が2体にまで減らされ、当然追い込まれていたからですね。

 

このカードキーは、結局物語の最後まで使い所が判明していません。しかしカードキーが使える場所として紹介されていて、実際カードキーが使われていない場所が存在しますよね。図書室裏です。ここ以外にカードキーが使える場所が紹介されていないですから、動機のカードキーがこの図書室裏のカードキーであるのは自明の理というやつではないでしょうか。

 

図書室裏が美兎ちゃんの急所の一角であることは疑いないことです。マザーモノクマを設置してある場所。この場所が生徒にさらされるということは、これ以上モノクマを複製できない可能性が非常に高くなることを示唆し、さらには首謀者の正体が美兎ちゃんである根拠となりうる情報を見つけられる可能性も出てくる。まさに非常事態で、この状況に陥れることがモノクマーズの狙いだった。

 

 

 

その意味で「動機」なのです。普通に考えれば3章と同じく、動機がカードキーであるということに違和感しかないじゃないですか。学級裁判でこのカードキーとは外の世界を見る権利だとモノクマが説明しましたが、そんなのおかしすぎます。

 

実際、5章で外の世界の真実を知った最原くんたちはどうなりましたか?無気力状態に陥り、もうコロシアイもなにも関係ないみたいな考えになってしまいましたよね?これ要するに、外の世界を知ること=殺人を犯す動機になるという構図が真逆であるということの示唆ではないですか。カードキーがもし本当に外の世界を見る権利だったのなら、カードキーは動機になるどころか殺人を止めさせるキッカケとなるのであって、動機とは真逆です。

 

 

ですからこのモノクマの説明には虚偽がある。何を偽ったのかは明白。カードキーの本当の用途は図書室裏を開放するためのものであり、それは首謀者美兎ちゃんの致命傷になりうる事態であり、改めて首謀者探しが始まってしまう可能性をも高め、その追及に美兎ちゃんが耐えられなかったときに首謀者憎しで殺される可能性があった。そういう意味での「動機」だった。モノクマーズは、「誰か美兎ちゃんを殺してくれ」という意味で動機だと言ったのです。

 

 

 

 

これを受けての美兎ちゃんの動きも素早かった。速攻でなにか手を打たなければならなかった。それで用意したのが、その外の世界の思い出しライトだった。それを図書室裏にセットした。マザーモノクマとかもさらされますが、まずはその思い出しライトを使用してもらうことで、絶望し、首謀者探しがもはや意味ないよという精神状態にもっていきたかった。

 

先述のとおり、外の世界の思い出しライトは、生徒を絶望させる効果が期待できます。コロシアイに勝利することが無意味だということを。首謀者を見つければコロシアイを終わらせられるかもしれないという希望が仮に達成されたとしても救われることはない、ならやる意味ないよね、という思考にもっていくことができるのです。美兎ちゃんにはそれしか対抗する手段がなかったとも言えます。苦し紛れで、こちらもおそらく最終手段だったと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後美兎ちゃんはコロシアイシミュレーターでの殺人を決意しました。

 

美兎ちゃんはすでに百田くんに対して楔を打ち込んでいます。時が経てば事件化し、そこを切り抜けるだけでよかったはず。失敗しても復活できる世界樹の葉もあるため、リスクは格段に減っている。それを待たず、行動を起こしたのはなぜか。

 

それはモノクマーズに図書室裏を暴かれてしまったからです。あそこの存在は、生徒たちに否が応でも首謀者の存在を意識させるものだったから。

 

 

最原くんが1章で推理したとおり、図書室裏の存在は自分たち生徒の中に首謀者がいることを示していました。美兎ちゃんはとりあえず外の世界の思い出しライトで、首謀者探しに意味がないことを刷り込もうとしましたが、事件化したのなら話は別になるかもしれない。とりあえず目の前の事件を解決しようとするかもしれない。

 

その際に『百田くん毒殺事件』は非常に都合が悪かった。

「毒だとして一体いつ盛られたのか」などの推理の際に、3章時点での体調不良を理由に、3章かもしれないなどと推理されるかもしれない。すると、3章時点でその毒はどこにあったのか、犯人はどうやってそれを手に入れることができたのか、などと推理されるかもしれない。どう考えても最原くんの研究教室にしか毒はないので、それを手に入れることができたのは首謀者だけだ、などと推理されてしまうかもしれない。

 

これまでは首謀者の存在を意識せずに事件に挑んでいた最原くんたちでしたが、あの図書室裏を知ったあとなら変わってきてしまうのです。犯人に首謀者を想定することがありえてしまうのです。それが美兎ちゃんにとって最悪のシナリオだった。

 

しかも、首謀者の正体が美兎ちゃんであることを王馬くんは気づいていました(別章で後述します)。王馬くんに気づかれていることを、美兎ちゃんもなんとなく気づいていました。そうなるとどうなるか。百田くんを殺した犯人は首謀者である、首謀者は入間美兎だ、つまり犯人は入間美兎だと王馬くんに裁判で結論付けられてしまうのです。最悪です。

 

 

図書室裏を暴かれたことで、美兎ちゃんは『百田くん毒殺事件』をもう実行できなくなってしまっていた。むしろ、百田くんは時間が経てば死んでしまうため、それまでになんとかしなければならない足かせに変わってしまったのです。だから急ピッチで別の事件を起こすしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

それが4章コロシアイシミュレーター事件の大枠です。ここで別の殺人を百田くんが死ぬ前に起こす必要があった。そこで王馬くんを殺すことを新たに画策したのです。

 

王馬くん被害者に選んだのは、前述のとおり王馬くんに自分の正体を気づかれてそうだったからです。首謀者が話題に上る前に、王馬くんを消しておきたかった。

 

その作戦は、ほぼ裁判で明かされたとおりだと思います。まずは王馬くんを動けなくした後、ハンマーでボコボコにする。プログラム世界では「物が壊れない」。

 

 

アバターが壊れない。つまり王馬くんをボコボコにしても、一切その痕跡が残らないと言っているのです。

 

 

殴るのは顔面です。主に目の周り。本体のほうの王馬くんのダメージが、目の周りに顕著に出る。内出血など、酷いことになるでしょう。その様子はまさに毒薬の症状のような状態となるのではないでしょうか。その結果、王馬くんはプログラム世界で殺されているにもかかわらず現実世界で殺されたかのように装うことができる。

 

アバターのダメージが現実世界には神経レベルで反映されるという事実があっても、あの世界には凶器がない。人力は均一化されているため、王馬くんとバトルしたところで互角にしかなりえない。王馬くんの目だけ内出血するほど一方的な暴虐状況になるとはおよそ考えられない。不意の一撃で王馬くんを活動停止にできるほどの筋力をアバターにセットしていない、と美兎ちゃんは証言するのでしょう。となると、王馬くんは現実世界で殺された以外の推理が許されなくなります。それができたのは百田くんだけ。百田くんを犯人に仕立て上げたかった。

 

そしてその行動を後押しする土壌も整っていました。屍者の書により裁判で負けても復活できるし、成功すれば脱出できる。しかもその復活は裏側でできる。管理者のモノダムがいたらそんなこと許されないはずですが、もはやこのゲームにゲームマスターは存在しない。復活したらそのまま隠れ続けて死んだことにできる。モノダムが死んで、その作戦を妨害される可能性が極端に減っている。

 

一応、美兎ちゃんが一番恐れていたことは仮に自分が死んだとしたら、その直後にモノクマが壊されることでした。モノクマを使ってしか復活できないからです。だから当然、モノダムが存命の間は死ぬわけにはいかなかったが、そのモノダムはもういない。

 

4章おしおきと同時にモノタロウやモノファニーが死んだのは、この事情からです。4章の裁判で負けたのちに彼らにモノクマを破壊するという行動をとらせないよう、美兎ちゃんがおしおきされたとしても、同時に彼らを破壊すれば安全だったからなのです。

 

 

 

 

ただ実際には美兎ちゃんは裁判前に殺されてしまったので、4章おしおきの間まではヒヤヒヤだったと思ってます。美兎ちゃんは4章終わってからの復活でないと、裁判でシロたちが不正解になってしまった場合にまとめて美兎ちゃんももう一回死んでしまうため、復活させられません。しかし上記のとおり美兎ちゃんが死んだ瞬間にモノクマがモノクマーズに襲撃される恐れがあった。

 

 

一応、このリモコンがあればモノタロウやモノファニーが襲撃したとしても対抗できますが、エグイサルに機器を取り付けるという作業を美兎ちゃんはおそらく行っていないと思われます。「モノクマがエグイサルに近づいて作業する」という行為を、モノクマーズに不審に思われて攻撃態勢を取られたら本末転倒ですので、やりたくてもできなかったと思ってます。結局それをやったのは王馬くんです。なので備えとしてのエグイサルは準備していなかった。

 

多分ですけど、電子機器をコントロールする機器をキーボくんに取り付けたのだと思ってます。彼を改造した3章時点で、自分らを守るボディガード的な役割を担わせた。いざというときエグイサルに対抗できる戦力として、キーボくんを改造していたのです。キーボくんの戦闘力は6章で証明済みですね。それが美兎ちゃんの備えだったのではないでしょうか。

 

  

そのリモコンは、5章時点で王馬くんに美兎ちゃんの部屋の探索をされて回収されたのでしょう。そして王馬くん視点では、こんなものを美兎ちゃんが持ってたってことは美兎ちゃんが首謀者でやはり間違いなかったなと改めて確信に変えた。そんな認識を示すセリフだったのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、モノクマはこれまでモノクマーズに対して相当慎重に接していました。ペロペロ舐め回すとかがそれです。校則違反にならないよう、暴力判定されないよう、慎重に扱っていたのです。しかし美兎ちゃんはモノダムが『学園長のモノクマ』であると確信し、それ以外のモノクマーズはそうではないと理解できた。攻撃したら校則違反になるのはモノダムに対してだけだったことがわかった。となれば、残りのモノタロウやモノファニーに対しては暴力を行使することができる。

 

ペロペロの唾液に仕込んでいたのでしょうか、発芽する虫を。当然、暴力がどこまで認められるか見極めるまでは発芽を抑制していたのでしょうが、それを4章おしおきで開放した。

 

そうしてモノクマーズを全滅させ、脅威を取り除いた美兎ちゃんは堂々とモノクマによって復活を遂げたのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雰囲気に依らず、美兎ちゃんは相当緻密で用意周到です。そりゃコロシアイゲームの運営を仕切るくらいなのですから当然なのですが、にじみ出るポンコツさが良い味付けとなって撹乱に成功してますよね。もちろん本人は大真面目なので結果論なのでしょうが。

 

この4章でそれが垣間見えるのは、屍者の書の扱いです。

 

屍者の書は、素で持ち続けるのは実は得策ではありません。モノクマーズに奪われてしまう可能性があるからです。常に持ち歩くわけにもいかず、目を離しているスキにどうとでもされてしまう可能性を排除できないのです。美兎ちゃんが持つのは論外ですね。

 

 

それを解決するために、美兎ちゃんは屍者の書を復活の手順の最後のステップの手前まで進めていたと考えられます。このとおり、最後のステップは「目を閉じてしばらく待つ」です。つまり、目を閉じてしばらく待たなければ復活しない。その手前まで手順を進めていてもなんら問題がないのです。

 

ですので美兎ちゃんとモノクマは、4章開始時点ですでに屍者の書を燃やして灰にしています。そして美兎ちゃんにその灰が振りかけられている。あとはモノクマが目を閉じてしばらく待つだけでいい状態にしておいたのです。この状態であれば、美兎ちゃんからモノクマーズが灰を一片も残らず排除することは困難になります。

 

そして美兎ちゃんはその灰をどこかに隠していた。それを理解するためには、最原くんや王馬くんハルマキちゃん、このあたりのこれまでの行動を振り返ることで見えるものがあるのです。

 

 

最原くんは、初代ダンガンロンパの霧切さんのように超高校級の探偵の才能を活かした行動をとっています。死体に対してくまなく調べるという、特異な行動ですね。しかし実はそれは、3章以降では鳴りを潜めるのです。

 

 

このように最原くんは、男性の死体なら調べられるけど、女性の死体に対してはくまなく調べることができないのです。パンツの中まで調べてた霧切さんには遠く及ばないということですね。

それを美兎ちゃんも確認していた。

 

 

ここです。これで美兎ちゃんは、最原くんが女性のパンツの中まで調べようとすることに抵抗があることを確かめていた。つまり、美兎ちゃんは屍者の書の灰をパンツの中に隠しておくことで、死んだとしても最原くんの捜査の手から逃れることができることを確信していたのです。

 

 

 

ハルマキちゃんについては、雰囲気としては霧切さんのような空気を纏っていますが、捜査において死体をくまなく調べるようなことはしません。上のように、ちょっと見えていたから気になって死体を触ることはあっても、気になるところがなければ特段死体を物色するようなことはしないのです。

 

 

 

 

 

自分の信条と関係しているのでしょうが、実は王馬くんは死体を調べることができません。王馬くんはこれまで捜査というものを独自に深く行ってきていますが、一度として死体を調べたことはありません例えばコレです。転子ちゃんが即死かどうかは、犯人を特定する上で貴重な情報になりえるはずです。王馬くんはその判断を人任せにしています。らしくないですよね。多分ですが、死体を見るのもイヤ、ということだと思っています。

 

 

 

 

その他の人は、死体の調査なんてのは基本最原に任せるというスタンスです。となると、これらの事象をつなぎ合わせれば一目瞭然。美兎ちゃんが死んだ場合、彼女のパンツの中を調べる人は存在しないということになるのです。そこに灰を隠しておけば、安全度が高いということなのです。

 

 

 

 

そして、『目を閉じてしばらく待つ』を実行したのが5章オープニング。ここが、屍者の書の最終ステップを実行していたシーンだったのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後に余談ですが、この4章は美兎ちゃんが首謀者であることの有力な根拠が多々あります。1つは先述したリモコンの存在ですね。ゲームの根幹となる暴力機能エグイサルをも操作できるリモコン、そんなのをゲームマスター以外が作成できるなんて非現実的です。エグイサルの内部構造なんて分かりっこないのですから、内部構造に依らずに外からコントロールできるアイテムなんて、ヤミヤミの実くらいチートです。それを美兎ちゃんの才能だからで済ませることほど盲目的なことはない。「工学博士」という才能ならまだしも、「発明家」という才能ではもはや説明なんて不可能です。

 

その意味でも、エグイサルを発明したのが美兎ちゃんだからと捉えれば、その内部構造を美兎ちゃんは把握しているわけですから、オプションのコントロール機器を開発できることに説明付けられます。首謀者は美兎ちゃんだという有力な根拠です。

 

もう1つは王馬くんの項で紹介します。

ここではあと1つ紹介します。

 

 

 

あれ?って思いませんか?

思い出しライトは?って。

 

思い出しライトは、コロシアイシミュレーターに元から存在するものということになりますよね。マシンは元々モノクマが創り、用意されていたものなので、当然中身の構造がこの才囚学園と同じようになるのは納得できます。元々コロシアイシミュレーターの世界に思い出しライトもしくはそれを生成するものがあったとしても、なんら不思議ではありません。フォーカスしなければならない問題は、それを美兎ちゃんが分析していじってカスタマイズしていたにも関わらずそのことを言及しなかった、という部分です。

 

 

これを擁護するのであれば、美兎ちゃんはたまたま気づかなかった、くらいしかありません。そんな都合よくあの天才の目をそこだけ綺麗にごまかせるものでしょうか?ご都合主義すぎませんか?無理があります。

 

つまり、わかっててあえて隠していた。首謀者だから。そう考えるに足る、大きな根拠の一つとなるのです。

 

 

 

 

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コメント: 2
  • #1

    ななしぶ (水曜日, 06 3月 2024 20:41)

    期待。
    V3全体に漂う「絶対に言及されていない秘密がある」
    感に真っ向から立ち向かう記事として。
    あの結末で終わらせるにしては意味深な描写が多すぎる。

  • #2

    gultonhreabjencehwev (水曜日, 06 3月 2024 23:04)

    コメントありがとうございます!

    期待していただき光栄です!
    細かくは間違ってるかもしれませんが、話の大筋はつかんでいるつもりです。これからアップしていきます。共感していただけたらなお嬉しく思います!