2章の攻防 モノクマーズのターン

 

 

 

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1章での美兎ちゃんの作戦は失敗に終わりました。さあこれからどうしよう。なにか手を打たなければならなかった。のんびりともしていられなかった。この2章より、モノクマーズも攻勢を仕掛けてきたからです。

 

 

 

 

まずはモノクマーズの初手から見ていきましょう。

プールの校則の追加です。

 

 

 

 

夜時間にプールに入ることは禁止

 

体育館に継ぐ、夜時間の行動制限の校則です。夜間での遊泳禁止。もっというとプールの水に触れた時点でアウト。これを追加した。その後モノクマーズがとる行動はひとつしかないです。美兎ちゃんを夜間にプールの水に触れさせるよう誘導することです。そして校則違反で殺そうとした。

 

実際モノクマーズがどういう誘導をしていったのか、それが垣間見える現象があります。それはゴン太くんの『昆虫となごもう会』の際の、美兎ちゃん周りの証言です。

 

 

 

よく見れば、かなりおかしなセリフだとわかると思います。ゴン太くんはいきなり裸で『出てきた』から『逃げた』と証言しましたね。つまり、美兎ちゃんを『追いかけ回していない』と言ってるも同然なのです。追っかけた末に裸になられた、という話でもないのですから。

 

そうなれば、美兎ちゃんの証言『逃げ回っていた』と、周り王馬くんの証言『裸でウロウロしていた』がおかしいですよね。これをする必要まったくないじゃないですか。ゴン太くんはもうすでに撃退してるんだから。ですからこれは、別の現象に対して美兎ちゃんは裸でウロウロしていたと考えられるのです。それこそが上記校則関係、それで説明がつきます。

 

美兎ちゃんはおそらく風呂に入ってる間にでも、モノクマーズによって服をすべてプールに放り込まれたのではないでしょうか。風呂から上がって服がない。夜だから大丈夫かなと探しに外に出た瞬間、ゴン太と遭遇。偶然撃退。探してウロチョロ。目撃される。ついにプールで発見。このような時系列だったと説明できるわけです。実際にエグイサルに追いかけ回されていた可能性も微レ存ですかね。

 

 

 

 

 

2章裁判で決め手となったものを思い出してください。プールに浮いていた布切れ、これが犯人を追い込む決定打でしたね。奇しくも似た状況に美兎ちゃんは追い込まれたと考えられます。探している間に22時を回ってしまったために、プールに入って回収できなくなってしまった。無理やり回収しようとすると水位が低いために重心がプール側に持っていかれやすい。プールに落ちる可能性がある。しかしこのまま放置していては、ややもすると殺人が起きたときの証拠に根拠として使われかねない。モノクマーズの考えとしては動機ビデオを渡した直後にこの行動をとっているので、おそらくその狙いも含みに入れていたとも考えられます。実際、斬美さんの布切れの証拠も、仮に美兎ちゃんの服に混じっていたとしたら発見は不可能だったでしょう。となれば美兎ちゃんは(二重の意味で)濡衣が着せられかねない。

 

 

このゲームの裁判のシステム上、投票で最多数の票を獲得した人は真実はどうあれ100%死にます。クロだったら当てられたことになってオシオキ死、シロだったら外れなので全滅オシオキ死。この裁判システムは、投票されないことが生き残るために必須なのです。

逆をいえば美兎ちゃんを殺したいモノクマーズにとっては、裁判で美兎ちゃんに投票を集めることでも彼女を殺せるのです。その事件の真実がなんであれ関係ありません。投票多数になった時点でそのひとの死が確定するので。美兎ちゃんに疑いの目をみんなにもってもらう意図もあって、プールに服を落としたことも可能性としてはあるのかと思います。

 

 

さらに、プールの服を回収できたとしても、その後にもワナが張ってあったのかなとも思っています。『水に触れるだけで』。この「水」を『プールの水たまり』のことではなく『プールにたまった水分子』と捉えれば、プールに浸り、『濡れた状態の服に触ること』が『水に触っている』のと同じだとみなされて校則違反になる可能性を十分追えます。夜時間の少し前にプールに服を落としたことも、多分この狙いであれば合理的な説明になると思っています。服の発見がもう少し早ければ、夜時間になる前に回収しようと美兎ちゃんはがんばるでしょう。そして回収できたとして、22時になった瞬間、濡れている服を抱えているので水に触れていると判断されて即警報。そんな展開を期待したモノクマーズのワナだったのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

さあ美兎ちゃんはピンチです。警報。校則違反確定。処分。美兎ちゃんの命は風前の灯火です。

 

そこで美兎ちゃんが急遽生み出した対抗手段がこれです。

『エレクトボム』

 

 

 

エレクトボムは、王馬くんに頼まれて作ったものではありません。王馬くんの依頼は、物語の描写上エレクトハンマーだけです。美兎ちゃんがエレクトハンマーのついでに王馬に気を利かせて作ったなんてありえませんし、王馬が作らせたのだとしたら「作ってくれたのは」というセリフは不自然です。エレクトハンマーのとおり「入間ちゃんに頼んで作って貰ったのは」にならないとおかしい。使い分けてる以上、後者は作ってもらったわけではないということになります。

 

 

ならいつなんのために美兎ちゃんはエレクトボムを作ったのかを考えなければなりませんが、その説明がこれでつきます。

 

エレクトボムは通信のジャミング効果。エグイサル格納庫のセンサーと警報を無効化していましたね。これを利用したかった。

 

 

 

この説明を聞く限り、ちゃんと校則違反の前には「警報サイレンが鳴る」という手順があることを説明しています。いつの説明でも、この警報が省かれることはありませんでした。ということは重要なのです。この警報が。

 

 

それはおそらく、校則違反判定を、警報によって確定させるという仕組みなのではないでしょうか。警報が鳴らなければ校則違反を確定できない、という仕組みなのではないでしょうか。

 

この才囚学園には固定の監視カメラはありません。なので校則違反の生徒を処分するためには、校則違反者を目視で捉えるとかいうアナログの方法ではなく、直接的にシステムに違反者として登録されるような仕組みが予め組まれているはずです。その仕組のファーストステップが『警報』だったのではないでしょうか。

 

 

 

 

となれば、この警報さえ鳴らなければ、校則違反にならない。校則違反が目の前で行われたとしても、システムに違反者として登録されない。登録されない以上、エグイサルの処分対象にならない。システムの穴をつけるという構造だったのではないでしょうか。

 

 

 

これが美兎ちゃんの狙いだった。プールの周りにエレクトボムを放つことで、プールの水に触ったとしても警報を阻止できる。校則違反を避けることができるのです。そして服を回収した美兎ちゃんの行き先は、斬美さんの研究教室にある洗濯乾燥機です(洗濯機となってるけど、形的に乾燥機もついてるっぽい)。ここでエレクトボムの効果が切れる前に急いで服を乾かしきった。そうしてなんとかモノクマーズの初手を封じることに成功したのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まだモノクマーズの攻勢は続きます。第2手。モノクマーズパッド(動機ビデオ)です。この動機ビデオは、以下の発言により思い出しライトの効果があると推測されています。

 

 

見た当人に記憶を植え付ける効果があった。しかしそれは当人にしか効果はないハズです。最原くんが百田くんの動機ビデオを見ても、百田くんがそういう人だったということを思い出すことはなかったからです。

 

であれば当然、この動機ビデオはそれぞれ当人が見なければなんの効果もないということになります。にもかかわらず、不可思議な現象が起きましたね。モノクマーズが配り間違えたことです。

 

 

 

この配り間違えは、ただのミスとして捉えられがちです。しかしそれでは大きな疑問が残ることになります。「昆虫となごもう会」の直後、王馬くんがかき集めた動機ビデオをモノダムが返しておくという流れになりましたが、なぜかモノダムは返さなかったのです。

 

 

これはかなり変です。最初の配り間違えがミスなのだとしたら、正しい人に配りなおすチャンスだったはずです。なぜ正しく配りなおさないのか。タイミング的には斬美さんが殺人計画を実行中であったため、動機ビデオ自体の利用価値がなくなったからだと捉えることは可能です。だったら、3章以降でもう1回配ればいいじゃないですか。なぜあの動機ビデオを2章だけに限定した運用にしようとしているのですか?

 

 

 

 

 

 

下記をよく見てください。

思い出しライトのセットアップ画面です。

 

 

すでに思い出した記憶とあります。使用済みの思い出しライトの履歴ですね。並び順からして、作成順であると見て間違いないでしょう。その各項目を追っていくと、「それぞれの動機」以外のすべては思い出しライトの中で登場していたのがわかるかと思います。

 

それぞれの超高校級=オープニング

超高校級狩り=2章

葬式=3章

ゴフェル計画=4章

外の世界=4章でゴン太くんが見せられたやつ

絶望事件=5章

 

じゃあ「それぞれの動機」は動機ビデオなのでは?と思うかもしれません。しかし思い出してほしいのは3章です。

 

 

そうです、ひとつだけ壊された思い出しライトがありましたね。じゃあそれに込められてた記憶は何になるのでしょう?

 

6章思い出しライトセットアップを操作していれば、重複が無いような仕組みになっていることがわかるかと思います。上記すでに作られた思い出しライト用の記憶のどれかが、アンジーちゃんに壊されたライトに込められてたとは考えづらいのです。であれば残るは「それぞれの動機」しかない。あの壊されたライトに込められてたのは「それぞれの動機」以外にないのです。

 

 

ん?待ってください。3章のあの時点で、モノクマーズは生徒たちに「それぞれの動機」を思い出してほしかったということになるわけですよね。これっておかしくありませんか?動機ビデオでいいじゃないですか。2章で回収しておいて再配布せず、新しく思い出しライトを提供し、壊されても何も手を打たなかった。どういうことですか?このモノクマーズの一連の謎すぎる行動に説明をつけられる道筋はそう多くはないはずです。

 

動機ビデオの目的は、3章で使わない以上「それぞれの動機」を思い出してもらうためではない。2章で間違って配布したにも関わらず再配布しない以上2章時点でも全員に「それぞれの動機」を思い出してもらう目的ではない。もっといえば再配布しないということは、最初の間違って配布した時点で目的は達成されている。そのように考えられるのではないでしょうか。

 

 

 

これをうまく説明するには、いくつかの点在する情報を線で結ぶ必要があります。まずは動機ビデオに映っているのが「モノクマ」だという事実からです。

 

『モノクマーズパッド』というモノクマーズが用意したと思われるこのアイテムに映っているのが、モノクマーズではなくモノクマであるということに多少の違和感を感じませんでしょうか。この動機ビデオを作成したのはモノクマだということになりますが、それをパッケージ化したのがモノクマーズになる構図だということであり、それはモノクマーズが動機ビデオを作製したわけではないということですね。

 

 

美兎ちゃんモノクマは、いつこの動機ビデオを作成したのでしょうか。それはこのコロシアイゲームの開始の手前の段階です。少なくともこのゲームが始まってから作成したものではありません。それは先程の6章の思い出しライトセットアップインターフェースの存在から読み解けます。

 

「それぞれの超高校級」の詳細を想像してください。

これは、物語のオープニングの超高校級の記憶がない状態からモノタロウの思い出しライトを浴びたことにより、再度目を覚ましたら『全員に』超高校級の記憶が植え付けられていた、という現象でしたね。

 

ここから「それぞれの〇〇」とは、ライトを浴びた人全員に一度に、「それぞれ」記憶を植え付けられるという万能アイテムだということがわかりますでしょうか。超高校級のピアニストという記憶をライトに込めたら、それを浴びた人全員が超高校級のピアニストの記憶を想起してしまいます。そんな不便な使い方ではなく、浴びた人の『特性に合わせて』超高校級などの記憶をそれぞれ植え付けられるということなのです。

 

であれば「それぞれの動機」とある思い出しライトは、それを浴びた人全員に大切な人やその人らの安否が危ういという記憶を「それぞれの事情に合わせて」想起させることができるということになります。これがどういうことかわかりますでしょうか。それは、動機ビデオの役割を人数分のデバイスを用意することなくたった一つで果たせるということなのです。

 

動機ビデオは手間だということです。人数分のデバイスを用意しなければならない。そしてそのデバイスは本人に届かなければ意味がない。配り間違えたら効果がない。撮影も編集も手間。これらを一気に解決する方法がまさに「それぞれの動機という名の思い出しライト」なのです。

作成一瞬、効果万能。

 

 

なので、「それぞれの動機」という記憶想起を生徒たちに与えたい且つそのためのアイテムが『今手元に無い』と仮定するならば、作るアイテムは思い出しライト一択だということです。実際に作られているのですから、思い出しライトを作りつつ動機ビデオも作ったなんて二度手間をするはずもありません。

 

 

 

結論に戻ります。つまり、動機ビデオはこのコロシアイが始まってから作られたものではありえないということです。大好評につき復活した動機ビデオは、大好評を受けたので今から作らなきゃなとコロシアイが始まってから作り始めたなんて時系列は考えられないのです。

 

 

 

このコロシアイに美兎ちゃんは生徒として参加予定ではなかったのですから、このコロシアイが始まる以前のタイミングでは、自分のダミーの動機ビデオを作る必要がありません。作る意味がありません。つまり、動機ビデオはコロシアイゲームが始まる前に用意したものである=美兎ちゃんの動機ビデオは存在しないということなのです。(ちなみにつむぎちゃんの動機ビデオはゴン太くんが持ってます。存在が確認されているということです)

 

 

これが見えると、ようやくモノクマーズの意図が見えてくるのではないでしょうか。モノクマーズは『わざと』動機ビデオを配り間違えました。そうなるとその後の生徒たちの会話で、誰が誰の動機ビデオを持っているなどの所在確認が行われるであろうことが想定可能です。

 

そうなれば必然、美兎ちゃんの動機ビデオは誰が持ってるの?という話に行き着きます。誰も美兎ちゃんの動機ビデオを持っていないということが皆の前で明らかにされてしまうということです。なぜ無いのか。首謀者だから自分の動機ビデオを作らなかったのでは?という疑惑を生徒たちの間で浮上させたかったのです。

 

動機ビデオを正しく配ったのであれば、この効果は期待できません。美兎ちゃんは自分にも配られていたと嘘をついて終わりだからです。でもバラバラに配られた状態だと、自分だけが嘘をついても代わりの誰かの動機ビデオが無いことになるので、精査されればいずれはバレる。バレたら美兎ちゃんは一巻の終わりです。

 

 

これをモノクマーズは狙っていたのです。モノクマが映る動機ビデオのパッケージ化したのがモノクマーズだというこの構図は、美兎ちゃん的には自分が生徒として参加してしまったからには動機ビデオを使う予定はなくなったので放置しておいたのを、モノクマーズが引っ張り出して美兎ちゃんを追い込む作戦に利用されたという構図だったのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、王馬くんに視点が移ります。

王馬くんも、なんとこの現象を理解できていたのです。なぜなら王馬くんには動機ビデオが配られていなかったからです。

 

 

 

このセリフ、違和感ありませんでしょうか。あの映像はなんなのか?なんて質問、本当にあのビデオを見ていたら出てくるセリフではありません。なんでしょう、その抽象的な答えようのない質問は。もっと鋭くエグい質問をストレートにぶつけるのが王馬くんだったはずです。らしくない。どこでどうやっていつ撮ったのか、とかなら分かりますが、そのセリフだって王馬くんが言いそうなセリフではありません。そういった疑問は誰にも頼らず自分で考えて自分で結論を出したいタイプなのですから。

 

これはむしろ、自分には何も配られていないのに自分以外の全員には『何かが』配られたようだということを会話から察したがゆえに、それが何なのかを『自分には配られていないという事実を悟られることなく』問いただすための質問だったと考えれば自然に映りませんでしょうか。

 

直前に転子ちゃんから『映像』というセリフが出てきましたが、それまでは『それ』が『映像』であるということすら王馬くんにはわかりません。そしてようやく転子ちゃんから『映像』という単語が出てきたので、王馬くん視点で「配られた何かは映像だったのか」と分かったのです。じゃあどんな映像なんだろう。それを聞きたかったがゆえのセリフだったのです。

 

 

 

 

 

それが見えればようやく、王馬くんの「全員の動機ビデオを全員の前で同時上映大作戦」の全貌が見えます。自分には配られていない動機ビデオが全員に1つづつバラバラに配られたようだということが、皆の会話で分かりました。ということは王馬くん視点では、14人の生き残りに13個の動機ビデオが配られた事実が見えるということです。

 

誰かのが無いよね?

誰のが無いの?

もしかしてワンチャン、首謀者のが無いとか?

 

当然こうなります。モノクマーズの意図をただひとり汲み取っていたのが王馬くんだった。だからこそあの作戦なのです。全員分のをかき集めて同時上映することにより、逃げようのない嘘のつきようのない事実として「〇〇の動機ビデオだけありません」ということを全員の前で明らかにしたかった。それが首謀者の痛手になると感じての行動だったのです。

 

 

 

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